<以下、続きです>
高槻市のサイトで2学期制に関する意見募集、いわゆるパブリックコメントが始まりました。期間は11月30日までです。
私は、高槻市が進めようとしているこの「2学期制」には反対です。以下にその理由を記します。
■高槻市から子ども達が消えていっている
平成17年の国勢調査で、大阪府の人口は5年前より11,900人増加していることが分かりました。高槻市を含む三島地域でも6,478人増。しかし高槻市だけを見てみると、5,635人も減少しているのです。吹田市は5,924人増、茨木市はなんと7,328人も増加しています。
どうして高槻市の人口は、近隣市に比べてこれほど減少したのでしょうか。高槻市が交通・住宅・財政等の面で特に悪いわけではありません。
高槻市の人口減少の詳細について私が調べたところ、非常に深刻な状況が浮かび上がってきました。高槻市から、子ども達が消えていっているのです。
例えば、平成元年生まれの子ども達。正確に言えば、平成元年12月31日時点で高槻市に在住していた0歳の子ども達の人数は、3,610人でした。その子たちが7歳になり大半が小学1年生になったとき(1〜3月生まれは小学校2年)、11.2%減の3,204人に。さらに中学校1〜2年の13歳になったとき、0歳時と比べ、16.1%減の3,028人までに人数が落ち込んでいたのです。
他の年代を見ても、1〜2歳時に一時人口が増加するものの(子育てのために実家のある高槻に戻るのではないかと思われる)、小学校就学時(7歳)には5〜12%減少し、中学校就学時(13歳)に11〜16%も減少しているのです。
高槻市のサイトには公表されていませんが、平成12年6月に高槻市がまとめた「高槻市総合計画策定関連資料」には、高槻市が平成10年に高槻から転出した世帯主500人に対して行ったアンケート調査の結果があります。その中で、「高槻市の課題は?」という問いがあるのですが、一番多かった答えは「道路交通の渋滞緩和」(53.2%)。そして2番目が、「子どもの教育環境の向上」(27.9%)でありました。
つまり、悪名高い高槻市の公教育を嫌った親達が、子どもの教育のために、高槻から引っ越しているというのが、高槻市から子ども達が消えていっている大きな理由だと考えられるのです。
子ども達が高槻市から消え去ってゆくということは、その親達・労働力人口も去ってゆくということです。少子化に加え、消えてゆく子ども達と労働力人口の流出。高齢化でお年寄りだけが残っていく・・・大変に根深い危機が、高槻市では進行しているのではないかと私は考えています。
■高槻の教育を変えるには
高槻市では、日教組などの教職員組合の思想に染まった教師達によって、成績にかかわらず出身中学校の近くの高校への進学を強いる「地元集中」や、通知表に評価をしない・徒競走で同時にゴールさせる等の結果平等主義・悪平等の教育、偏向した歴史教育、過激な性教育などがされ、全国的にも悪名を馳せました。
高槻市で就学援助を受けている子ども達はここ10年で3倍にもなりました。すべての子ども達が私立の小中学校に通えるわけではありません。真面目に勉強し、努力すれば、学歴や資格を得て、貧困から抜け出せる。そういう道を作ることが、機会平等・公正な社会を実現させると考えます。公的な教育の環境が悪ければ、格差も固定化されたままでしょう。いやむしろ高槻市の場合は、今までが悪かった分、失った信頼を回復するためにも、他市よりも良い教育環境を目指すべきではないでしょうか。
その実現のためには、私は小中学校を「球団方式」にして、生徒が自由に学校を選択できるようにし、さらに高槻市独自の小中高一貫校を設立して、生徒も学校も競争をさせるべきだと考えています。少なくとも、生徒の学力を全市的なレベルで把握するための統一テストの実施が必要でしょう。確実に言えることは、今のままでは、高槻の教育に対する不信感を払拭できないということです。
■2学期制モデル校の偽装は、ギター侍風に斬れ!
教育に対する信頼回復が必要なそんな時期に、高槻市の教育委員会は「2学期制」を来年度から実施しようとしています。
私はこれまで、2学期制推進委員会やシンポジウムを傍聴してきましたが、2学期制には、まったく意義が見出せませんでした。
推進委員会やシンポジウムで、2学期制を試行しているモデル校から「2学期制の成果」らしきものとして発表されたものは次のようなものでした。
○夏休みに設けられたサマースクール・授業日・補充授業・三者懇談
○授業研究
○生徒による授業評価・自己評価
○生徒会活動の活性化
○JASMIN運動(J:授業を大切に A:挨拶 S:掃除 Mi:身だしなみ N:ノーチャイム)
○保護者との信頼関係の充実
○実力テストの結果の度数分布表の配布
○不登校の改善(改善したような気がする程度)
など
これらのことは、2学期制と、どのような関係があるのでしょうか。夏休みのサマースクール・授業日も、JASMIN運動も他のことも、何故に3学期制では出来ないのですか。
紅白歌合戦にも出演した「ギター侍」風に言えば、
「でもあんた、それって2学期制と全然関係ないですから!残念〜!
こっそり学校の裁量を拡大しようとするな、斬り!」
となるのではないかと思います。
「2学期制だからこれらのことができた」のではなく、「モデル校として何らかの成果を出して教育委員会や保護者の前で発表しなければならないから、無理やりに『成果』として『偽装』した」のではないのでしょうか。
2学期制のデメリットが目立ち、3学期制に戻した学校もあります。モデル校の先生は、良いことしか言いませんでしたが、デメリットは発生しなかったのでしょうか。その部分も偽装があるのではないでしょうか。
■「高槻市の2学期制」の問題点
「高槻市の2学期制」の何が一番の問題なのか。私は、元教員の職員が多くいる高槻市教育委員会は、実は「2学期制の実施という衣に包んで、学校裁量の拡大を目論んでいる」のではないかと考えています。
2学期制について、保護者が何に不安を覚えるか。それは、通知表と定期テストの回数が減る、ということではないでしょうか。
ところが、「通知表に代わる」というようなニュアンスで語られている補助簿・補助資料も、学校裁量になるのです。補助簿・補助資料を作らないモデル校すらありました。
定期テストの回数も、なんと学校裁量に。中学校で定期テストは3学期制では計5回行われますが、モデル校の一つである高槻市立第七中学校では、前期後期各2回の計4回に減ってしまいました。
つまり、通知表と定期テストの回数について、すべての学校が、保護者の不安に応えてくれるとは限らないのです。
保護者が一番不安に思っていることを、どうして教育委員会は「学校裁量」として、学校・教師任せにしてしまうのでしょうか。多くのことが学校裁量にされれば、また悪平等のおかしな教育がされるようになっていくのではないでしょうか。これによって学校間に格差が生じることは間違いないでしょう。
教育委員会は、2学期制の実施によって「特色ある学校づくり」を目指すとしています。「特色ある学校」というのは、具体的に、どんな「特色」をもつのでしょうか。「特色ある学校づくり」という言葉そのものに、私はまやかしを感じます。
学校裁量の拡大がされればどうなるか。日教組などの組合の先生が跋扈し、また悪平等・反日的歴史教育・ジェンダーフリー等の歪んだ教育がより巧妙に進められる可能性も、なくはないと思います。
裁量権をいったん学校に渡してしまうと、取り戻すのは容易ではないでしょう。制度を元に戻すには、また2学期制と同じような議論・試行期間等で数年を要するのではないでしょうか。
2学期制の実施は、少なくとも凍結すべきだと私は考えています。
高槻市民の皆さんにも、ぜひ真剣に考えていただきたいのです。考えた上で、パブリックコメントなどを通じて、高槻市教育委員会に働きかけていただけないでしょうか。
★2学期制に関する意見募集(パブリックコメント)
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/sonota/gakkouform.html
■2学期制関連記事
その他、推進委員会やシンポジウムを傍聴した私の感想などにご興味をお持ちの方は、以下の関連記事をご覧下さい。
2006年05月08日 2学期制は、是か非か?
2006年05月10日 夢を教師に潰された彼女のこと
2006年06月09日 2学期制推進委員会を傍聴しました
2006年06月12日 やはり納得がいかない2学期制
2006年06月13日 2学期制にするなら、こうしろ!
2006年06月13日 「球団方式」にすれば、学校は劇的に変わる。
2006年07月19日 第2回二学期制推進委員会の傍聴
2006年09月04日 今更ながら高槻市のプールの安全金具の話
2006年09月11日 「2学期制」なのに「3つのステージ」とは?第3回推進委員会を傍聴して(前編)
2006年10月12日 「2学期制」は「ギター侍」風に斬れ!第3回推進委員会を傍聴して(後編)
2006年10月28日 2学期制試行実践報告会
2006年10月30日 2学期制推進シンポジウムの感想
2006年11月05日 いよいよ2学期制のパブコメが始まった
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教育委員会がどうしてこのようなことを進めようとしているのか、私も疑問を覚えます。
学校の裁量をこっそりと増やそうとしているならひどい話ですね。