私としては、投票所に整理券を持ってこなかった人に対しては、免許証等の提示を求める等、本人確認を厳格にしてほしいところで、そういうことをしている市もあるそうなんですが、そんなふうに各地で選挙をどう取り仕切るか決定するのは選挙管理委員会。高槻市では、4人の委員のうち、2人は議員OB。何故か?
その委員をどのように選ぶのかについては、地方自治法第182条第1項で次のように定められています。
選挙管理委員は、選挙権を有する者で、人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもののうちから、普通地方公共団体の議会においてこれを選挙する。
議会で選挙して選ぶのですが、多くの場合、「指名推選」(地方自治法118条2項と3項)という方法で選ばれるようです。
2項 議会は、議員中に異議がないときは、前項の選挙につき指名推選の方法を用いることができる。
3項 指名推選の方法を用いる場合においては、被指名人を以て当選人と定めるべきかどうかを会議に諮り、議員の全員の同意があつた者を以て当選人とする。
先日の12月議会で、選挙管理委員の4年の任期が切れるということで、新たな委員を選んだのですが、議会事務局から、以下の「申し合わせ」が会派間でされていると、事前に説明がありました。
○申し合わせ事項
選挙管理委員及び同補充員は下記の要領により、会派及び議長が候補者を選出し、選挙方法は指名推選とする。
1 選挙管理委員4人のうち2人については、高槻市議会議員経験者で、次の要件を満たす者の中から会派が候補者を推薦する。
なお、推薦する会派の順番は大会派(大きな会派)順とし、会派に該当者がいないときは、会派間で協議の上、順番の変更も可能とする。
(1)3期以上在籍した者
(2)選出時に70歳未満である者
2 残る選挙管理委員2人及び同補充員4人(順位を含む)については、議長が候補者を推薦する。(※選管事務局と調整の上、決定すること)
・・・この申し合わせがあるために、市議のOBが2名、選挙管理委員に選ばれるわけです。なおこの申し合わせは平成4年11月18日の会派代表者会議で決まったとのこと。
その2名の枠以外の委員2人+補充員4人の6名は、議長が推薦するとなっていますが、その顔ぶれは、市職員OBや教員OB。公務員OB以外の方が選ばれるということは、どうやらないようです。
このやり方に異議を唱えようと思ったのですが、ではこの8人に代わる人を用意できるかと言われるとできませんし、仮に用意できたとしても、議会は多数決ですから、選挙になっても数で負けてしまいます。結局今回は「異議なし」としました。
もし「選挙権を有する者で、人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもの」に該当する方がおられましたら、自己推薦を是非ともよろしくお願いしたいところです。
ちなみに、これまで、どの会派の議員OBが選ばれてきたのかというと・・・
平成4年 公明党・社会党
平成8年 市民連合・自民クラブ
平成12年 公明党・市民連合
平成16年 市民連合・自民党
平成20年 公明党・高志会
平成24年 公明党・高槻維新
継続的にOBを輩出している大きな会派による推薦が多くなるみたいですね。
選挙管理委員の1か月の報酬は、委員長が5万9000円、委員が5万円。実際の活動日数は、月3日程度のようです。
しかし、議員らが「申し合わせ」をしているのに、市職員OBまで推薦するのは何故なのでしょう。4人とも議員OBでもよいのに。市長・市役所側とも「申し合わせ」があるのでしょうか。
繰り返しになりますが、選挙管理委員が「人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有する」のであれば、なりすまし投票や二重投票を防ぐために、投票所に整理券を持ってこなかった人に対しては、免許証等の提示を求める等、本人確認を厳格にしていただきたい。実際にそういう不正が起きているのだし、「公正な識見」を有しているのなら、不正を防ぐ手立てを講じるべきでしょう。
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以下は、選挙管理委員会に関する地方自治法の条文です。
地方自治法
第四款 選挙管理委員会
第百八十一条 普通地方公共団体に選挙管理委員会を置く。
○2 選挙管理委員会は、四人の選挙管理委員を以てこれを組織する。
第百八十二条 選挙管理委員は、選挙権を有する者で、人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもののうちから、普通地方公共団体の議会においてこれを選挙する。
○2 議会は、前項の規定による選挙を行う場合においては、同時に、同項に規定する者のうちから委員と同数の補充員を選挙しなければならない。補充員がすべてなくなつたときも、また、同様とする。
○3 委員中に欠員があるときは、選挙管理委員会の委員長は、補充員の中からこれを補欠する。その順序は、選挙の時が異なるときは選挙の前後により、選挙の時が同時であるときは得票数により、得票数が同じであるときはくじにより、これを定める。
○4 法律の定めるところにより行なわれる選挙、投票又は国民審査に関する罪を犯し刑に処せられた者は、委員又は補充員となることができない。
○5 委員又は補充員は、それぞれその中の二人が同時に同一の政党その他の政治団体に属する者となることとなつてはならない。
○6 第一項又は第二項の規定による選挙において、同一の政党その他の政治団体に属する者が前項の制限を超えて選挙された場合及び第三項の規定により委員の補欠を行えば同一の政党その他の政治団体に属する委員の数が前項の制限を超える場合等に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
○7 委員は、地方公共団体の議会の議員及び長と兼ねることができない。
○8 委員又は補充員の選挙を行うべき事由が生じたときは、選挙管理委員会の委員長は、直ちにその旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。
第百八十三条 選挙管理委員の任期は、四年とする。但し、後任者が就任する時まで在任する。
○2 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
○3 補充員の任期は、委員の任期による。
○4 委員及び補充員は、その選挙に関し第百十八条第五項の規定による裁決又は判決が確定するまでは、その職を失わない。
第百八十四条 選挙管理委員は、選挙権を有しなくなつたとき、第百八十条の五第六項の規定に該当するとき又は第百八十二条第四項に規定する者に該当するときは、その職を失う。その選挙権の有無又は第百八十条の五第六項の規定に該当するかどうかは、選挙管理委員が公職選挙法第十一条 若しくは同法第二百五十二条 又は政治資金規正法第二十八条
の規定に該当するため選挙権を有しない場合を除くほか、選挙管理委員会がこれを決定する。
○2 第百四十三条第二項から第四項までの規定は、前項の場合にこれを準用する。
第百八十四条の二 普通地方公共団体の議会は、選挙管理委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は選挙管理委員に職務上の義務違反その他選挙管理委員たるに適しない非行があると認めるときは、議決によりこれを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。
○2 委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。
第百八十五条 選挙管理委員会の委員長が退職しようとするときは、当該選挙管理委員会の承認を得なければならない。
○2 委員が退職しようとするときは、委員長の承認を得なければならない。
第百八十五条の二 選挙管理委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
第百八十六条 選挙管理委員会は、法律又はこれに基づく政令の定めるところにより、当該普通地方公共団体が処理する選挙に関する事務及びこれに関係のある事務を管理する。
第百八十七条 選挙管理委員会は、委員の中から委員長を選挙しなければならない。
○2 委員長は、委員会に関する事務を処理し、委員会を代表する。
○3 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、委員長の指定する委員がその職務を代理する。
第百八十八条 選挙管理委員会は、委員長がこれを招集する。委員から委員会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
第百八十九条 選挙管理委員会は、三人以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない。
○2 委員長及び委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。但し、委員会の同意を得たときは、会議に出席し、発言することができる。
○3 前項の規定により委員の数が減少して第一項の数に達しないときは、委員長は、補充員でその事件に関係のないものを以て第百八十二条第三項の順序により、臨時にこれに充てなければならない。委員の事故に因り委員の数が第一項の数に達しないときも、また、同様とする。
第百九十条 選挙管理委員会の議事は、出席委員の過半数を以てこれを決する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。
第百九十一条 都道府県及び市の選挙管理委員会に書記長、書記その他の職員を置き、町村の選挙管理委員会に書記その他の職員を置く。
○2 書記長、書記その他の常勤の職員の定数は、条例でこれを定める。但し、臨時の職については、この限りでない。
○3 書記長は委員長の命を受け、書記その他の職員又は第百八十条の三の規定による職員は上司の指揮を受け、それぞれ委員会に関する事務に従事する。
第百九十二条 選挙管理委員会の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟については、選挙管理委員会が当該普通地方公共団体を代表する。
第百九十三条 第百二十七条第二項、第百四十一条第一項及び第百六十六条第一項の規定は選挙管理委員に、第百五十三条第一項、第百五十四条及び第百五十九条の規定は選挙管理委員会の委員長に、第百七十二条第二項及び第四項の規定は選挙管理委員会の書記長、書記その他の職員にこれを準用する。
第百九十四条 この法律及びこれに基く政令に規定するものを除く外、選挙管理委員会に関し必要な事項は、委員会がこれを定める。
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