2011年08月05日

【京大農場】防災を真剣に考えずに防災公園を造るという高槻市

本日午前10時から正午過ぎまで、史跡整備等特別委員会がありました。京都大学の農場を高槻市が買い取って(一部はURがいったん購入して施設建設後に高槻市に売却)、防災公園や史跡公園にする件に関して、高槻市が中間報告を作成したので、これらについての審議をしたのです。

私も何点か質問しましたが、あらためて分かったことは、高槻市は、京大農場が防災のために必要だから防災公園にするのではなく、まったく防災上の必要性の考慮・検討もなしに、莫大な税金を投じて、京大農場を買取り、防災公園にしようとしているということです。

高槻市の答弁を聞く限り、防災上、京大農場に防災公園を造る必要性は、特にないとしか考えられません。高槻市は「高槻市地域防災計画」を策定していますが、高槻市の人口の倍以上の人々が収容できる広域避難地も確保されていますし、古曽部防災公園をはじめとする防災拠点も整備されています。充分な防災施設が整備されているはずです。充分ではないというのであれば、現在の「高槻市地域防災計画」には、不備があるということになってしまいます。

本当に防災上必要なら、京大農場を買うのもやむを得ないかもしれませんが、不必要なものであれば、百億円単位の税金が無駄となるだけです。

何のためにこんなことをするのか、まったく訳が分かりません。やはり、8年前の奥本前市長のサッカースタジアム建設・ガンバ大阪誘致の公約が呪縛になっているだけなのでしょう。

私は昨日までの4日間、東北の被災地に行き、ボランティア活動をしてきましたが、現地の皆さんは、真剣に、これからどんなふうに災害に強いまちづくりをすべきか考えておられました。それと比べると、高槻市には、今日の答弁からすれば、莫大な費用をかけて防災公園を造るという割には、東日本大震災から5カ月も経つのに、何の新たな被害想定も防災計画も無く、真剣さが感じられません。防災をなめてるのかと言いたくなりました。

市は、防災公園に、高槻市のシンボルとなるような施設を造るとし、その基本コンセプトは「100万人の劇場公園」だというのですが、年百万人の来場者の根拠は何かと尋ねても、ただのコンセプトだという答弁。

どんな施設を造るのかについて、市は3つの案を提示したのですが、ありきたりな感じです。本当に百万人もの来場者が見込めるのか(なぜ百万人が目標なのかも不明ですが)、こういうものに莫大な費用をかけていいのか、非常に疑問を覚えます。

私は、京大農場は買い取るべきではなく、京都大学にはそのまま残ってもらうのが一番だと思っています。しかし、委員会所属の他の議員は、農場の購入については賛成のようです。ですので、このまま行くと、高槻市が京大農場を購入し、URが造る箱物も購入するということになりそうです。

京都大学の農場の移転のスケジュールも示されました。

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平成27年度の遅い時期に、高槻市から移転を開始するようです。移転終了は平成30年度とされています。

また、今回初めて、周辺の道路整備についても述べられました。

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高槻市が活用するとしている「防災公園街区整備事業」、これは国土交通省から補助金をもらうものですが、その事業は、「災害に対し脆弱な構造となっている既成市街地において、防災機能の強化を図ることを目的」とするとされています。

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ということは、京都大学の農場の周辺は、「災害に対して脆弱な構造」なのかと尋ねたのですが、高槻市側はまともに答弁しませんでした。「災害に対して脆弱な構造」でもないのに、この補助金を使って事業をするのだとすれば、問題ではないのでしょうか?

以下は、今日の私の質問内容と、市側の答弁要旨です。質問にはかなりアドリブが入っていますし、答弁要旨は私のメモと記憶に基づいていますので、間違っている可能性があります。ご了承ください。その下には「中間報告」(安満遺跡芝生公園等の整備に向けた基本構想)の主要部分を載せています。


平成23年8月5日 史跡整備等特別委員会

■経緯について

(Q1)
今回の史跡整備等特別委員会資料の「これまでの経過について」を見ると、安満遺跡芝生公園等の整備の発端は、平成18年の「都市型公園整備構想の基本的な方針」であるかのように書かれています。この「都市型公園整備構想の基本的な方針」には、このように書かれています。

2.公園構想等の概要
公園構想等の概要は、京大農場を対象とし、「市民のオアシスとして、人々が集い、語らう場となる、全面芝生公園にし、そこにサッカースタジアムを備え、「ガンバ大阪」の本拠地を誘致するもので、府内はもとより京阪神から多くの人々が集い、夢を共有しながら一体となって感動できる場となる、交流とにぎわいの構想である。」(平成15年度施政方針(抄))


・・・とあります。この公園構想は、奥本前市長の8年前の公約や、平成15年から17年までの施政方針にしたがったものといえるわけですが、「サッカースタジアムを備え、『ガンバ大阪』の本拠地を誘致する」と明記されております。これまでも、スタジアム建設は行政案の一つだと高槻市は言っています。そこでお伺いします。このサッカースタジアム建設などの公約や方針は、いつ、どのような経緯で、3つの案のうちの一つに成り下がってしまったのでしょうか?ガンバ大阪誘致は、どうなったのでしょうか?それぞれお答えください。

(Q2)
また、公約や施政方針は大変重いもののはずですが、奥本前市長のサッカースタジアム建設・ガンバ大阪誘致の公約や施政方針について、その重みを、高槻市は、どのように考えているのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
他の議員に先ほど答弁したとおり。北岡議員は係争中の住民訴訟の当事者なので、答弁は控える。

(Q)
それはおかしい。訴訟の当事者であっても答えるべき。市長の公約が、いつの間にか3つの行政案の一つになった経緯が不透明。市は説明すべき。

(答弁要旨)
先ほど答弁したとおり。北岡議員は係争中の住民訴訟の当事者なので、答弁は控える。

(・・・その後も重ねて質問しましたが、市側は答えませんでした。)


■防災公園について

(Q3)
高槻市地域防災計画」を見ると、広域避難地の収容可能人数は79万8900人、準広域避難地の収容可能人数は6万8250人となっています。現在、「安満遺跡グラウンド」というグラウンドが京大農場の北側にありますが、そこも準広域避難地に指定されていて、その収容可能人数は4900人となっています。全部合わせると、高槻市の人口の倍以上の人々を収容できるだけの規模が確保されているわけですが、これで不足なんでしょうか?現在の高槻市地域防災計画において、防災公園や広域避難地は不足しているのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
10ヘクタール以上の土地を広域避難地、2ヘクタール以上の土地を準広域避難地としているが、災害の発生状況によっては今後も避難地を検討する必要がある。

(Q4)
奥本前市長の公約以後、古曽部防災公園や関西大学ミューズキャンパスが、多額の税金が投じられて完成しましたが、これらは地域防災計画において、どういった位置付けになっているのでしょうか?これらでは力不足なのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
古曽部防災公園は、広域避難地で、救援物資の配送やヘリポート等に使用する防災拠点。関西大学ミューズキャンパスは、関大との協定に基づいて今後協議する。

(Q5)
中間報告の4ページには、防災公園を整備した場合、「下記の(図のとおりの)避難圏域となり、約2万8千人の想定避難人口が予測される」とありますが、この地域にお住まいの方々は、現在の高槻市地域防災計画においては、どこに避難することになっているのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
災害発生の時間・場所によってどこに避難するか指定ということはしていない。避難経路について市民が家族等で話合って考えるよう、出前講座などでも言っている。

(Q6)
東日本大震災が発生した際、東京ディズニーランドでは、来場者が帰ることができなくなったのですが、東京ディズニーランドには5万人が5日間過ごせるだけの備蓄があったそうです。関係者の方に訊くと、事細かな緊急時のマニュアルもあって、それに従って無事に対処できたということでした。京大農場に防災公園を整備したとして、そこで、サッカーの試合やイベントなどが催され、市外から数万人の方々が来場されている時に、災害が発生した場合、これらの方々に対しても救援物資を支給し、寝泊まりができるような備えはされる予定なのでしょうか?「約2万8千人の想定避難人口が予測される」とありますが、この中に、こうした来場者の方々はカウントされているのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
避難所は今後検討。約2万8千人には来場者の数は計上していない。

(Q7)
中間報告の10ページに、道路交通ネットワークとして、避難路機能、道路機能、歩行者動線機能を確保する必要があるとされていますが、それぞれの機能について、道幅や街路灯、歩道の仕様などを決定するための基準はあるのでしょうか?また、こうした道路の整備は、現在の防災上は、必要ではないのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
道路は、住民が速やかに避難できる、幅員15m以上のものとされている。

(Q8)
資料の7ページに、防災公園街区整備事業の内容として、「災害に対し脆弱な構造となっている既成市街地において、防災機能の強化を図ることを目的」とすると書かれているのですが、京都大学の農場周辺は、「災害に対して脆弱な構造」なのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
広域的な防災拠点にすることで防災力を向上させる。


(Q)
今の地域防災計画には、不備があるのか、ないのか?大丈夫なのか?

(Q)
どこに逃げてもいいのなら、家族で相談し合って決めたところに逃げるのなら、避難圏域を書いたり、想定避難人口を2万8000人とするのはおかしいのではないか?

(Q)
京大農場周辺は「災害に対して脆弱な構造」なのか、もう一度確認したい。

(答弁要旨)
東日本大震災を鑑み、国等でも見直しをしている。現在のものがすべてではなく、想定外のことが起きる。

(Q)
想定外のことは起きるかもしれないが、今想定できることに基づいて地域防災計画をつくったはず。京大農場に防災公園を造る上でどんな想定をしているのか。

(答弁要旨)
先ほどの答弁のとおり。

(Q)
東日本大震災から5カ月経つが、何も想定していないのではないのではないか。それでも防災公園を造るのか。そんな防災公園は要らないのではないか。


■「緑の基本計画」について

中間報告の2ページに、公園の上位関連計画の一つとして、「緑の基本計画」が挙げられていますので、これについて数点伺います。

(Q9)
「緑の基本計画」策定以後に整備された防災公園等は、「緑の基本計画」においては、どういった位置付けになっているのでしょうか?古曽部防災公園や関西大学のミューズキャンパスは「緑の基本計画」においては、どういった位置付けになっているのでしょうか?

(答弁要旨)
緑の基本計画に基づき今後さらに避難地の整備を図る。今後検討する。

(Q10)
緑の基本計画には、その趣旨がこのように書かれています。

T.緑の基本計画の趣旨

1 緑の基本計画策定の背景と位置づけ
近年の地球規模での環境に対する意識の高まりから、都市における緑地を保全・創出し、自然と人間が共生する緑豊かな生活環境を整備していくことが重要であります。(後略)


・・・つまり、緑地の保全と創出、緑豊かな生活環境の整備が重要だということですが、京大農場はご存知のとおり、田んぼや果樹園が広がり、すでに緑に溢れているわけです。これを潰して箱物を作ると、むしろ、緑が減ることにはならないのでしょうか?緑地はどの程度保全されるのでしょうか?緑地についてはどの程度の増減があるのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
趣旨を踏まえてやっていく。増減は分からない。

(Q11)

「緑の基本計画」には、このような記述もあります。

@ 歴史的遺産を活用した歴史公園の整備

【安満遺跡周辺】
安満遺跡は三島地方で最初に米作りが始まった所で、遺跡は檜尾川の扇状地に広がっています。弥生時代の集落、生産地、墓が良好な状態で残る貴重な遺跡で国の史跡に指定されています。
遺跡は、JR高槻駅北東部の中心市街地の貴重なオープンスペースになっていますが、遺跡の上は、京都大学農学部付属農場となっており、関係機関との調整の上で、歴史を伝える視点のほか、市街地内の防災拠点として整備を検討します。


・・・つまり、遺跡だから、整備を検討するということになっているわけです。この趣旨からすれば、遺跡の部分だけ買い取って、公園の整備をすればよいと考えられますが、いかがでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
文化財保護は行政の責務。史跡箇所のみでは事業を遂行できない。

(Q)
緑の増減が分からないというのはおかしい。行政としては、減らさないと言うべきではないのか?
さっきの答弁からすれば、防災公園は不要としか考えられない。分筆して史跡部分だけ買うべきだ。


■基本協定書(骨子案)について

(Q12)
平成21年9月28日付の「京都大学大学院農学研究科附属農場の移転等に係る覚書」、いわゆる大枠合意書と、資料10頁の基本協定書(骨子案)との違いは何なのでしょうか?若干、移転や買取りの時期などに変更があるようですが、金額は相変わらず明記されていません。改めてこうした基本協定書を結ぶ必要性は何なのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
現在係争中なので答弁しない。


■基本コンセプトについて

(Q13)
公園の基本コンセプトを「100万人の劇場公園」として、年100万人、1日当たりにすると約3000人の来場者を見込んでいるようですが、これだけの集客が可能なのでしょうか?年100万人集客できるとする根拠をお答えください。

(答弁要旨)
100万人はあくまでもコンセプト。今後検討。


■サッカースタジアムの署名運動について

(Q14)
署名は高槻市に提出されたのでしょうか?どれだけ署名が集まったのでしょうか?お答えください。

(答弁要旨)
市は了知していない。


(Q)
100万人という具体的な数字を上げているのに、あくまでもコンセプトだというのはおかしい。3つの案はありきたりで魅力が感じられない。100万人集められるのか。説得力がない。検討不足としかいえない。
答弁からすると、防災公園は必要がない。無意味に過剰な防災公園を造っても、税金の無駄。
京都大学にはそのまま残ってもらうのが一番ではないか。



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posted by 北岡隆浩 at 23:56| 大阪 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 高槻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごい!呆れるを通り越してバカにしてる!
奥本市政の継承と謳ったとおりにバンバ大阪サッカースタジアム建設を防災に引っ掛けて実現させようという濱田市長の「言いなり市政」
参った。やはり全ては市長選挙の構図(与野党相乗り)が仕組んだ税金の垂れ流しだね。
Posted by 参った市民 at 2011年08月06日 11:01
今更ながらという感じがします。何時の間にやら防災が付け加わって、十分な検証や情報提供もされないままに税金が湯水のようにジャブジャブと使われ続ける。このバラマキ施策は脈々と継承されていますね。とても残念なことです。
Posted by 日吉台N at 2011年08月06日 13:32
防災の流行に乗って防災意識が高まっている市民をその気にさせて、ガンバ大阪の誘致とスタジアムを建設しようとしているのでしょうか。
防災防災と連呼していますが、どういう災害を防ぐのでしょうか?スタジアムができたらどういう災害を防げるようになるのでしょうか?
津波から逃げるのであれば、山への道を増やすとか広げるなどをしないと、渋滞して逃げ切れないと思います。
Posted by 関東からの移住者 at 2011年08月06日 23:53
税金の無駄遣いの典型的な事例になりそうです。
国からの補助金?国も莫大な借金を抱えているのにこのような「防災」を隠れ蓑にした無駄遣いに加担するのでしょうか?
Posted by 八幡町(H,Y) at 2011年08月07日 21:41
結構広い土地ですね。

こんな機会は滅多にないでしょうから、是非、アジアを白人の植民地から解放した昭和天皇を祀る、昭和神宮を建立して欲しいです。
Posted by mini市民 at 2011年08月09日 09:13
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