元フジテレビの女子アナウンサー・有賀さつきさんが離婚したと報じられた。彼女がその会見中に発した次の言葉に、疑問を覚えた。
「世の中は甘くない。生活保護を受けてでも子供を育てる。仕事は何でもします」
それこそドエルのケーキくらい甘い考えだろう。生活保護で支給されるお金は国民の税金だ。「国民の皆さんにお世話になってでも子どもを育てる」ということか?「実家に頭を下げてでも」とか「別れた亭主から養育費をふんだくっても」とか、あるいは「レジ打ちのパートをしても」「土方をしても」とでも言うべきだったのではないか。
生活保護にみじめなイメージがあるからこのような言い方をしたのかもしれないが、生活保護費は、場合によっては、長年掛け続けて受け取れる年金よりも多いこともある。年金だけで細々と暮らしているあるご婦人は、「なぜ生活保護の方が贅沢できるのか」と疑問をもたれていた。
以前テレビで、年金への加入がまだ任意制だった頃、年金に未加入の大学生のときに障害を負ったため、障害基礎年金が受け取れない「学生無年金障害者」の女性が、年金の支給を求めて裁判を起こしたというニュースがあった。
しかしその女性は、生活保護を受け、親から離れて生活し、フローリングの床のきれいな部屋で、支援者からパソコンも寄付してもらってインターネットさえ活用していた。それでさらに年金を求めるのは何故なのだろう。仮に年金が入ったとしても、その分は生活保護費から引かれるのに。
私がこのニュースを見て感じたのは、どんな境遇の人であれ、最後には生活保護制度で救われるという、日本の社会保障制度の厚さだ。
私が以前会った人は、いい歳をした働き盛りの子どもが9人もいるのに、生活保護を受けていた。子どもが一人月2万円でも仕送りすれば、十分に暮らせるだろうに。いや、子どもが9人もいてこの人と同居する者はいないのか。この人が生活保護を受けられるようになったのは、ある議員が役所に圧力をかけてくれたお陰だと言う。これって、役所・税金に対する「たかり行為」ではないのか。
「役所で騒げば生活保護なんか簡単に受けられるんや!」と豪語する人もいた。この世の中は、声の大きい人間に有利に働くことが多いが、こういう人にも多くの税金が使われていることには釈然としない。
私が見てきた生活保護費の受給者は、ある団体に所属する方が多かった。そのことを市役所の職員に尋ねたことがある。すると、その職員は「知っているか、知らないかの差でしょう」と答えた。知っているか、知らないか・・・確かにその差は大きいが、本当にそれだけなのだろうか。職員は、議員の圧力を否定したが。
人権や福祉に絡むことは、情報公開請求などで外からいくら覗こう・変えようとしても、個人情報・弱者の人権などに遮られて見えにくい。役所の内部から意識やプロセスを変えていくほかは、改革のしようがない。
今月初め、「生活保護から暴力団組員を排除するシステム」が広島県で導入されたというニュースがあった。こういった形で、不正受給者をなくしていくことは喜ばしいことだ。税金は、本当に困っている人達、真面目に努力してきたのに不遇に見舞われた人達に使われるべきだ。
★生活保護世帯の数と保護率の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/2950.html
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★離婚の有賀「結婚生活つらかった」
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2088262/detail
フジテレビの和田圭解説委員(53)と5月中旬に離婚した元同局アナウンサーの有賀さつき(40)が15日、都内で会見し「彼とは言語が違った」などと破局に至った経緯を語った。慰謝料や養育費は求めていないといい「今はサバサバした気持ち」と笑顔。その一方、「生活のために仕事は何でもします」とアピールした。
白のTシャツにパンツという夏らしい装いで姿を見せた有賀は、吹っ切れたような明るい表情。元人気アナらしく、ハキハキと質問に答えた。
(中略)
長女の親権は有賀が持つ。養育費を求めないのかとの質問には「私が言うことじゃない。彼が娘のために何かしたいと思うなら、彼が決めること」と和田さんの意思にまかせる考えを示した。
一方「4年間、苦しかった」としながらも「娘を授けてくれた彼に感謝します。育児も手伝ってくれた」としんみりと語る場面もあった。
今後もフリーアナウンサーとして活動する意向。「世の中は甘くない。生活保護を受けてでも子供を育てる。仕事は何でもします」と宣言した。仕事をすれば元夫と顔を合わせる可能性もあるが「永田町に行かなければ会うことはない。会っても“どうも”と言います」と笑顔で話した。(後略)★
★中国新聞「組員への生活保護支給廃止」
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200606020023.html
生活保護から暴力団組員を排除するシステムを広島県警と県、県内の各市町が一日から、全国で初めて導入した。各福祉事務所から暴力団組員に該当するかどうかの問い合わせに県警が回答。組員と確認されれば各福祉事務所が保護費の申請を却下したり、支給を廃止したりする。保護費が暴力団の資金源になるのを防ぐのが狙い。
暴力団組員の排除方針は、厚生労働省が三月末に文書を県などに送り、厳格に取り組む方針を示していた。県はこれを受けて、五月三十一日付で受給の可否を決める県内二十七カ所の福祉事務所に新しいシステムの導入を通知した。
新システムでは、保護費の申請者が組員と疑われる場合、各福祉事務所が県警に書面で照会し、暴力団の指定を受け持つ捜査四課が資料で確認して返答する。各事務所はこれを基に、支給の可否を判断する仕組みだ。
支給をしない理由は、生活保護法が保護条件に掲げる「働く意思」が組員になく、収入の実態が不明確なことなどを根拠としている。保護費をすでに受けている場合も暴力団組員と分かれば支給を打ち切る。
県警や県内の自治体は二〇〇四年六月から暴力団組員を公営住宅から排除する条例の見直しを進めてきた。公営住宅から排除する条例改正は県と十四市、一町ですでに実現し、生活保護費の打ち切りも検討したが、実現できていなかった。
広島市は〇四年度から独自に、受給要件を満たしていないとして組員三人の申請を却下、二人の受給を廃止しているが、今回の新システム導入で県内の足並みがそろうことになる。
▽毅然とした対応が鍵
【解説】生活保護費を暴力団組員に支給しない広島県警と県内各自治体との試みは、反社会的な存在の暴力団員が市民と同等な行政サービスを受けることを認めない常識的な判断を実行に移した。生存権という憲法理念はあるが、県警などは「暴力団員をやめれば不利益は解消できる」という、二年前に公営住宅からの締め出しを決めた県条例の改正と同様の理論で十分クリアできると判断した。
広島市では以前、指定暴力団共政会系の組長が市営住宅に長期間入居。入居には所得制限があるのに高級外車に乗り、自宅に現金を一千万円以上保管していた事実が二〇〇三年に明らかになった。他の組員が不法に資金を得ているにもかかわらず生活保護を受けていたケースもあり、公営住宅や生活保護から暴力団を締め出す機運の背景になっていた。
広島弁護士会民事介入暴力対策委員会の森川和彦委員長は「新しい仕組みは受給権の有無を判断するもので人権侵害とは言えない。反社会的な組織に毅然(きぜん)と対応するものだ」と評価している。
公営住宅については、県と十四市一町で暴力団組員を排除する仕組みを作っている。しかし、県警によると、これまで入居を拒否したケースは一件だけ。現在も対象となる暴力団組員十四人が住み続けているとみられ、枠組みを作っても運用面に課題は残る。
先行して過去二年間で組員五人の生活保護を打ち切った広島市の担当者も「組織的な対応が不可欠」と指摘する。システムの実効性を高めるには、県警と各福祉事務所が緊密に情報交換し、暴力に屈しない毅然とした態度をいかに構築するかが最大の鍵となる。★
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