
12月議会では、市職員に対する不当要求等を記録することなどを定めた「高槻市公正な職務の執行の確保等に関する条例」通称「コンプライアンス条例」も可決されました。
この条例が作られた直接のきっかけは、違法建築見逃しに関するあっせん収賄事件ですが、市街化調整区域での宅地開発についても議員と高槻市役所の関与が取り沙汰されました。
議会では、この条例案が委員会に付託され、私の所属する総務消防委員会で審議されたのですが、委員長を除く全員の委員から質問がされました(委員長は質問しないことになっています)。
私も何点か質問し、最終的には賛成したのですが、この条例が本当に機能するのかが心配になりました。
というのも、今年の6月に、あっせん収賄事件が報道された際、議員から圧力を受けて建築基準法違反を見逃したとされている市の職員が、次のようにマスコミの取材に答えているからです(NHK放送分による)。
(議場の映像)
記者「(市議は)市役所に対して、様々な要求を持ちかけていたということです。」
(議員応接室の映像)
記者「今回の事件でも、市の担当者を議員応接室に呼び出し、知り合いの不動産会社の違反を見逃すよう働きかけた疑いがもたれています。」
(高槻市の幹部職員のインタビュー映像)
職員「まあ、相手の意図は、そりゃ読み取れますわね、それはね。発言ではないですね。言葉ではなかったですね。」
記者「態度とか空気っていうことですか?」
職員「まあそう、そう思いますね、それは。」
記者「どういう態度だったんですか?」
職員「いや、もう、普通、普通です、それは。」
記者「えっ?それでなんで相手の意図を読み取れるんですか?」
職員「・・・いえ、”なんで聞きに来るか”でです。」
記者「そもそも聞きに来るということ自体が、そういう意味合いだと?」
職員「そういう意味合いですよね、それは。」
このように、要求を受けたとされる幹部職員は、議員からの発言がなくてもその意図は読み取れる、というようなことをテレビで答えています。そういうツーカーというか、阿吽の呼吸みたいな場合は、どんな記録をとるのかと、委員会で質問したところ「それは難しい」との答弁でした(笑)。
こんな答弁しか出来ないんですから、もしかすると、今後もこのように「空気」を読んで、不当要求を呑んでしまうこともありえるのかもしれません。そのとき、要求した側は「不当要求などしていない」と言い張り、一方の市役所側は「言葉はなかったので、条例に照らしても、記録する義務はなかった」などと言い訳する可能性も考えられ、条例が骨抜きになってしまうおそれもあります。
そうすると、あの事件の何を反省し、一体何のために条例を作ったのか、分からなくなってしまいます。
また、本条例案の第2条第3号を見ると、「要望等」の定義として、「職員以外のものが職員に対して行う」諸々の行為というふうにされてあり、「職員から職員に対する不当要求」が除外されているので、この点も不安を感じるところです。
これについての高槻市の答弁としては、職員から不当要求があった場合は、「公益通報者保護制度」(内部告発者を保護する制度)により通報されるはずだ、ということなんですが・・・そういう勇気のある職員ばかりではないでしょうし、この制度が信用できないからこそ、私の方に内部告発などがあるのかなとも感じるところです(私への内部告発などはこちらからメール下さい。秘密は厳守します。)。
他に私は「あの事件について高槻市はどう考えているのか?」「職員の責任は?」などの問いかけをしましたが、高槻市からは曖昧な答弁しかありませんでした。
「じゃあ何故お前は賛成したのか?」と言われそうですが、条例がないよりは、有る方がマシだろうと考えたからです。この条例があることによって、市職員だけではなく、議員や業者などにも、ある程度の緊張感が生まれるだろうと思ったのです。
市職員の皆さんには、せっかく条例ができるわけですから(条例の施行は平成21年4月1日からです)、本当に記録しなければならないような不当要求こそ、きっちりと記録をしていただきたいと思います。空気を読むのではなくて、相手方にしっかりと言葉にさせて。
それが出来ないときは、こちらからメールを下さい。秘密は厳守します。

この職員の告発を検討すべき。
取材のやりとりが事実ならば、ですが。