本日の産経新聞朝刊によると、茨木市が市長に対して有する債権の放棄を茨木市議会が可決したことについて、違法であるとして、住民訴訟が提訴されたとのことです。
★【産経新聞】「公金返還判決無視は違法」住民、茨木市長ら相手に提訴
茨木市が条例に根拠がない一時金を臨時職員に支給していたとされる問題で、市議会が市長への請求放棄を議決したのは違法として、市民7人が29日、市長と副市長、議案に賛成した市議25人を相手取り、返還が見込まれる6690万円を市に支払うよう求める訴えを大阪地裁に起こした。
原告側は「議会の議決は司法判断を無視するもので、市に損害を与える不法行為だ」と批判している。
(後略)★
債権放棄というのは、基本的には、債務者に返済不能なほどの多額の借金がある場合など、債権回収が極めて困難である時にしか、しないものだと思います。そういう事情がないのに、市のもつ債権を放棄するのは、市に損害を与えることになりかねません。
また、裁判所が「市が損害を被った」と認定して、判決を下して決定された債権でも、議会の議決で自由に債権放棄ができるとなれば、行政(市長)と議会(与党多数派)のなすがままに、市の財政が損なわれる可能性もありますし、三権分立が有名無実となってしまいます。議会の議決で債権放棄するにせよ、そこには一定の基準が必要ではないかと思います。
記事にある茨木市議会の債権放棄に関する住民訴訟で、債権放棄に賛成した議員に責任が問われるのか、債権放棄の基準が示されるのか、それともいかなる場合でも議会の議決を尊重すべきとされるのか、裁判所がどう判断するのか大変気になるところです。
さて、高槻市議会において、過去に、議会の議決による債権放棄を行ったことがあるか、議事録をネット検索して調べていたのですが(平成4年以後のものしか検索できないのですが)、以下のものが見つかっただけでした。
平成 9年 第1回定例会 (第2日 3月10日)
No.7 源久忠仁議員
(中略)
次に、JR高槻駅北地区市街地再開発事業についてお尋ねいたします。
冒頭、申し上げておきたいことは、当然のことではありますが、我が党は、同事業が組合施行による事業であるということを前提に、事業の円滑な推進に努力してまいったところであります。このことは、高槻市において、昭和54年10月に完成した高槻市施行の国鉄高槻駅前市街地再開発事業の苦い経験を踏まえてのこと
であったと理解しております。
この事業を総括してみるとき、収支の面では大幅な赤字で、市財政に手痛い打撃を与えました。事業の進め方として市街地特別会計が設置され、同会計の中で事業のつなぎ資金として市債が発行されました。その結果、特別会計閉鎖時には約30億円の赤字が残り、一般会計で穴埋めしたのであります。
その上、床の単価が高いことも一因となり、保留床の処分ができず、高槻都市開発株式会社を設立、そこに売却するといった手法で、市財政の借金を形式上減らし、赤字再建団体への転落を回避したとも聞き及んでおります。
会社保有の床は、その後、バブル景気のチャンスをとらまえ、ようやく売却ができたものの欠損は避けられず、高槻市は同社に対する約10億円の債権を放棄することとなり、市の負担が上積みされたことはご承知のとおりであります。
このような苦い経験は、北の再開発に生かさねばなりませんし、市長としては、高槻駅南の事業をどのように総括され、北の再開発に生かしておられるのでしょうか。
(中略)
No.10 市長(江村利雄)
公明高槻市議会議員団代表 源久忠仁議員の代表質問につきましてご答弁を申し上げます。
(中略)
次に、高槻駅南の再開発事業の総括と今回の事業への反映についてでございますが、高槻駅南の再開発事業につきましては、ご質問にもございましたように、種々の問題を残したことも事実でございますが、JRの南の顔としての町づくりという視点からは、評価される事業ではなかったかと考えるところでございます。北の再開発事業につきましては、組合施行とはいえ、都市計画事業として公共性の非常に高い町づくりを推し進めるという立場から、議会等のご理解、ご協力をいただきながら支援をしてまいってきたところでございます。ご質問にもございましたように、南の再開発事業が、後年、市の財政状況に強く影響を与えたことも事実でございます。このような教訓を糧として、本再開発事業につきましては、その公共性や町づくりへの先行投資という側面を持ちつつも、市の全体の財政状況も十分勘案する中で推し進めてまいる所存でございます。
(後略)
これを読むと、高槻都市開発というのは、市財政の借金を形式上減らすために、つくられたということなのでしょうか?答弁で、市長も否定していませんし。高槻市が、飛ばし(簿外債務)か粉飾決算をするために、第3セクターを設立したということなのでしょうか?だとすると、今の常識からしたらとんでもない話です。
私は3月議会で、高槻都市開発が「経営ピンチ」と最近報道された問題について質問したのですが、それについてはまた後日にしたいと思います。
話を債権放棄に戻しますと、上記のものしか見つからなかったということは、議会で議決して債権放棄するケースというのは、高槻市ではあまりなかったということです。異例なものだということですね。
さて、今日の新聞を読むと、新型インフルエンザについて、来週にも「安全宣言」が出されるとされていました。大規模な流行も起こらず一安心ではありますが、もしかすると、インフルエンザ等のウイルスは身近にあるかもしれませんし、今後も手洗いとうがいは心がけるべきだと思います。皆さんもお気をつけ下さい。
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