「訴訟費用」の請求に関しては、皆さんもなじみがないでしょうし、弁護士さんですら多くの方がされたことがないので、裁判で結果が出てから報告しようと考えていたのですが、記事が出たのでブログに書くことにします。
ここでいう「訴訟費用」というのは、判決の主文の最後のほうに登場するものです。

この画像の判決は、農協ビル補助金訴訟のものですが(この裁判を起こしたことによって2億5千万円の違法な補助金をストップさせることができました)、画像のとおり、判決主文の第2項で、「訴訟費用」は、原告と被告がそれぞれ2分の1ずつとされています。
一般的に訴訟費用と聞けば、弁護士費用も含まれると考えると思われますが、この判決主文の「訴訟費用」には、提訴の際に必要な印紙代や書面作成提出費用、郵便切手代、旅費等は含まれますが、弁護士費用は含まれません。
私はこの農協ビル補助金訴訟の判決が出た時に、裁判の常識を知らなかったので、訴訟費用の半分を高槻市に負担してもらおうと、市役所に請求書を送ったのですが・・・そのことについては令和2年12月16日の本会議で以下のとおり述べました。
No.86 北岡隆浩議員
最後に、訴訟費用等についてです。
一般的に、訴訟費用額の確定処分を裁判所に申し立てることは少ないということを、高槻市役所は裁判所から聞いたということですが、私はその一般論を平成20年に高槻市の職員の方から聞きました。
平成20年9月に、農協ビル補助金訴訟で私は勝訴して、訴訟費用の負担が原告の私と被告の市長とで2分の1ずつとされたので、その11月に高槻市に訴訟費用を請求したところ、当時の担当職員の方が私に対して、一般的には訴訟費用は相手方に請求しないと述べて、高槻市側も請求しないので、北岡議員も請求しないでほしいと要望してきました。
私はそれに合意して、請求を取りやめ、以後は請求していません。その合意の存在については、別の裁判の今年7月6日付の準備書面で主張しましたが、高槻市側から何も反論がありませんでした。なのに今年10月に市から請求されたので、大変驚きました。合意をほごにする、えげつないやり方だと思います。
市側は、私が原告だった29件の訴訟と植木団地の関係の2件の訴訟について申立てをしていますが、それ以外の約30件の訴訟については、申立てをしていません。その理由を訴訟費用額が相当額に及ぶからだとお答えになられましたが、それが何円なのかと尋ねても答えない。決裁権者も答えない。そもそも市に申立てを行う義務があるのかどうかも答えない。誰が市の責任者なのかを隠しながら、特定の市民に対して、やる必要がない申立てや請求をやっているわけです。
もしそれらを行う義務があるのであれば、時効消滅している分については、市の責任者が賠償しなければなりませんよね。そういう義務がないとしても、今回、訴訟記録の保存期間の徒過で、裁判所に却下されたものについては、その訴訟費用や申立てにかかった費用、市職員の人件費は明らかに無駄だったわけですから、責任者が市にその分を賠償しなければならないのではないでしょうか。
そもそも住民訴訟というのは、原告となる住民が個人の利益のために、裁判を提起するのではなく、自治体の財政をチェックし是正することや、健全な財政を実現することを目的として提起する、公益的な訴訟であるわけですから、一般的な民事訴訟のように訴訟費用を敗訴した住民に負担させるのはなじまないわけです。
弁護士などの法律家であれば、普通はそのように考えるのではないでしょうか。だから多くの自治体はそんなことはしないし、青森県の弘前市のように、やろうとした市長が批判を受けて、自身の任期中は請求しないとするコメントを出したりする場合もあるわけです。
にもかかわらず、高槻市が訴訟費用を請求するのは、権利の濫用だと言わざるを得ません。
以上です。
(答弁する時間は十分にあったが、答弁はなかった。)
以上のとおりで、高槻市役所が約束を破って、多額の申立てをしたので、驚いた次第です。
記事では、弁護士の着手金などで財政上の負担が生じているとの市側の主張も書かれていますが、それについては、令和元年12月17日の議会で次のとおりに指摘しています。
No.52 北岡隆浩議員
・・・ことしの9月議会では、私が原告の訴訟について質問がされましたが、私はこれまでもいきなり裁判を起こしてきたわけではありません。まずは、議会での解決を期待して、今回のように議会で取り上げてきました。しかし、ほとんどスルーされてきました。今回の談合の件、議会の過半数の皆さんがその気になれば、市は提訴すべきであると決議したり、調査が必要であれば百条委員会を設置したりすることもできるはずです。
議会で解決できるものは、議会で解決するのが私ども市会議員の任務の一つではないのでしょうか、ぜひしっかりとご検討ください。
1か月以内に市が提訴等をせず、議会の過半数の皆さんも先ほど言ったような動きをしないのであれば、私は住民監査請求をするつもりでおります。
次に、訴訟等についてです。
最高裁の決定が出たのに、ほかの裁判の件で弁護士と調整する必要なんてあるんでしょうか。全く意味不明です。公開を引き延ばしてるとしか考えられません。情報公開制度の趣旨だけでなく、裁判所の判決もないがしろにする行為で、非常に問題ではないでしょうか。直ちに情報を公開してください。
この裁判については、全てを非公開とした市の処分が違法と認定されました。当然、高槻市の敗訴です。訴訟費用の負担が2分の1だということは、裁判の争点において高槻市の主張は半分くらいしか認められなかったわけです。それをおおむね認められたなんていうのは、虚偽に等しいと思います。訴訟費用の負担がどれだけであっても、市の行為の違法性が認定された場合には、市は敗訴したと報告すべきです。市民に対してせこい印象操作はやめてください。
弁護士資格を持った職員については、先日の議会運営委員会でも政務活動費の判例に関して、その職員の解釈が示されましたが、少なくとも、平成26年4月からの約6年間は在籍しているはずです。その職員の存在については、先ほど申し上げたとおり私の昨年の9月議会の一般質問で市が認めて、訴訟事務を総括しているとも答弁しています。にもかかわらず、ことしの9月議会で質問した議員はそれを聞いていなかったのか、忘れたのか、議事録の検索を怠ったのか、あるいはわざと意図的に発言をされたのかわかりませんが、昨年度の議長が誰だったのかを思い出すと、残念な感じがします。
けれども、弁護士資格を持った職員がいれば、外部の弁護士さんを訴訟代理人として雇う必要はないというのは、ごく普通の一般的な感覚ですよね。明石市では、そういった職員が訴訟対応をスムーズに行ってるともされていました。そのごく普通の一般的な感覚や明石市の事例からすれば、高槻市には平成26年度から弁護士資格のある職員が在籍しているわけですから、これまで約6年間、市が外部の弁護士に払ってきた報酬はほぼ無駄だったということになりますよね、そういうことですよね。
私は、今回の情報公開の裁判を弁護士さんを頼まず本人訴訟でやりました。一方で、市のほうは大手の法律事務所の弁護士さんたちを代理人にして、裁判所には毎回のように何人かの職員の方が来られていました。原告側は私一人でやれているのに、そこまでの対応が必要だったんでしょうか。
ことしの9月議会では、私が裁判をやると、市職員に職務を犠牲にしてまでの職務の負担が発生するといった発言もありました。弁護士の職員もいるのに、本当にそんな負担が発生したんでしょうか。
弁護士報酬の額もやり玉に上げられましたが、弁護士報酬は裁判になれば自動的に発生するというものではありません。高槻市役所の幹部の誰かが決裁して支出させているわけです。私が支出させているのではありません。
最近、高槻市は何でもかんでも外部の弁護士に頼り過ぎではないでしょうか。
以前は、市の職員が市の指定代理人として裁判所に出廷することもありましたが、近ごろはそんな場面も見たことがありません。
確かに、外部の有能な弁護士さんにお願いしたほうがいいような難しい事件もあるかもしれませんが、少なくとも情報公開とか不法占拠に関する裁判であれば、職員の皆さんだけで十分対応可能でしょう。私一人でもできるわけですから、有能な職員の皆さんや、特に弁護士資格を持っている職員の方であれば余裕のはずです。
裁判を起こすとき、あるいは起こされたとき市職員だけで対応可能か、外部の弁護士が必要か、そういう選定も弁護士資格を持った職員がやるべきです。それくらいはできて当然のはずです。
私が原告の裁判についてですが、私のほうは持ち出しばっかりですが、市職員の方が講師として謝礼を得られるような研修で事例として取り上げられたものもありますし、マスメディアで報じられ、最高裁のサイトや議会の図書室にも置かれている月刊判例地方自治に掲載されたものもあります。それだけ社会的な価値や、アカデミックな価値があるということではないでしょうか。
それから、平成27年の6月議会でも申し上げましたが、私が起こした裁判で少なくとも直接的に3億円ぐらい私は市に貢献しております。それに比べたら、これまでの弁護士費用を累計してもまだまだ少ないはずです。心ある皆さんには客観的な評価をしていただければと思います。
高槻市役所は、皆さんの税金で、弁護士を雇い、さらには弁護士資格をもった職員まで雇用しているわけです。一方で、私に対しては、弁護士費用を請求できないようにする汚い手を使いました。そのために私は弁護士さんに代理人をお願いしづらくなってしまいました。
その上さらに今回の多額の訴訟費用の申立てです。この不当な請求について、弁護士さんに相談したのですが、判決に書かれている以上、法的に免れる手段はないとのこと。支払いを拒否すれば、差押え等の強制執行がされる可能性があるので、まずは期限内に支払ってくださいということでした。
29件もあるので、こちらのほうこそ大変な負担になっているのですが、その29件を見てみると、市が申し立てているものの、むしろ、私のほうが訴訟費用を市に請求できるものが3件ありました。その一つが有給職免訴訟の水道部の分。判決で、訴訟費用は私が10分の3、市側が10分の7とされたものです。3対7なので、その差の4の分くらいを、市が私にむしろ払わなければならないのです。市に何の利益もないのに、何故こんな無駄な申立てをしたのか。どう考えても、私に、より事務負担を負わせるための嫌がらせです。
この無駄な訴訟費用の申立て(正確には「訴訟費用額確定処分申立て」といいます)にかかった費用、市職員の人件費等は明らかに市の損害と考えられますので、こういうことを二度としないでほしいと、住民監査請求をしたのですが、棄却されたので、今年の8月30日に住民訴訟を提起しました。
10月8日に第1回口頭弁論が開かれ、次回第2回は11月26日午前10時から大阪地裁1007法廷とされました。
この裁判に負ければ、さらに訴訟費用を請求されるかもしれません。しかし、議会も正さない不当なものに対して、裁判という手段以外にない場合もあります。訴訟費用の請求は、こうした市への裁判をやめさせるための圧力という意味もあるのかもしれません。けれども、それに負けていては、悪政の思う壺ではないでしょうか。
そもそも住民訴訟の原告住民側の勝訴率は約4%と非常に低いのです。

裁判所が、行政の裁量の範囲を広く認めるので、住民訴訟等では圧倒的に行政が有利。弁護士さんが勝てると言って代理人になってくださった裁判でも負けることがしばしば。たとえ住民訴訟で勝訴しても、原告住民側は何の利益も得られません。公益のために費用を持ち出し手弁当でやっているのです。その住民に訴訟費用の負担までさせるのは、いかがなものでしょうか。
私に関しては、勝訴率は4%を優に上回っていますし、少なくとも直接的な利益だけで3億円くらいは市に貢献しています。しかし、だからといって、給料が増えるわけでもありません。むしろ持ち出しばかりです。
今回の件を誤解されている方も多いと思いますが、こうした事情も是非みなさんには知ってほしいと願っています。
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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)
令和 2年 第6回定例会(第4日12月16日)
No.76 北岡隆浩議員
次に、訴訟費用等についてです。9月2日の本会議で濱田市長から報告があった、訴訟費用額確定処分の申立て等について、まず5点伺います。
1点目、判決の主文に記載された訴訟費用については、市に利益があると考えられる場合、市や市長、管理者として申立てを行い、請求しなければならない義務があるものなんでしょうか。それとも任意でそうしたことを行ってもよいのでしょうか、見解をお聞かせください。
2点目、情報公開請求をして、平成20年度以降に終結した訴訟について調べてみたところ、訴訟費用額確定処分を申立てていない事件が30件ぐらいありました。なぜ申立てをしていないんでしょうか、理由をお答えください。
3点目、市側の申立てが一部、裁判所によって却下されていますが、その理由は何なんでしょうか、お答えください。
4点目、申立ては今年の7月にされていますが、なぜこの時期に申し立てたんでしょうか。それ以前はなぜ申立てをしなかったんでしょうか、それぞれについて理由をお答えください。
5点目、これらの申立てについて決裁をしたのは誰なんでしょうか。濱田市長なんでしょうか、具体的にお答えください。
No.77 総務部長
次に、訴訟費用等に関する5点のご質問にお答えいたします。
1点目の訴訟費用額の確定手続につきましては、判決に従い、原告または被告が、民事訴訟法及び民事訴訟費用等に関する法律等の法令の定めに基づき、手続を行うことができるものとなっております。
2点目及び4点目につきましては、一般的に確定処分を裁判所に申し立てることが少なく、現在把握する限りでは、これまで本市において申立てを行った事例はございません。一方で、最近1事件当たりの訴訟費用額が相当額に達するものが発生したこともあったことから、訴訟費用額が相当額に及ぶ事案などについて、精査の上、申立てを行ったものです。
3点目につきましては、お答えする立場にはございません。
5点目の訴訟費用額確定処分の申立てに係る事務処理につきましては、本市の事務決裁規程等に基づく手続を経て、本市として申立てを行ったものでございます。
以上です。
No.81 北岡隆浩議員
次に、訴訟費用等について、7点伺います。
1点目、訴訟費用に係る申立てや請求についての質問に全くまともに答えられませんでしたが、それらについては、市側に行う義務はないということでよろしいでしょうか、お答えください。
2点目、訴訟費用額が相当額に及ぶ事案などについて申立てを行ったということですが、相当額というのは具体的には何円なのでしょうか、お答えください。また、申立てをしていない事件についても、訴訟費用額が何円になるのか検討を行ったんでしょうか、お答えください。
3点目、既に亡くなっている方も申立ての相手方になっているケースもありますが、どうするのでしょうか。相続人に請求するんでしょうか、お答えください。
4点目、一般的に確定処分を裁判所に申し立てることは少ないということですが、なぜなんでしょうか、理由をお答えください。
5点目、市側の申立てが、一部裁判所によって却下されたのは、裁判所の事件記録の保存期間の5年間を過ぎていたからだと聞きました。裁判所における民事訴訟の記録の保存期間が5年間だということをご存じなかったのでしょうか、お答えください。
6点目、申立ての決裁は誰がしたのかとお聞きしたところ、事務決裁規程等に基づく手続を経たということです。その手続を経て誰が決裁したんでしょうか。濱田市長なんでしょうか、具体的にお答えください。
7点目、既に時効の期間が過ぎているものや、裁判所の記録の保存年限が過ぎているものについては、誰に賠償責任があるんでしょうか。濱田市長でしょうか、お答えください。
No.82 総務部長
次に、訴訟費用等に関する7点の質問にお答えいたします。
1点目及び6点目の訴訟費用額の確定手続は、1問目でも答弁申し上げましたとおり、関係法令に基づき行うことができるものとされていることから、本市の規程にのっとった決裁手続を行った上で、本市として申立てを行ったものでございます。
2点目につきましては、1問目で答弁申し上げましたとおり、1事件当たりの訴訟費用額が相当額に達するものが発生したことなどから、これらを基に、個々の事件ごとに精査したものであり、個別の債権に関することはお答えできません。
3点目、5点目及び7点目につきましては、どのようなお立場で知り得た情報を基にこの場でご質問されているのかが分かりませんが、個別の事案などについてはお答えする立場にはございません。
4点目の訴訟費用の取扱いの傾向につきましては、裁判所からお聞きしたものですが、理由は承知しておりません。
No.86 北岡隆浩議員
最後に、訴訟費用等についてです。
一般的に、訴訟費用額の確定処分を裁判所に申し立てることは少ないということを、高槻市役所は裁判所から聞いたということですが、私はその一般論を平成20年に高槻市の職員の方から聞きました。
平成20年9月に、農協ビル補助金訴訟で私は勝訴して、訴訟費用の負担が原告の私と被告の市長とで2分の1ずつとされたので、その11月に高槻市に訴訟費用を請求したところ、当時の担当職員の方が私に対して、一般的には訴訟費用は相手方に請求しないと述べて、高槻市側も請求しないので、北岡議員も請求しないでほしいと要望してきました。
私はそれに合意して、請求を取りやめ、以後は請求していません。その合意の存在については、別の裁判の今年7月6日付の準備書面で主張しましたが、高槻市側から何も反論がありませんでした。なのに今年10月に市から請求されたので、大変驚きました。合意をほごにする、えげつないやり方だと思います。
市側は、私が原告だった29件の訴訟と植木団地の関係の2件の訴訟について申立てをしていますが、それ以外の約30件の訴訟については、申立てをしていません。その理由を訴訟費用額が相当額に及ぶからだとお答えになられましたが、それが何円なのかと尋ねても答えない。決裁権者も答えない。そもそも市に申立てを行う義務があるのかどうかも答えない。誰が市の責任者なのかを隠しながら、特定の市民に対して、やる必要がない申立てや請求をやっているわけです。
もしそれらを行う義務があるのであれば、時効消滅している分については、市の責任者が賠償しなければなりませんよね。そういう義務がないとしても、今回、訴訟記録の保存期間の徒過で、裁判所に却下されたものについては、その訴訟費用や申立てにかかった費用、市職員の人件費は明らかに無駄だったわけですから、責任者が市にその分を賠償しなければならないのではないでしょうか。
そもそも住民訴訟というのは、原告となる住民が個人の利益のために、裁判を提起するのではなく、自治体の財政をチェックし是正することや、健全な財政を実現することを目的として提起する、公益的な訴訟であるわけですから、一般的な民事訴訟のように訴訟費用を敗訴した住民に負担させるのはなじまないわけです。
弁護士などの法律家であれば、普通はそのように考えるのではないでしょうか。だから多くの自治体はそんなことはしないし、青森県の弘前市のように、やろうとした市長が批判を受けて、自身の任期中は請求しないとするコメントを出したりする場合もあるわけです。
にもかかわらず、高槻市が訴訟費用を請求するのは、権利の濫用だと言わざるを得ません。
以上です。