写真は9月1日の朝日新聞の記事なのですが、濱田市長は、京都大学の農場を防災公園に整備すると発表した際、「この地域は徒歩で避難できる場所がない。市民の安全安心にとって不可欠な機能だ。」と説明したとされています。
「徒歩で避難できる場所がない。」・・・本当だったら大変なことです。大火災が起きたら、この地域の人はみんな焼け死ぬことになります。実際には、避難所に指定されている学校や、準広域避難地に指定されている安満遺跡グラウンドがありますし、いざとなれば京大農場に逃げ込む選択肢もあるわけで、「徒歩で避難できる場所がない」ということはないはずです。
言う方も、書く方も、疑問に思わなかったのかなと思うのですが、いろいろ調べてみると、朝日新聞の誤報ではなく、実際に濱田市長はそういう趣旨の発言をしたようでした。
そこで、昨日の高槻市議会本会議の一般質問で、この件を質しました。下のほうにその時のやり取りを載せています(アドリブを入れていますし、メモや記憶に基づくところもありますので、正確ではない部分もあるかもしれません)。
質問の数日前には、質問原稿を担当職員に送り、答弁原稿をもらって、次の質問を考えてまた送るという手順を踏むのですが、この件については、まず最初に以下の質問を送りました。
防災について、4点伺います。
(1)今年9月1日の朝日新聞によると、京大農場を防災公園に整備すると発表した際、濱田市長は「この地域は徒歩で避難できる場所がない。市民の安全安心にとって不可欠な機能だ。」と説明したとされているのですが、本当に、京大農場周辺の地域には、徒歩で避難できる場所がないとお考えなのでしょうか。
(2)この高槻市には、徒歩で避難できないような地域があるのでしょうか?あるとすればどこなのでしょうか?(後略)
すると、高槻市の担当幹部職員からは、
答弁
(1)広域避難地の考え方について、大阪府災害に強い都市づくりガイドラインでは避難圏域として、避難路から500m以内かつ歩行距離の合計2km以内としているところであります。質問の京大農場周辺地域には、0.98haの準広域避難地がありますが、避難圏域の全ての方々を収容する避難地はございません。
(2)1点目でお答えした地域が 該当するものと考えております。
という答弁原稿が送られてきました。
これを読むと、いかにも大阪府のガイドラインを濱田市長は記者会見の場で説明したうえで、「徒歩で避難できる場所がない。」と言ったように感じられます(それであっても、避難できる場所がないなんて言うのはおかしいのですが・・・)。
しかし、いろいろと確認をしてみると、記者会見の場で、濱田市長は、府のガイドラインについては、まったく触れなかったとのことでした。
これはどう考えても後付けの言い訳です。某元検事さんが、証拠のフロッピーディスクをいじって、日付を改ざんした事件がありましたが、これと同じように、こっそりと後から府のガイドラインを付け足して、それらしいことを言おうというわけですから、捏造答弁といってもおかしくはないと思います。
私は、こんな答弁は認められないので、変更してほしいと何度も言いましたが、担当幹部職員は、上司の許可もとってあるというようなことを言って、変更しないと言い切りました。
避難する場所がないというのは、本当なら大変なことです。普通の感覚なら、「記者会見では言葉が足りませんでした。実際には徒歩で避難できる場所があります。」と謝罪をして、どこに逃げればいいのか具体的な場所を示すはずです。
しかし、高槻市は、濱田市長は、しませんでした。
「徒歩で避難できる場所がない。」というのは、明らかに失言です。もし政府の閣僚であれば、「防災を担当する責任者が何を言っているのか!今まで避難できる場所も造らず、いったい何をしてきたのか!」と、言い訳も許されず、辞任を迫られることになるのではないでしょうか。
詳しくは以下の議場でのやり取りをお読みいただきたいのですが、高槻市は、他にも、ゲリラ豪雨時の被害を隠ぺいしようとしました。本当に市民の安全安心を真剣に考えているのか・・・濱田市長と高槻市の姿勢を疑わざるをえません。
■北岡の質問
防災について、4点伺います。
(1)今年9月1日の朝日新聞によると、京大農場を防災公園に整備すると発表した際、濱田市長は「この地域は徒歩で避難できる場所がない。市民の安全安心にとって不可欠な機能だ。」と説明したとされているのですが、本当に、京大農場周辺の地域には、徒歩で避難できる場所がないとお考えなのでしょうか。
(2)この高槻市には、徒歩で避難できないような地域があるのでしょうか?あるとすればどこなのでしょうか?
(3)今年も各地で台風による被害がありましたが、過去5年間、台風やゲリラ豪雨等による水害で、高槻市の庁舎や施設がダメージを受けたことはあるのでしょうか?また、その復旧や修理には、どれだけの費用がかかったのでしょうか?
事前にいただいた答弁原稿では「幸いなことに本市では発生しておりません。」とされておりましたので、私は、担当職員に方に、答弁を変更しないんですかと、何回も確認をしましたが、変更しないという答えでした。ところが、私と議員インターンの大学生達で調査をして、2回目の質問原稿をお送りしたところ、急に答弁を変更したいと申し出て来られました。本当にセコイなあと思うんですが、まあ、ご答弁下さい。
(4)今年の東日本大震災や台風による被害を受けて、高槻市において、新たな課題が生じたり、認識を新たにしたり、したことはあるのでしょうか?
■市側の答弁
1点目については、広域避難地の考え方について、大阪府災害に強い都市づくりガイドラインでは避難圏域として、避難路から500m以内かつ歩行距離の合計2km以内としているところであります。質問の京大農場周辺地域には、0.98haの準広域避難地がありますが、避難圏域の全ての方々を収容する避難地はございません。
2点目に付いては、1点目でお答えした地域が 該当するものと考えております。
3点目については、平成20年8月6日の集中豪雨では、高槻市障がい者福祉センターの地下駐車場に雨水が流入しエレベーターが使用不可となったとの報告を8月7日付けで受けておりましたが、復旧に要した費用については把握しておりません。
4点目については、東日本大震災では、マグニチュード9.0という地震が発生し、想定外の津波により甚大な被害が発生しております。また、台風第12号による被害でも、水害や土砂災害が発生しております。今後、国や大阪府において被害想定などの見直しが行われるとお聞きしておりますが、想定を超えるような被害が発生した場合には、まず身を守り避難所に避難することが重要であると考えております。本市においても、水害や土砂災害時における避難勧告等の発令に関し、「避難勧告等の判断伝達マニュアル」を策定したところです。
■北岡の質問
交通部の問題を飛ばして、次に、防災について8点お聞きします。
まったくひどい答弁です。捏造答弁といってもおかしくはないと思います。
濱田市長が、京大農場周辺の「地域は徒歩で避難できる場所がない。」と新聞記者に言ったとされているので、「本当に、京大農場周辺の地域には、徒歩で避難できる場所がないのか?」と尋ねたわけですが、その答えが、「大阪府災害に強い都市づくりガイドライン」の基準に従えば、「避難圏域の全ての方々を収容する避難地」はない、というものでした。
苦し紛れに、唐突に、大阪府のガイドラインなんて出してきて、現在ありもしない避難圏域なんていうものも出してきたわけですが、もし、記者会見の場で、府のガイドラインのことを、濱田市長が説明したというのなら、言い訳として「あり」かもしれません。しかし、濱田市長は記者会見では一言も府のガイドラインのことには触れていないと市の職員の方から聞きました。つまり、朝日新聞の報道は誤報ではないということです。「この地域は徒歩で避難できる場所がない。」という趣旨のことを、濱田市長は、本当に言ったということです。
はっきり言って、濱田市長の失言だと思いますが、自らの失言を取り繕うために、府のガイドラインを強引に持ち出した。後付けのめちゃくちゃな捏造答弁だと思います。
「この地域は徒歩で避難できる場所がない。」と市長さんが言っていたということになれば、実際に火災などが起きたときに「逃げ場所はないのか…」と避難を諦めて焼け死ぬ人が出るかもしれません。下手をすればパニックを引き起こしかねない言葉だと思いますし、今まで高槻市は、そんな地域をほったらかしにして、何をしてきたのか、ということになるはずです。
あるいは、京大農場を防災公園にしないと大変なことになる、というふうに脅しのようなつもりで言ったのかもしれませんが、市長の言葉としては極めて不適切であると言わざるを得ません。
実際には、京大農場周辺には、学校や準広域避難地があるわけですから、避難できる場所があるはずです。場合によれば、京大農場に逃げればいい。京大農場を買取りたいがためなのか分かりませんが、軽々しくこういういうことを市長が記者会見で公言するというのは、不見識で無責任です。
地域の皆さんにお詫びをして、「実際には徒歩で避難できる場所があります。」と訂正して、具体的な避難場所を示して、謝罪をするべきだと思いますが、そのような考えはないのでしょうか?お答えください。これが1点目です。
(2)答弁にもありましたが、府のガイドラインによると、広域避難地に接続された幅員16m以上の避難路から500m以内かつ歩行距離の合計2km以内で広域避難地に到達できる区域、並びに広域避難地の周辺500m以内の区域を「避難圏域」として、それ以外の区域を「避難困難区域」と定義づけていますが、この基準に従って、「避難困難区域」を設定すると、それは、どの場所に、どれだけの面積が生じるのでしょうか?市の東部の一部の地域は明らかに避難困難区域に該当すると考えられますが、その他の場所も避難困難区域になるはずです。どの場所に、どれだけの面積が生じるのか、具体的な地名、具体的な面積をお答えください。
(3)「地域防災計画に不備があったのか?」と先月の史跡整備等特別委員会で尋ねたときには、明確な答弁がありませんでしたが、府のガイドラインの基準に従うと、「避難困難区域」が生じるということは、市の地域防災計画に不備があるということなのでしょうか?お答えください。
(4)府のガイドラインには、「市街地内にある貴重なオープンスペースである農地を『防災農地』として避難地等として活用する」として、府の事業である「防災農地整備事業」が紹介されています。この事業は、「農空間の多面的機能の一つである『防災』に着目して・・・防災上の効果が高い農地を対象として農地の保全活用を目的とした地域活動に係るソフトの補助や営農継続のために必要な水路の整備などのハード整備を行う」とされていますが、高槻市において、この事業を活用した事例はあるのでしょうか?お答えください。
(5)今年起きた東日本大震災や台風によって得た教訓というのは、津波や大雨・豪雨による水害への対策をもう一度見直すべきだということではないかと思います。
府のガイドラインには、「津波により浸水する可能性の高い地域では、浸水状況を考慮し、避難ビルなどの避難施設を設定する。」「周辺に適切な避難地がない場合には、3階以上の鉄筋コンクリート造などの避難ビルを選定するなど避難場所を確保する。」などとあります。6月議会で私が指摘し要望したことと同じ趣旨のことが書かれているわけですが、この取り組みについては進んでいるのでしょうか?現在の進捗状況をお答え下さい。
(6)小中学校の防災備蓄倉庫を、津波に備えて高い場所へ移すべきだということも6月議会で訴えましたけれども、市役所の備蓄倉庫も、総合センターの地下にあるということで、水害の際には水に浸かる可能性があります。6月議会では総務部長から、学校の備蓄倉庫に関して、「3階以上に移せば、それは望ましいというふうなことについては、既に課題として認識している」という答弁がありましたが、備蓄倉庫の移動についての進捗状況と今後の予定をお答えください。
(7)過去5年間に台風・ゲリラ豪雨等によって、市庁舎や施設がダメージを受けたのか、復旧・修理にどれだけ費用がかかったのかという問いに対して、「幸いなことに本市では発生しておりません。」という当初の答弁原稿を修整して、平成20年8月6日のゲリラ豪雨で、高槻市立障害者福祉センターの地下駐車場が水没して、エレベーターが故障したことを認めたわけですが、復旧に要した費用は把握していないとのことです。私が調べたところでは、312万9千円かかったそうですが、こうした被害や費用については、議会に対して報告がありませんでした。また、当初の答弁原稿では、被害はないとしていましたけれども、危機管理課では、この被害について把握していなかったのでしょうか?あるいは隠ぺいしようとしたのでしょうか?お答えください。
(8)高槻市立障害者福祉センターのエレベーターがゲリラ豪雨によって故障したことについては、市の対応に不備がなかったのでしょうか?エレベーターのかごを上の階に上げておけば、故障は防げたのではないのでしょうか?お答えください。
■市側の答弁
(総務部長)
1点目 本市の災害時における広域避難地は市域に偏在しており、また当該地周辺には準広域避難地のみであることから、防災機能を高めるためには、地域における広域避難地が必要であると考えております。
2点目については、京大農場周辺や茨木市との行政界付近などが該当いたします。
3点目については、市地域防災計画に防災空間の整備として「市は、避難地・避難路の確保、火災の延焼防止、災害応急活動の円滑な実施を図るため、公園緑地、道路、河川、ため池、水路、終末処理場などの都市基盤施設の効果的整備、農地などのオープンスペースや学校、公営住宅などの公共施設などの有効活用を図り、防災空間の確保に努める。」としており、不備はないと考えております。
5点目について、大阪府の地震被害想定の中では、本市に津波被害は及ばないとされており、現在、津波避難ビルの設定などの取組は行っておりません。
6点目について、小中学校の防災備蓄倉庫の水害対策につきましては、教育委員会と協議を行っておりますが、今後、小中学校におけるスペースの確保など調整を進めて行きたいと考えております。
7点目について、被害状況の報告は受けておりましたが、質問をいただいた段階で十分な調査ができておりませんでした。隠ぺいをせんがためにしたものではありません。
(都市産業部長)
4点目 府の事業である防災農地についてのお尋ねにお答えいたします。高槻市では、防災農地整備事業を活用した事例はございません。
(保健福祉部長)
8点目 平成20年8月のゲリラ豪雨につきましては、極めて短時間に大量の雨が降り、このことによって同センター地下駐車場に雨水が流れ込み、エレベーターに浸水したものでございます。
同センターとしては、利用者の安全確保が最優先であり、結果として、対応に不備はなく止むを得ないものと考えております。
■北岡
まず、防災についてです。
濱田市長の失言については、全然答えになってないじゃないですか。ということは、京大農場周辺には「徒歩で避難できる場所がない。」という言葉は取り消さない。それが、高槻市の見解だ、濱田市長の見解だということです。「住みやすさナンバー1」と言っていたけれども、「徒歩で避難できる場所がない。」というデマ・偽りを言って、住民を恐怖に陥れるのが、濱田市長のやり方のようです。
8月5日の史跡整備等特別委員会で、私は、現在の地域防災計画においては、京大農場周辺にお住まいの方はどこに避難することになっているのかと尋ねました。すると、市は、家族や地域で避難場所や避難経路について話し合って決めて下さいというような答弁をしました。けれども、「徒歩で避難できる場所がない。」のであれば、話し合っても無駄じゃないですか。
大阪府のガイドラインを持ち出したくせに、「避難困難区域」の把握も正確に出来ていない。幅員16mの道なんて、高槻市内では国道か、府道の一部くらいしかないわけですから、府の基準に従えば、「避難困難区域」の定義に当てはまる場所は、かなりの数に上るはずです。その具体的な地名や面積をいえないということは、府のガイドラインを軽視・無視してきた、考慮してこなかった。つまり、危機管理の仕事をちゃんとしてこなかった。単に、濱田市長の失言をごまかすために、今日持ち出した、ということです。
府のガイドラインを持ち出したことで、むしろ墓穴を掘ったのではないかという感じがします。
それから、高槻市としても、農地等のオープンスペースを活用して防災空間の確保に努めるということです。ぜひ、京大農場も、移転させずに、防災空間として活用・確保してください。
高槻市地域防災計画に不備はないというんですが、徒歩で避難できる場所の無い地域があるともいう。言っていることが矛盾しているのではないのでしょうか。
障害者福祉センターの件ですが、平成20年8月6日のゲリラ豪雨の当時の話を聞いたら、地下駐車場に降りるスロープに土のうを積んで、浸水を防ごうとしたそうです。土のうを用意して、運んで、積む時間があったわけです。そんな時間があるなら、エレベーターのボタンをポチっと押して、かごを上の階に引き上げることができたはずです。保健福祉部長は、何をもって、対応に不備がなかったというんでしょうか。利用者の安全確保が最優先だとおっしゃられましたが、もし利用者の方がエレベーターの中にいたら、どうなっていたのでしょうか?かなりヤバい事態になっていたんじゃないですか?だから隠ぺいしようとしたんじゃないんですか?
1回目の質問で言いましたが、当初の答弁原稿では、市の施設の被害について、「幸いなことに本市では発生しておりません。」というものでした。それが、「質問原稿をもらった段階では十分な調査ができていなかった」といって、答弁を変更されたわけですけれども、記憶に新しい3年前のゲリラ豪雨のときに起こったことについて、把握していないというのはおかしいですよね。やはり、対応に不備があったから、事実を隠ぺいしようとしたのではないのでしょうか。
今年は東日本大震災や台風による被害があったので、市民の防災意識も高まっているはずですし、この機を捉えて、地区毎に避難訓練などをするべきではないかと思うんですが、もし訓練をするとしても、陣頭指揮をとるべき高槻市役所・濱田市長がこういう姿勢であれば、本当にちゃんとした訓練になるのか、非常に不安になります。徒歩で避難できない京大農場周辺の方は、どんな避難訓練をすればいいんでしょうか?
本当に市民の安全安心を考えるのであれば、濱田市長には失言を取り消してもらって、具体的な避難場所を示していただきたいところですが、もし、濱田市長、何か思うところがあるのでしたら、ご答弁下さい。
■答弁の時間は十分にあったが、理事者らは顔を見合わせるばかりで、誰も答弁しなかった。
↓人気ブログランキングに参加中!
クリックに感謝!
-
実際には避難できる場所があるのに、教えてくれないということは、浜田市長は、住民に、死ねと言っているのですね。
死にやすさナンバー1のまちだよ、高槻市は。