企業職員の給与は、生計費、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、当該地方公営企業の経営の状況その他の事情を考慮して定めなければならない。
と定められています。現在ほとんどの自治体で公営バス事業が廃止されていますから、民間のバス会社の運転手さんの給与の水準を考慮して、市バスの乗務員の給与を決定しなければならないはずです。
ところが、高槻市の資料「高槻市の給与・定員管理等について」によると、市バスの乗務員の給与と民間のそれとの格差はどんどん拡大。平成19年度は1.23倍、20年度は1.30倍、21年度は1.33倍、22年度は1.48倍となっています。
この資料の民間の数字は何を根拠にしているのかと、先日議会で質問したのですが、「算定ベースが定かでございませんが総務省が提供するデータ」との答え。
週刊ポストの記事によると、民間のバス運転手の平均年収は435万5600円とされています。これは、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」が根拠とのこと。
高槻市バス運転士の非常勤職員の平均年収についても質問したところ、約440万円との答弁・・・もしかすると、民間の正規職員の給与は、高槻市バスの非常勤より低いのかもしれません。
これだけ民間との格差が開いた責任は、これまでほとんど給与改定に取り組んでこなかった交通部当局にあると思います。民間に近づけるよう給与をさげなければならないと思いますが、いくら給与が高いとはいえ、一気に下げるのはかわいそうですし、労働組合も反発するでしょう。
私は、労使双方、公務員としての自覚をもって、地方公営企業法38条3項の趣旨を汲み、毎年給与の見直しをして、民間の水準に近づけましょうという、基本的な合意・基本協定を締結すべきだと思います。そして、年度毎に、民間バス会社の給与水準を考慮した給料表に改めるべきです。
濱田市長は、労働組合から選挙で応援してもらい、労働組合の定期大会であいさつするくらいですから、組合とは仲が良いはず。であれば、上記のような基本協定を結べばどうでしょうか?そういうことができないのであれば、やはり労働組合と癒着して、高い給与を維持しているんだなと、だから組合の定期大会に出席してあいさつしたんだなと、今後も考えざるをえません。
それでも、現実的には給与を一気に下げることはできないでしょうから、当面は・・・
・今後、乗務員についてはすべて非常勤職員を採用し、正規職員は採用しない。
・時間外勤務・休日出勤が多いので、非常勤を多く採用して職員を増やすことで、時間外勤務を減らす。
・時間外勤務が発生する場合でも、できるだけ非常勤を当てる。
・・・という方針で経営すべきだと思います。
市バスでは未だに、かつての労組幹部優遇ダイヤや、「透明バス」と私が名前を付けて追及した勤務時間の水増し・ヤミ休憩時間、組合役員の勤務変更で生じる差異の時間を待機や時間外勤務とする扱いを続けているようですが、これらは廃止すべきです。なぜこれらの廃止が改革案に盛り込まれないのでしょうか?
名古屋市では、職員採用で不正があり、市議の口利きがあったとか。こういう疑念をもたれないように、乗務員の採用試験については、外部の公平な第三者に委託すべきだと思います。
そして、労働組合に対して、最小限の広さの事務所以上に、会議室や倉庫などを使用させているようですが、それらについては有料とすべきです。裏金で設置した喫煙施設などについても、責任者からお金をとるべきでしょう。
こういうことが今の管理者にできないのであれば、大阪市交通局のように、管理者を民間企業出身の方に替えてもよいのではないでしょうか。労働組合は橋下市長のことを批判していますが、市民は、大阪市バスでされているような改革を望んでいるのではないでしょうか。
営業所売上金不明事件については、未だに約1700万円が、誰が盗んだのか、あるいは盗まれたのかすら分からないという状況ですが、やはり鍵の管理を怠った管理職側に責任があると思いますので、歴代の管理者、歴代の運輸課関係の管理職が、カンパ・寄付で集めるなりして、交通部に1700万円を入金するというのも一つの選択しだと思います。それが一番きれいな解決方法ではないでしょうか。そうでもしないと、「管理者はじめ幹部職員は、改革などと言いながら、乗務員に合理化を押し付けるだけで、自分達は不祥事を起こしながらぬくぬくしているのか」と、現場の職員は上司についてこないと思います。
濱田市長は、労働組合の定期大会で、選挙での公約どおり市営バスを守っていくと発言したそうですが、公営バスを守ることと、労働組合の利権を守ることを、履き違えないようにしていただきたいですね。
以下は私の先日の市バス乗務員の給与に関する質問と市の答弁の要旨です。原稿を基にしていますので、実際の発言とは若干異なっている可能性がありますが、ご了承ください。
■5 バス運転手給与の公民格差が約1.5倍であることや改革等について
【質問】
「高槻市の給与・定員管理等について」によれば、自動車運送事業の公営企業職員、つまり市バスの乗務員の給与は、平成23年4月1日現在、年収ベースで、平均、719万7348 円。かたや、民間は487万6000 円とされ
ています。つまり、公民格差・官民格差は、1.48倍となっているわけです。これらについて6点伺います。
(1)この民間の数字は何を根拠に、どのように算出されてしているのでしょうか?
(2)高槻市の給与は「団体平均」よりも高いとされていますが、この「団体平均」の数字は何を根拠に、どのように算出されているのでしょうか?
(3)市職員の給与には、再任用職員の数字も含まれているのでしょうか?
(4)非常勤職員の年収の平均はどれだけになるのでしょうか?
(5)ここ数年の数字を見ると、民間との格差は、19年度1.23倍、20年度1.30倍、21年度1.33倍、22年度1.48倍とどんどん広がっています。地方公営企業法38条3項では、企業職員の給与は、・・・類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与等を考慮して定めなければならないとされていますが、そのような考慮はされてきたのでしょうか?
(6)最近、「乗務員全体研修」というものを行って、その中で「市営バス特別改革報告書」を配布していると聞きましたが、その狙いは何なのでしょうか?
それぞれお答えください。
【答弁】
北岡議員の6点に渡るご質問に、お答えいたしますが、内容が他部所にも渡ることから、調整の上、私の方からご答弁申し上げます。
1点目及び2点目の民間の年収ベースの根拠、団体平均の根拠についてですが、いずれの数字につきましても、算定ベースが定かでございませんが総務省が提供するデータに基づいております。
3点目については、市職員の給与には再任用職員は含まれておりません。
4点目については、平成23年度の報酬に係る決算額を年度末の非常勤運転士数で割り戻した金額で約440万円となっております。
5点目については、企業職員の給与は、地方公営企業法第38条第3項の規定・趣旨に則り定めてまいったものでございます。
6点目については、今後改革を進めていくに当たり、職員研修として時機を得たテーマと考え実施したところでございます。
以上です。
【質問】
(1)「地方公営企業法では、職員の給与は、民間の従事者の給与等を考慮して定めなければならないとされているが、そのような考慮はしてきたのか」という質問に対して、「企業職員の給与は、地方公営企業法第38条第3項の規定・趣旨に則り定めてまいったものでございます。」という答弁です。けれども、現実に、民間との格差はどんどん拡大しています。努力が足りないのではないのでしょうか?交通部ではこれまで具体的に何をしてきたのでしょうか?お答えください。
(2)交通部には、輪番表というものがあり、これについては高槻市交通労働組合の「ダイヤ部会」が作成し、それを交通部が使用していると聞いたのですが、事実でしょうか?それとも、輪番表は、以前の企画室・現在の総務企画課で作成しているのでしょうか?お答えください。
(3)市長や管理者が、高槻市交通労働組合の定期大会に参加していますが、その狙いは何なのでしょうか?
(4)給与の引き下げについて、交通部当局は、それぞれの労働組合に対して、どのような提示をしているのでしょうか?また、それに対して、各労働組合は、それぞれ、どのように反応しているのでしょうか?お答えください。
(5)平成23年度の乗務員の超過勤務や休日出勤の状況はどのようになっているのでしょうか?お答えください。
(6)「乗務員全体研修」で「市営バス特別改革報告書」を配布しているのは、「今後改革を進めていくに当たり、職員研修として時機を得たテーマ」と考えているからだとのことですが、その改革には、正規職員および非常勤職員の賃金引き下げも含まれているのでしょうか?売上金不明事件を契機に、乗務員の賃金をカットしようと狙いが当局にはあるのでしょうか?お答えください。
【答弁】
北岡議員の2問目の7点にわたる質問に、答弁申し上げます。
1点目と6点目ですが、交通部においては市営バス経営改善計画により、効率的な企業経営を目指し、経営課題に取り組んでまいりました。市営バス特別改革は持続可能な公営企業を目指し、さらなる経営改善に取り組もうとするものです。
2点目の輪番表についてですが、総務企画課が営業所の意見を踏まえながら作成しております。
3点目についてですが、我々は、儀礼も含め参加・出席しており、その一環でございます。
4点目の勤務条件については、申入れをし、現在協議を行っております。
5点目については、貸切や臨時便等の状況の必要に応じて、乗務員は超過勤務や休日出勤をしております。
【意見】
一般職の職員の給与については、ラスパイレス指数というのもありますし、人事院勧告に準じて、毎年のように改定しているわけですが、企業職員・現業職の給与については、依然として民間よりも高い水準にあります。そしてそれが、1回目の質問で言ったように、民間との格差がどんどん開いていっている。法律に、民間の給与等を考慮せよと書かれている以上は、そのように労使双方で努力すべきです。
「高槻市の給与・定員管理等について」に記載されている民間や団体の数字の根拠を高槻市は知らないというのですが、週刊ポストの記事によると、民間のバス運転手の平均年収は435万5600円とされています。これは、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」が根拠だそうです。実は、民間は、もっと厳しいのではないのでしょうか?高槻市バスの非常勤の平均年収は約440万円との答弁でしたが、民間の正規職員の給与が、高槻市バスの非常勤より低いかもしれません。
答弁では「市営バス経営改善計画により、効率的な企業経営を目指し、経営課題に取り組んできた」とか「市営バス特別改革でさらなる経営改善に取り組む」とか言っていますが、私にはそうは見えませんね。まだまだ非合理な部分が多いじゃないですか。必要性もまったくないのに、未だにかつての労組幹部優遇ダイヤを残している。これは幽霊運転手のテレビ報道のときに指摘されましたよね。交通部は、これを、昼間に待機要員が必要だから残しているのだと言っていますけれども、他に待機者はいるし、昼間はバスの便数自体少ないし、緑が丘のほうが緊急出動が多いのに、組合4役の配置に合わせてこの仕業を設定しているから、緑が丘が1で、芝生が3という、説明がつかない配置になっている。「透明バス」と私が名前を付けて追及した勤務時間の水増し・ヤミ休憩時間も、未だに存在している。組合役員の勤務変更で生じる差異の時間に、必要もないのに待機を命じたり、時間外勤務手当を付けたりしている。こういうものはすぐに全廃すべきですが、労働組合に対する配慮・利益供与・便宜供与がずっとされ続けているわけです。
その原因は、市長が交通部の労働組合から選挙で支援を受ける関係にあるからじゃないんでしょうか。市長と管理者が高槻市交通労働組合の定期大会に参加したのは「儀礼も含めてだ」ということですが、その大会で、組合の委員長は、日本維新の会の橋下代表代行・橋下大阪市長を批判したうえで、「我々は、政治の動向、国会や地方議会の情勢に大きな影響を受ける。・・・
(時間がなくなり、以下は言えず)
・・・議会に、公営交通の存在意義を理解し主張してもらえる議員をいかに多く送りこめるかが重要だ。今後も選挙闘争・政治闘争は欠かせない。」というように宣言しています。一方の濱田市長は、選挙での公約どおり市営バスを守っていくと発言されています。市長と労働組合が、労使が、こういう関係にあるから、市バスの改革は進まないのではないのでしょうか。
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組織ぐるみで身内のかばい合い。
そこに利権が絶妙に絡むので余計にたちが悪い。
もう民営化して良いのかと。
せめて大阪市並に厳しい姿勢でやればよい。
それでも黒に近いグレーな市バスという印象は拭いされないと思う。
市の出先機関に市バスは要らない。
民間並みの経営に切り替えて(限りなく民間の感覚を取り入れる)徹底したコスト削減をする。
その上に、労使乱れた馴れ合い体質も見直す。不明金事件を教訓にする。経営を民間に委託してもよい。給料高すぎる。
高槻市バスも民営化してください。