
高槻市の第三セクター・高槻都市開発株式会社に関して、今年3月、毎日新聞は、「三セク経営ピンチ」「三セクが破産申し立て」などと報じました。
グリーンプラザ1号館のビルの管理者である高槻都市開発に対して、1号館のフロアの8割を所有する不動産会社ライフコートが、共益費など約1億7500万円を滞納しているため、高槻都市開発の経営が揺さぶられている。高槻都市開発は、ビル全体の機能が失われないよう電気、水道料等を立て替えているが、資金もあと数か月分しかない、といったものでした。
以下に、一連の流れをまとめてみました。
●平成19年10月
ライフコート社(以下「ラ社」)が、グリーンプラザたかつき1号館のフロアの8割約9300平方メートルを取得。
ラ社が、テナントに賃料の値上げを打診した結果、8店が退去。現在6割が空きスペースに。
●平成20年4月
ラ社が共益費(電気、水道、警備、清掃代など毎月約1400万円)を滞納し始める(金融危機の影響とのこと)。
電気や水道が止まればビルの区分所有者の利益が大きく損なわれるため、高槻都市開発は、繰越金や自社預金から、4月から12月までで、総額8200万円を立て替える。
●平成20年7月?日
高槻都市開発が、大阪地裁に、ラ社を提訴。
◎平成21年3月5日
毎日新聞が「JR高槻駅前 三セク経営ピンチ 再開発ビル 共益費滞納多く」と報じる(上の写真)。
●平成21年3月?日
ラ社の決算が129億円の債務超過であることが判明。高槻都市開発は、債権の早期回収のため、ラ社の破産を東京地裁に申し立てる。
◎平成21年3月20日
毎日新聞が「破産:管理の三セク申し立て ビル8割所有の不動産会社が共益費滞納」と報じる。
◎平成21年3月27日
高槻市議会の一般質問で、この問題について北岡が質問。
●平成21年5月15日
高槻都市開発が大阪地裁で勝訴。約2億0800万円の支払を命じる判決が下される。
◎平成21年5月16日
毎日新聞が「高槻の再開発ビル問題:三セクが勝訴」と報じる。
高槻都市開発は、約2億円の支払をラ社に命じる勝訴判決を得ることができました。けれども、この約2億円を丸々受け取れるかどうかは、別の問題です。
裁判に勝って、債権回収をしようとしても、相手方に資産がない場合というのはよくあること。最近では、高槻で行われたサッカー大会中の雷事故で失明等の障害を負った方に対する損害賠償の例があります。報道によれば、債務者の一つであった財団法人高槻市体育協会は、高槻市から支援を断られた結果、賠償金を支払うことができず、破産・解散の決断をしたとのこと(協会にとっては苦渋の決断だったのでしょうが、これも非常に大変な問題です)。
★部活中落雷 高槻市体協が破産、資産整理で賠償金捻出
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200906020062.html
ラ社は129億円の債務超過とのこですし、現在未曾有の経済状況ですから、ラ社の資産を競売等にかけて切り売りしても、債権全額の回収は困難ではないかと思われます。
ラ社所有のグリーンプラザ1号館の床を、別の企業等が買えば、その企業が未納分の共益費を支払うことになるのだそうですが、買い手が現れるのかどうかも今のところ不透明です。
高槻都市開発の破綻の可能性について、高槻市は、3月議会の私の質問に対して「高槻都市開発はビルの管理者であり、本件による破綻は考えられない」と答弁しました。
他に、答弁では、高槻都市開発は、グリーンプラザ1号館について「今回のような事態に対しても、設立の趣旨や経緯等を踏まえまして、可能な限り支援」するとのことですが、資金が底をつく等して、支援が不可能になった場合、どうなるのでしょうか?高槻市が、高槻都市開発を支援するのでしょうか?
高槻市は、財団法人高槻市体育協会については、「高槻市体育協会が実施する大会・教室は市民のスポーツ振興に多大な役割を果たしており」「体育協会との連携は今後とも必要である・・・課題は、体育協会の基盤強化であり、さらに体育協会が発展するように支援を行う。」としていながら、雷事故の損害賠償については支援をせず、協会を破産・解散に追い込みました。
その高槻市の姿勢でいくと、グリーンプラザ1号館や高槻都市開発の破綻の可能性が出てきたときに、支援をするとは考えにくい。もし支援するというのであれば、「なぜ高槻市体育協会は見捨てたのか?」「救済の基準は何なのか?」ということになります。
仮に、債権回収の問題が片付いても、グリーンプラザ1号館にはテナントがなかなか集まらないという根本的な問題があります。設立当初も高槻市が債権放棄をした「苦い経験」がありますし、その後も、ラ社とは別の会社との間で、管理費等の不払い滞納問題もありました。トラブル続きと言っても過言ではないと思います。
高槻市の玄関口であるJR高槻駅前に立地しながら、このような状態であるわけですが、あくまでも民間のことですから、行政が手を出しにくいという側面もあります。
ただ、私は、このような建物が、高槻市の中心部に位置しているということは、高槻市の将来にとって、マイナスではないかと考えています。
私は3月議会で次のように述べました。
(前略)グリーンプラザの件ですけれども、高槻市の中心市街地の未来図をどう描いていくのかという点でいえば、関西大学よりもこちらのほうが重大な問題ではないのでしょうか。これは高槻市役所だけではなく、市民の皆さんの知恵を集めて、衆知を集めて、どうすべきか考えなければ解決できない問題だと思いますので、そのような形での取り組みを要望します。(後略)
このグリーンプラザ1号館の問題を解決するための、何か良い智恵はないものでしょうか?

例えば、コンパクトシティーの先駆けである北海道伊達市には、市中心部に高齢者向けの賃貸マンションがあるのですが、グリーンプラザ1号館に商業者が集まらないのであれば、高齢者向け住宅等にするという選択肢もありではないかなと、私は考えております。

以下は3月議会の一般質問におけるグリーンプラザ1号館関連の質疑です。
平成21年 第1回定例会 (第6日 3月27日)
No.63 北岡隆浩議員
北岡隆浩です。大きく8点について質問いたします。
(中略)
5番目は、第三セクターの高槻都市開発に関して、経営ピンチと報道された問題についてです。
毎日新聞は、今月の5日と20日に「三セク経営ピンチ」「三セクが破産申し立て」などと、グリーンプラザ1号館の問題を報じました。1号館のフロアの約8割を所有する不動産会社ライフコートが、高槻市の第三セクターである高槻都市開発株式会社に対して支払うべき共益費など約1億7,500万円を滞納しているため、高槻都市開発の経営の根幹が揺さぶられている。高槻都市開発は、ビル全体の機能が失われないよう電気、水道料を立てかえているが、立てかえ資金もあと数か月で底をつくとされています。
そこで、まず1点目は、事実関係についてです。この報道は事実なのでしょうか。報道では、「共益費など」とされていますが、正確には何をいつからライフコートは滞納し、その累計額はそれぞれどれだけになっているのでしょうか。高槻都市開発は、いつから、どこに対して毎月どれだけの立てかえ払いを行っていて、その累計額はどうなっているのでしょうか。また、立てかえに充てられる資金は幾ら残っているのでしょうか、お答えください。
2点目は、債権回収についてです。いつごろどれくらいの債権を回収できる見込みなのでしょうか、お答えください。
3点目は、高槻都市開発の破綻の可能性です。債権も回収できず、報道のとおり、あと数か月で資金が底をつくとなれば、高槻都市開発の破綻という可能性も出てきますが、この点はいかがでしょうか、お答えください。
4点目は、区分所有者と高槻都市開発の契約関係です。3月20日の毎日新聞では、関西学院大学の教授が、企業が滞納した共益費を、区分所有者でもない第三セクターが立てかえるのは異例、とのコメントを寄せています。区分所有者が、自己の消費した電気などについては、直接電力会社などに支払うのが一般的だと思いますが、なぜ、それをも高槻都市開発が区分所有者から徴収して払っていたのか。高槻都市開発が共益費を立てかえ払いするようなリスクを背負うことになったのか。区分所有者と高槻都市開発との間で、どのような契約が締結されているのか、お答えください。
(中略)
No.65 都市産業部長(小林守)
北岡議員の4点目の厚生会館、それから5点目の高槻都市開発に係るご質問にご答弁を申し上げます。
(中略)
次に、高槻都市開発に係るご質問にご答弁申し上げます。
まず、高槻都市開発に関する新聞報道に対しての数点のお尋ねでございます。新聞報道については事実と異なる点があると伺っておりますので、現在の状況をご説明いたします。ライフコート社は、昨年4月から電気、水道、警備、清掃代などの共益費等を区分所有者会に対して滞納されており、本年2月末時点で、1億7,500万円を滞納されていると伺っております。このため、グリーンプラザ1号館の管理者である高槻都市開発株式会社は、区分所有者の委任を受けまして、支払いを求めてライフコート社を提訴されてございます。しかし、ビルの電気や水道がとまれば区分所有者の利益が大きく損なわれるため、高槻都市開発がグリーンプラザ1号館区分所有者会に対しまして、ビル管理者として4月から12月まで繰越金や自社預金から総額8,200万円を立てかえされ、それ以降は、区分所有者の修繕積立金を支払いに充てられていると伺ってございます。また、立てかえ資金があと数か月しかない、との新聞報道につきましては、この区分所有者会の修繕積立金のことを言ったものと推察されます。
次に、債権回収の見込みについてのお尋ねでございます。債権を早期に回収するとともに、ビルの適正な運営を確保するため、区分所有者の委任を受けまして、高槻都市開発がライフコート社の破産を東京地裁に申し立てておられます。これは著しく債務超過しているライフコート社を破産に持ち込み、区分所有法により債権債務を引き継ぐ新たな所有者が決定されるよう進めているもので、債権回収の時期は未定ですが、裁判の動向を注視してまいりたいと考えております。
次に、高槻都市開発の破綻の可能性のお尋ねですが、高槻都市開発はビルの管理者であり、本件による破綻は考えられないものと認識しております。
最後に、区分所有者との契約関係についてのお尋ねですが、電気、水道等の大口需要のビルについては、一括契約が一般的であり、グリーンプラザ1号館につきましては、オープン当時からビルの管理者である高槻都市開発が関西電力や本市水道部と一括契約され、同社が区分所有者から集金され、支払いを行ってこられたと伺ってございます。
(中略)
No.68 北岡隆浩議員
(中略)
次に、高槻都市開発とグリーンプラザの問題についてです。
1点目、高槻都市開発は、区分所有者会の管理者として電気代を関西電力に、水道代を高槻市水道部にそれぞれ直接支払っているとのことです。区分所有者会と管理者である高槻都市開発の関係が、契約書を見せてほしいと言っても見せてもらえなかったので、非常に不透明なんですけれども、とにかく高槻都市開発が管理者をやめなければ、今後も立てかえというか、支払いを続けなければならなくなり、本当に報道のとおりに経営がピンチになる可能性が高いと考えられます。契約上、高槻都市開発は管理者からおりることができるのでしょうか、管理者をやめることができるのでしょうか、お答えください。
2点目、高槻都市開発の設立の趣旨からすれば、グリーンプラザの運営を支えていかなければならないのでしょうけれども、どこまで、幾らまで身銭を切って支えていく予定なのでしょうか、お答えください。
3点目、高槻都市開発が管理者をやめて、あるいは高槻都市開発が破綻した場合、グリーンプラザ1号館は、ビルの機能が停止し、エレベーターも動かないようになってしまうと。そんなビルからはテナントが撤退してゴーストビル化することも懸念されます。こうした事態に対して高槻市はどうする方針なのでしょうか、お答えください。
(中略)
No.70 都市産業部長(小林守)
(中略)
次に、高槻都市開発に係るご質問でございます。まず、管理者としてのお尋ねですが、高槻都市開発からは、管理委託契約を解除することは可能であると伺ってございます。
次に、高槻都市開発がどこまで支えるのかとのお尋ねでございます。高槻都市開発は、本市施行の再開発事業完了後からビルの管理者として30年にわたり区分所有者や入店者の方々との信頼関係のもと、ビルの適正管理に努めてこられました。したがいまして、今回のような事態に対しても、設立の趣旨や経緯等を踏まえまして、可能な限り支援されると伺ってございます。
次に、高槻都市開発がグリーンプラザ1号館から撤退すれば高槻市はどうするのかとのお尋ねでございます。本市の玄関口であり、公共性の高いJR高槻駅周辺のマネジメントは非常に重要であると認識しており、グリーンプラザ1号館を取り巻く今回の件に対しましても、高槻都市開発の出資者としての立場も踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
(中略)
No.74 北岡隆浩議員
(中略)
次に、グリーンプラザの件ですけれども、高槻市の中心市街地の未来図をどう描いていくのかという点でいえば、関西大学よりもこちらのほうが重大な問題ではないのでしょうか。これは高槻市役所だけではなく、市民の皆さんの知恵を集めて、衆知を集めて、どうすべきか考えなければ解決できない問題だと思いますので、そのような形での取り組みを要望します。私は、今後もこの問題については注視していきたいと考えております。
(後略)

高槻都市開発もどうせ高槻市職員の天下り先なんでしょ?
駅前一等地だというのに。
もったいないです。
それに比べ、ユアサ跡地には巨額の費用。
この差はいったい何?
理想的には関大誘致で集まった人が利用する施設を誘致すべきとおもいます。
たとえば、下宿用のワンルームマンション、ボウリング場などの遊戯施設、宴会施設、ちょっと高級なスーパー、大学用の専門書店などニーズはあるとおもいます。
学内に設置予定のところをグリーンプラザに誘致するという手もあるでしょう。
しかし、一番の問題はグリーンプラザをどこまで
魅力的に改装できるのかということです。
ぱっと見は昭和的といいましょうか、いかにも商才のない公務員が企画したようなといいましょうか、スケールが小ぶりで狭くて暗いのです。小汚いといっても言いすぎにならないのが悲しいです。
劇的ビフォーアフターにリフォームを頼んではいかがでしょうか。(冗談抜きで)
それが無理なら、思い切って立替えか、売却
でしょう。
大体、NKビルの大阪医科大はグリーンプラザへ入居したってよかったのです。それをせずにわざわざビルを建てたということはそれだけグリーンプラザに魅力がないと判断されたということです。真摯に受け止めるべきです。
ただ、関大の人達がたむろするような物は絶対にやめて欲しい