土地開発公社という外郭団体を、多くの自治体がもっているのですが、地価の下落傾向が続く中で公社が公共用地を先行取得するメリットがなくなったとか、あるいは公社が長期間土地を保有することで借入利息が累積していくといった理由で、公社を清算し、解散する自治体も増えてきました。
公社がもつ土地は、最終的には自治体が買い取らなければいけないのですが、時価ではなく、簿価で買わなければならないというルールになっています。簿価には、公社が取得した時の土地代だけではなく、公社がその土地を買うために銀行等から借り入れた借金の利息も含まれています。ところが、この利息が滅茶苦茶に膨らんで、買おうにも買えず、土地が塩漬けになっている場合が多いのです。
高槻市の場合も、昭和48年〜49年に購入した土地の取得金額の合計が約1億2千万円なのに対して、利息は約4億5千万円と、約4倍にもなっています。ただし、高槻市の場合、銀行等から借り入れた後、高槻市土地取得基金から無利息で借り入れ、銀行等に返済する、いわゆる借り換えを行っているので、上記の利息については、これ以上膨らむことはありません。
じゃあ高槻市も公社を清算・解散して、高槻市自身が土地を取得すればいいじゃないか、ということになりますが、そうすると高槻市が損をする場合も出てくるのです。
高槻市の説明によれば、道路建設等を目的に、公社が先行取得した土地を市が買い戻す場合は、国庫補助の対象の対象になるのですが、市が直接公共用地を取得した後で国に補助金を申請しても、補助対象にはならないとのこと。
市が直接土地を取得しても、国が補助金をくれればいいのですが・・・どうして公社が先行取得しないと補助金を交付してくれないのか?こうした国のルールが、土地開発公社の塩漬け土地や不透明な土地取引の問題を助長しているともいえます。このルールをぜひ改正してほしいものです。
国がこんな訳の分からないルールを変えてくれさえすれば、土地開発公社を解散できるのですが・・・もちろん、清算する際には、市の財政状況にも注意しなければいけませんが。
私は先月の議会で 公社所有の土地の時価と取得金額の間には、どれだけの差があるのかと質問しましたが、「時価については把握していない」といった答弁でした。
時価と簿価には相当な開きがあるはずで、いってみれば「含み損」を相当抱えていると考えられます。時価を明らかにすれば、大きな「含み損」があることが露わになるので、それを恐れているのではないかと思いますが、ちゃんとそういうこともオープンにして、どのように資産活用すべきか検討すべきです。
先日、オンブズ近畿ネットの勉強会で、オンブズ和泉の小林さんが、公社が固定資産税を払っておらず、時効になったため市に損害が発生した件で勝訴された(しかも本人訴訟!)との報告をされていたので、高槻市ではどうなのかと議会で尋ねましたが、高槻市の公社はちゃんと固定資産税を払っているようです。
以下は先日の議会での質問と答弁の原稿です。本番での発言とは若干異なっていることをご了承ください。
<質問・1回目>
(1)地価の下落傾向が続く中で土地開発公社が公共用地を先行取得するメリットがなくなったとか、あるいは土地開発公社が長期間土地を保有することで借入利息が累積していくといった理由で、土地開発公社を清算し、解散する自治体も増えてきたようですが、高槻市ではどうお考えなのでしょうか?土地開発公社の現在の必要性についてどのようにお考えなのか、見解をお聞かせ下さい。
(2)仮に土地開発公社を清算する場合、財政的な影響・事務上の影響は、どのようなものになるのでしょうか?お答えください。
(3)公社が保有する土地の収益の状況はどうなっているのでしょうか?それぞれの土地ごとの契約内容・賃貸等の状況をお教え下さい。
(4)公社が保有する土地については、固定資産税を毎年度ちゃんと支払ってきたのでしょうか?過去10年度分の実績をお答えください。
<答弁>
>1. 高槻市土地開発公社は、「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づき、高槻市が設立した団体でございます。
現在は、主に新名神高速道路の関連道路等の用地買収につきまして、土地開発公社の先行買収制度を有効に活用して、事業を推進しております。
>2. 土地開発公社の解散の手続きにつきましては、本市が議会の議決を経て、大阪府知事の認可を受けることになります。
本市では、国の補助制度の活用を図りながら事業を進めていることから、土地開発公社の解散によって、用地取得交渉を計画的に行っていくことができず、用地買収を必要とする本市の主要な道路整備の進捗に多大な影響を与えることとなります。
>3. 保有土地賃貸等収益の内訳につきましては、土地開発公社が保有している梶原代替地の一部を、市内私立保育園に対して、有償貸付を行ったことに加え、駐車場として貸付を行った収入がございます。
>4. 土地開発公社が支払っている固定資産税及び都市計画税ですが、平成23年度につきましては、 桃園町の事務所棟の建物及び梶原代替地の土地に係る税額387,000円を土地開発公社から高槻市に納付しています。また、過去10年間の固定資産税等納税額につきましては、209万9,200円でございます。
<質問・2回目>
(1)「国の補助制度の活用を図りながら事業を進めていることから、土地開発公社の解散によって、用地取得交渉を計画的に行っていくことができず、用地買収を必要とする本市の主要な道路整備の進捗に多大な影響を与える」とのことですが、土地開発公社を解散すると、国から補助金をもらえなくなるのでしょうか?
(2)公社ではなく、高槻市自体が用地取得交渉や用地買収をすることはできないのでしょうか?
(3)公社は、土地の取得時には金融機関から借り入れるものの、高槻市土地取得基金から無利子で借り入れて金融機関に返済していると聞きました。土地を取得する時点で、基金から借り入れることはできないのでしょうか?
(4)現時点で、公社を解散し、公社が所有する土地を市が買い取った場合、土地の時価と取得金額の間には、どれだけの差が出るのでしょうか?
(5)「固定資産税」という名目は決算書には現れていないのですが、固定資産税は、どの科目に計上されているのでしょうか?
<答弁>
>1.>2. 1点目及び2点目でございますが、市が用地を直接買収することは可能ですが、国庫補助金の内示を受けて、用地取得交渉に着手することとなりますことから、公社が先行取得を行うことで、国庫補助金を最大限活用することが可能でございます。
>3. 土地取得基金の活用だけでは、用地取得計画に掲げるすべての用地を買収することはできませんので、金融機関から借入を行っております。
>4. 長期保有地の簿価で管理しておりますので、時価につきましては把握してございません。
>5. 決算書14ページの損益計算書の3販売費及び一般管理費の(2)経費に計上されています。 また、18ページのキャッシュフロー計算書の事業活動のその他事業支出にも計上されています。
<質問・3回目>
(1)補助金についてですが、「国庫補助金を最大限活用することが可能」とされる根拠がよく分かりません。公社は土地を先行取得する。その土地は、将来的には市が買い戻さなければならない。そうすると、補助金があろうがなかろうが、最終的には、土地代は市の負担になるということになるのではないのでしょうか?あるいは、公社が先行取得した土地を第三者に転売するとしても、市が土地を取得してそれを第三者に転売する場合と、どう違うのでしょうか?市が、公社に代わって、土地取得のための予算を組めばよいだけなのではないのでしょうか?それとも、市は国の補助金の内示がなければ、予算を組めないのでしょうか?こうした諸点について、市の見解をお聞かせ下さい。
(2)これも補助金についてですが、仮に公社が土地を先行取得した後に、国から補助金が得られなかった場合と、市が直接土地を取得した後に、国から補助金が得られなかった場合と、どのように違うのでしょうか?お答えください。
(3)奈良市の土地開発公社の問題が最近報道されましたので、念のためお聞きしますが、公社の取得してきた土地は、鑑定評価に基づいた価格で取引されてきたのでしょうか?また、その取引先が、市長や議員、あるいはその関係者であった場合はなかったのでしょうか?それぞれお答えください。
あとは私の意見ですが、公社を清算・解散した自治体が、どのように土地を取得しているのか、国の補助金を活用しているのか、調査・研究すべきではないかと思います。
決算書の17ページにあるとおり、「代替地」の「金額の内訳」の合計を見ると、取得金額が約1億2000万円なのに対して、支払い利息が約4億5000万円。支払い利息が、取得金額の約4倍にもなっています。市が買い戻す場合には、取得金額と共に支払い利息の分も払わなくてはいけません。高槻市が直接土地を取得すれば、利息を含んだ簿価で市が買い取らなければならないということもなくなります。
土地の時価と取得金額の間には、どれだけの差があるのかと、先ほどお聞きしましたが、答弁はありませんでした。時価と簿価には相当な開きがあるはずで、いってみれば「含み損」を相当抱えていると考えられます。時価と簿価を明らかにすれば、大きな「含み損」があることが露わになるので、それを恐れているのではないかと思いますが、ちゃんとそういうこともオープンにすべきです。
高槻市では、アセットマネジメントということで、資産活用に取り組むとしていますが、土地開発公社の保有する資産の価値についても、概算でもいいので金額を提示して、説明できるようにすべきです。
高槻市の財政状況は、他市と比べて良い方だということですが、将来的には厳しくなっていくと市も予測しています。公社の行く末をどうするのか、市の財政状況も見ながら、しっかりと考えて、早いうちに、結論を出して実行すべきではないでしょうか。
補助金に関しては、国のやり方がおかしいかもしれませんので、国に対しても改善を要望すべきだと思います。以上です。
<答弁>
1点目と2点目につきまして、まとめてご答弁申し上げます。
市が直接公共用地を取得した後で、補助金を申請しましても補助対象にはなりませんが、公社が先行取得した土地を買い戻す場合は、国庫補助の対象となりますので、本市においては、この制度を有効に活用して、公共用地を取得し、事業の推進を図っております。
公社が用地を取得する際の土地の評価に関してですが、取得先の相手に関わらず、国が定める「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」等に基づき、適正に行っております。
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相続税でも土地は時価が基本です。