2008年11月17日

【中心市街地活性化】やっと専門家の報告書が公開されました!

以前「関大支援のため黙殺?専門家の分析を公開し、真剣なまちづくりを!」の記事で書いた専門家の報告書ですが、本日、高槻市都市産業部に「いつ公開するのか?」と尋ねたところ、やっと公開してくれました。

★平成18年度「市町村の中心市街地活性化の取組に対する診断・助言事業」報告書
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/db/syoko/images/sinndann.pdf

「ユアサ跡地の整備計画が具現化すると、完全に中心市街地の核はJR北側に移行することが予測される。JR北東地区を含むエリア設定で基本計画を組むと、その結果、大きなプロジェクトであるJR北東側の事業を中心に事業推進が行われるのではないか。」「今後のJR北東地区整備に伴い、(JR南側と阪急北側の間の)中間ゾーン、阪急駅南ゾーンは地盤沈下の可能性大」・・・高槻市が関大に補助すること表明したことにより、まさに今、この専門家の危惧が的中しそうな状況になっています。


こちらの記事にも書きましたが、本当に真剣に未来の「まちづくり」を考えなければ、今後取り返しのつかないことになるかもしれません。関西大学に補助金を支給せんがために、計画を捻じ曲げようとしているのならば、そんなことはもってのほかです。

特に、中間ゾーンと阪急駅南ゾーンの関係者の方には、この専門家の報告書を読んで発奮していただきたいです。

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【以下は専門家の報告書より抜粋したものです】


6.活性化基本計画の取組内容についての診断

(1)区域設定について

 新基本計画策定にあたっての区域設定についてはすでに述べたところであるが、これは今回の計画策定にとっては大きな意味を持つものである。何故ならそれは行政当局の基本的な考え方を示すものであり、計画の成果を左右するものであると考えられるからである。

 この問題に関しての基本的な考え方は、中心市街地の中での中心拠点はまちなかの何処がふさわしいか、この点からスタートすることにあると思われる。当市の中心市街地の近未来の状況を想像すると、おそらくまちの中心はJR北側に完全に移行し、しかもそれは大型店や市民系の大型施設に左右されたイメージ形成になっていると思われる。

 ここで考えなければならないのは、大型店の果たす市民の生活文化に対する効果は、当市で言えば、大阪市の後塵を拝することになり、当市のまちづくり基本方針である「隣接する大都市に埋もれない特長を持ったまち」には反することになる。このように考えると、中心市街地を市民の生活文化の拠点としての地区は、センター街とその周辺の区域になるのではないか。

 このような考え方から、センター街を中心としたJRと阪急線に囲まれた区域と述べたのであるが、今一点は、JR北側地域を区域内にいれると、この地域の整備事業は非常に大きなプロジェクトであるため、当然、重点事業として位置づけられ、他地域の事業計画はおろそかになる可能性が強いと言わざるを得ない。そしてその結果、JR北側地域の整備計画だけが進み、他地域は現状のままであるとすると、先に述べた通りまちの中心はJR北側に移ってしまうことになる。

 ここで誤解のないように申し添えておくが、JR北東地域の整備計画に反対意見を表すものではなく、ここに広大な空地が存することは大きな問題であり、現時点での整備計画は妥当なものと判断している。

 そこで区域設定については、以上のような理由からJR北側北東地域は都市再生緊急整備事業として事業推進をはかり、今回の基本計画策定とは分離して進めることが出来ないか。これが出来ない場合は、計画推進の組織を明確に分けて取組むことが必要である。勿論、基本計画の策定はこのJR北東地域の整備計画を無視してという訳にはいかない訳で、既定の事実として受け止めなければならないのは言うまでもない。

(2)中心市街地の果たすべき機能について

 当市の性格は、基本的には大阪市のベッドタウンである。かつては工業製品の出荷額については府下衛星都市の中では上位にランクされていたが、近年は減少傾向を辿っており、幹線道路沿いで工場の空地が目立つようになっている。大学の進出も府下では目立った存在であるが、文教都市と呼べるほどの水準にはない。

 商業についても、大型百貨店が2店舗営業しているが、これも大阪、京都との比較で、独自商圏を形成できるほどのパワーはなく、消費流出都市である。アクトアモーレの開設で中心性指数は高まったが、消費流入都市には、将来においてもなり得ない。

 住民福祉についても、特筆すべき施策はなく、府下で平均的な位置にある。当市は府下各都市との比較では、上記のようにいくつかの点で強みを有していることは事実であるが、やはり何といっても大阪市のベッドタウンとして有利な位置づけにあるまちと言えよう。それは、交通の便に恵まれ、自然条件も住環境に適しており、優良な宅地開発が進められてきたからである。しかし、広く府民の当市のベッドタウンとしての評価は、諸条件に恵まれているにもかかわらず中庸の位置付けにとどまっている。

 この原因は、近畿圏の代表的なベッドタウンは大阪の西側にある各都市からはじまり、現在では西北の都市に評価の高いまちが出現していることなどが主たるものと思われる。しかし冷静に考えると、当市はベッドタウンとして有利な位置付けにある訳で、すぐれたベッドタウンとしての機能整備に努力を傾注すれば、その成果は大きく実現出来ると判断される。

 かつての大都市圏ベッドタウンな、交通の便がいいこと、生活維持のための基礎的インフラが整備されていること、さらに子育てに適していることがベッドタウン成立の条件であった。しかし現在では、このような基礎的条件が整っていることは当然のこととして、さらに重要なのは「生活を楽しめるまち」としての機能が存在していることである。これは現在の人々のまちに求める重要な機能である。

そこで、「生活を楽しめる」とはどのようなまちかというと、それは人々のコミュニティ形成に大きな可能性のあるまちと言うことが出来る。人々がコミュニティ形成するためには、大型のコミュニティ施設も必要であるが、さらに重要な役割を果たすのは、まちなかのミニ施設である。

 大型のコミュニティ施設は、都市基盤整備施設としてJR北東地域等の整備計画のなかで考えればよいが、ミニ施設は既存商店街等の中で工夫すべきものである。コミュニティのミニ施設はどのようなものかと言うと、例えば、市民が小パーティーから気軽に使えるギャラリー風の多目的施設、子育て支援施設、地域物産の販売所、来街者が気軽に休める休憩所、ミニイベントの出来る小さな広場などであるが、これらは公共施工、公共の支援でNPOなどが事業を行うものである。これに対して、民間側で出来るものは、ネットカフェに代表されるような各種のカフェ、コミュニティ形成型の各種業態− 例えば各種ホビーショップ、マニアショップなど、さらにはコミュニティ形成型のサービスショップ− 例えばカリスマ美容師の居る美容室、エステサロンなどが考えられる。

 そして、まちなかの商業者はどのような業種・業態であってもコミュニティ形成を意識した営業に努力することである。商店街で人気ショップが一軒出来るとその周辺の店に好影響が出ているのを見かけることがあるが、このような積重ねが大切な努力である。

(3)目標設定について

センター街を中心とした区域では、土・日・祭日の賑わい回復が最大の目的である。

@通行量で目標設定
A来街者満足度向上
B商店街コンセプトに対応した業態改革の進捗度

 目標設定については以上のようなことが考えられるが、これを具体化するために専門家を加えたチームを発足させることが必要である。


7.中心市街地活性化の取組の方向性(重点施策)

 当市の中心市街地は、もともとJR北側に西武百貨店が進出することによって、まち全体としての商業力は向上したが、それまでの商業の中心地であったセンター街等の南側との格差がひらくことになった。そしてJR南側駅前に市街地再開発事業による駅前広場の整備とともに、松坂屋の開設、商業ビルとしてのグリーンプラザが開設された。これによってJR南北のバランスが回復されたかに見えたが松坂屋、グリーンプラザの開設が、駅前広場に面し、後背地に対する配慮が不足しているために、人の流れの面において悪影響が存在していることはいなめない。

 そして、両百貨店の進出は、JRの駅周辺の都市化には有効であったが、既存商業地の買い回り型商品を扱う商業者の存立基盤をそこなってきた。このような状況の続く中で、グリーンプラザの業績が悪化し、松坂屋も西武の後塵を接する状態が続いている。したがって、センター街等の既存商業地は、かつては買い回り、最寄り型商店の混在地であったが、現在、最寄り型商店街に変化しているのは当然のはこびと言える。このような状況の中でアクトモール・アクトアモーレが完成した訳で、これによりJRの南北格差はさらに拡大し、既存商業地の最寄り型商店にも影響が出ており、今後さらにこれは強まるものと思われる。

 以上が当市商業地の経過と現状であるが、このような状況で、今後進めなければならないJR北東地域のユアサ工場跡の整備計画が進められれば、当市中心市街地はJR高槻駅を基点とした南北格差はさらに大きく拡大するものと懸念する。

 これが、現在、当市中心市街地が抱える最大の問題点である。したがって、今後のまち再生については、南北の格差是正と南側既存商業地の存立基盤を確立することが最大の命題であると考える。そして、このような状態が実現出来れば、当市の標榜とする「大都市の間で埋れないまち、高槻らしさを主張できるまち」が実現されるのではないか。

 このような考え方に基いて、以下の重点施策を提言する。

(1)まちの進むべき方向をタウン・コンセプトとしてまとめる

 「生活を楽しめるまち」にするためには、コミュニティ形成の機会にあふれたまちにすることが重要である。このような考え方にたって、まちに必要なコミュニティ施設の内容、まちを構成する商店の営業指針を示す内容をタウン・コンセプトとしてまとめる。
 ここで重要なことは、このタウン・コンセプトはまちを構成する商業者が、ワークショップ等の手法でまとめることである。そして、まとめたタウン・コンセプトを具体化するための手順をオリエンテーションとしてまとめ、商店街を構成する商業者の共通の目標として示す。

(2)来街者の商店街利用時の満足度を定期的に調査

 まちの施設の改善、商店の営業上の改善点、商店街に対する市民のニーズ等を発見するためには定期的に調査し、商店街活動の指針とする。具体的な手法は、専門家をいれて工夫しなければならないが、商業者や商店従業員の研修事業を積極的に行うことが必要であり、この数値を指数化して目標として設定することを考えなければならない。

(3)歩いて楽しい街路に環境改善

 東西街路であるセンター街を基軸に、南北道の環境改善をはかる。特にグリーンプラザ、郵便局の東側街路の改善は必要。夜間の状態は非常に悪い。

(4)市民のコミュニティ活動への支援

 街区内で店舗、空家、空地などを公共側で貸借し、様々な市民活動の場に供する。この内容は先に述べたが、各種補助事業を行えるようにすれば、市民のミニコミュニティの拠点施設にもなると考えられる。空店舗対策といった消極的な取組みではなく、積極的に取組むことが必要である。

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posted by 北岡隆浩 at 21:41| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 高槻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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