2013年01月06日

市民の足を守るのと、公営の維持は、イコールではない。

「高槻市交通労働組合」の機関紙の新年号

高槻市バスの職員で組織される「高槻市交通労働組合」の機関紙の新年号を、ある組合員の方が送って下さいました。それによると、組合としては・・・

・・・「市民の足を守り」、「公営交通の維持・存続と組合員の雇用と生活を守る」運動を進めてまいります。しかし公営として維持・存続していく為には、何といっても利用者・地域住民に信頼され、必要とされることが不可欠です。・・・


・・・とのことです。

「高槻市交通労働組合」の機関紙の新年号にあいさつ文を寄せる濱田市長

また、この機関紙には市長や議員があいさつ文を寄せていますが、ある政治家の方は・・・

・・・今日の社会は、少子高齢化が進み公共交通の重要性がますます増大・・・いかにも民営化すればすべてが解決するような風潮が叫ばれていますが、JR分割民営化や郵政民営化を見れば分かるように、不採算の路線や事業は民営化により廃止されていくことは明らか・・・


・・・とされています。

この方のように、民営化すれば不採算路線が廃止され、その分市民の足が奪われると思っておられる方がおられるかもしれませんが、私は違うと考えています。

高槻市では、不採算路線を運行するための補助金として、1億8252万7千円(平成23年度決算。以下同様。)が、高槻市の会計から支出されています。公営バスであっても、不採算路線を維持するために、このように市が税金を投じているわけです。

高齢者・障害者等の無料乗車についても、6億9178万円の補助金が交付されています。

民営化されなくても、多額の補助金が支出されているわけで、不採算路線の維持や高齢者等の運賃無料化に、公営か民営かは関係なく、自治体が補助金を出すか否か(あるいは、出せるだけの財政状況か否か)が問題なのです(高槻市の場合は、民営化したとしても、現在のところは、補助金を出すことはできます)。

大阪市バスも民営化の方針を打ち出しましたが、これは赤字が原因とされています。これまで大部分の自治体も同様に、赤字のために民営化してきました。

しかし、民営化しなくても、民間並みに経営改善ができれば、公営を維持できたはずです。なぜ多くの自治体は民営化を選択したのか・・・

地方公営企業法3条では「経営の基本原則」として・・・

地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。


・・・と、「常に企業の経済性を発揮」して運営せよとされていますし(公共の福祉を増進するようともされているので、補助金を受けずとも不採算路線運行や高齢者等無料化をすべきでは?)、38条3項は、給与について、同一・類似の職種の国・地方公共団体・民間の職員の給与等を考慮して定めよとしています。

高槻市バスの人件費の割合の推移

しかし、経常費用(営業費用+営業外費用)に占める人件費の割合はどんどん増え続け、71.6%にも達しているにもかかわらず、先日書いたとおり、高槻市バスと民間事業者との運転士職員(常勤職員)の給与の格差は1.48倍にまで広がってしまいました。

もし、常勤の運転士職員の給与が民間並みだったとすると、23年度ではどれだけの経費が削減できたのか・・・

運転士の常勤職員は189人。その平均年収は719万7318円。民間は487万600円。その差額は232万1318円。189人分では、232万1318円×189人=4億3872万9102円・・・

市バスの23年度の収益は全体で約36億円。費用は約33億4千万円。上記の差額の約4億4千万円は、費用の約13%に当たります。不採算路線運行に伴う補助金の額(約1億8千万円)を上回っていますし、多くの路線で運賃(大人)は210円ですが、これを5%減らし200円ポッキリにもできるのではないでしょうか?

正規職員の給与が下げにくいのであれば、非常勤を増やせばよかったのですが、高槻市はそうはしませんでした。

平成18〜22年度の「市営バス経営健全化計画」では・・・

企業経営の健全化と効率化に向け、従来より行っている再任用職員や非常勤職員の活用に加え、職員の給与制度の見直しなどさらなる人件費の抑制に努めます。


・・・とされていたのですが、当時の山本管理者は非常勤職員を減らす一方で、常勤職員を採用して増やしてきました。

高槻市バスの職員数の推移

このように、自ら立てた計画もろくに実行してこなかったのですから、法が規定する「企業の経済性」は、高槻市バスでは発揮されてこなかったといわざるをえません。なぜ発揮しなかったのか。

その理由は、労働組合と市長・議員との関係にあるとしか考えられません。大阪市バスがやっと民営化の方針を打ち出せたのは、労組に支援を受けていた平松前市長から、労組と敵対する橋下市長に替わったからです。

高槻市の場合、濱田市長は、労働組合に選挙で応援してもらい、労働組合の定期大会に出席し、労働組合の機関紙に新年のあいさつを載せている。おまけに市バスの経営改善を怠ってきた山本全管理者を副市長に据えています。

高槻市バス幽霊運転手事件は、まさに労使癒着・労組への利益供与・便宜供与が露呈した事件でしたが、山本管理者はこれを隠すために公文書の改ざんまで指示し、処分を受けました。

そんな大きな問題を起こしても、市職員としての最高位である副市長になれるのですから、これからも本気で改革に取り組めるのか大いに疑問です。市長と労組の蜜月が続く限り、市職員の高給・厚遇は守られ続けるのではないでしょうか?

守られるといえば、たとえ裁判で負けても市職員は保険で救われるようです。

★【朝日新聞】公務員、保険あれば憂いなし? 賠償訴訟を恐れて加入増
・・・保険料は補償額3億円プランの場合で月額900円・・・

たった月額900円・・・住民訴訟に労力と年月をかけ、やっと裁判で勝っても、市職員側は格安の保険で賠償金を賄う・・・こんな保険があるから好き勝手ができるのかもしれませんね。

まあ、こういう公務員だから、民営化しないと改革はできないという結論に、多くの自治体で至ったのではないのでしょうか?民営化すれば運賃も値下げできそうですし、不採算路線の維持や高齢者等の無料乗車のための補助金を、その民間バス会社に払ったほうが、市民のためになるのかもしれません。

濱田市長や労組は、市民の信頼を得て公営を維持したいようですが、地方公営企業法を遵守して、金額として目に見える形の改革をしていただけないと、信頼は得られず、批判が出るのではないかと思います。

来年の労組の機関紙の新年号も楽しみにしております。


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経営環境はどんどん厳しくなっているのですが・・・
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posted by 北岡隆浩 at 14:58| 大阪 ☁| Comment(27) | TrackBack(0) | 高槻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
何故、市営でなけりゃいけなのか?
必要な補助金は民営でも同じ論理であれば、何も市営で置おく必要などないぞ。
結局は高い給料と公務員という肩書に群がる悪しき連中のために市営なんじゃないのか?
大阪市も民営化の方針。
近隣では姫路市や明石市が民営化した。
高槻はいつまで粘るのか?
濱田市長も山本副市長も本当に納税者(市民)のためを思っているのだろうか?
高い人件費を税金で補填することのないように北岡市議はしっかり監視してほしい。
Posted by ごもっとも at 2013年01月06日 17:29
市長選挙と市長を支える労組の癒着
その裏には何があるんでしょうね?
Posted by 癒着のための公営? at 2013年01月06日 19:52
バスを走らせるために必要な補助金は出せば良いと思います。
しかし、比較基準を民間バスにして、コストがかかり過ぎるというのは問題です。
大阪市が民営化しますが、高槻市もその後の大阪市をよく研究されてから民営化してはいかがてすか?
Posted by 民営化は at 2013年01月07日 08:52
民営化でバスの料金が値下げされる可能性があるなら歓迎します。
Posted by 歓迎市民 at 2013年01月07日 15:21
高槻市バスは誰の為に市営でやっているのでしょう?
市民の為だと言い切るのなら、やはり、全てにおいて「民間並み」にしてからおっしゃってくださいね。
何か保身のためだけにしか思えませんね。この新聞。
Posted by 誰の為の市営? at 2013年01月07日 18:14
[利用者・地域住民に信頼され、必要とされることが不可欠です。]
ふざけるな!
今まで散々、市民を欺いてきた連中が今更何を寝言のようなことを言ってるのか!
北岡市議によって化けの皮を剥がされた連中に信頼など取り戻せるはずなんかないぞ!
Posted by ふざけるな! at 2013年01月07日 19:04
公営は労使癒着・労組への利益供与・便宜供与が常態化しちえるってことですね。
Posted by H,K at 2013年01月07日 22:16
高齢者の乗車証も税金ですし、不採算の路線も補助金という税金で賄えるというなら、人件費の高い「市営」になにもこだわらなくて良いのでは?とかく官民格差が注目される現社会で、既得権ばかりを声高々に発するのはどうなのでしょう?市民不在としか思えない労組の振る舞いや、それを擁護する政治家(一部でしょうが)の思考回路はグレートリセットさせないといけません。
Posted by グレートリセットでお願いします at 2013年01月07日 23:21
市営だろうと民営だろうと
そこにバスが走っていて
都市機能が果たせていれば
それでいい
市民は何もどのバス会社でないと
いけないとか拘りなどない
高齢者の無料券も
民営バスにも配ればいい
いっそのこと
阪急、京阪などに事業譲渡して
高槻市政もスッキリしよう
Posted by 高槻市民K,W at 2013年01月08日 17:18
濱田市長は、労働組合に選挙で応援してもらったので、労働組合に恩があるということでしょうか?
Posted by 恩がある? at 2013年01月08日 20:22
信頼される市営バスというなら、これまで数々の不正行為、不祥事について真摯に受け止めるべきだと思います。
Posted by 真摯 at 2013年01月08日 23:11
大阪市のように民営化してもよろしいのではないですか?
Posted by 市民 at 2013年01月10日 21:06
高齢者・障害者等の無料乗車として6億9178万円の補助金が税金から賄われているとのことですが、この補助金の算定はどのようになっているのでしょうか。
補助金の算定についても公にしてほしいです。
その上で、民間バス会社にも相当額を補助したらどうでしょうか?
Posted by 補助金の算定 at 2013年01月11日 21:10
ヅブヅブやね。組合と市長と市議会議長は。結局は公営にこだわる理由は市バス職員のためか?
Posted by ひどいな at 2013年01月12日 17:59
高槻市交通部は公営をいいことに悪いことしすぎた。

組合幹部の仕事サボリ給料満額扱いで、全国温泉地巡りの乱行。

営業所長一味の売上金泥棒。

その他、山のような問題事案。
なんといっても、この組織が既得権確保のため、市長選、市議選では集票マシーンになり都合のいい候補者とつるむ。

紐つき市長の誕生で市政を歪めていく。

市民本位の市政とはならない。
市費も無駄金、死に金となり、高槻市財政が消えていく。

今の高槻市市営バス組織、高槻市交通部は、市長、一部の議員とも結託し腐りきっている。

だから、民間に任せてみたらいい。

どこの町も、民営化がほとんど。しかし住民は暮らせている。
高槻市交通部組織は、ダニのための生命維持装置にすぎない!


Posted by 市民 at 2013年01月12日 23:01
コネ採用の連中の既得権を確保するのに「公営存続」を叫んでいる。情けない。もう、みっともないから、とっとと民営化してね。
Posted by コネ採用者たちへ at 2013年01月13日 16:25
高槻市交通部は市長や副市長、有力議員で周り固め、しぶとい。
他市なら、通らん話だ。
文句あるなら、補助金なしで黒字にしてみろ。
市も老人手当て補助金出すなら、その分、老人彼らに直で渡せ。バスに全く乗れない者は、こずかいにでもなる。喜ばれるはずだ。
交通部経由の老人手当て名目の補助金をいいことに、交通部職員給与の大盤振る舞いをするな。
何も民間の半分の給与にせよと言っているのではない。
公営なら民間とせめて同等にぐらいせよと言ってのだ。
Posted by 呆れ市民 at 2013年01月13日 23:18
濱田市長は上牧にバスを走らせて点数稼ぎですか?
赤字垂れ流しにならないように・・・・・
Posted by 上牧のバス at 2013年01月14日 20:32
昔ほどではないが無愛想な運転手が多いのはなぜか。乗っていて気分悪い。
Posted by A,K(日吉台) at 2013年01月15日 13:44
信頼のないバスは信頼ある民間バスに変えましょう。その方が市民のためになります。
Posted by 市民のために at 2013年01月18日 20:27
濱田市長はぜひ頑張って労組と決別し、大きく市営バスの民営化の舵取りをすべきです。
民営化しても運転手さんたちは失業するわけでもなく、仕事があるだけでもましですよ。世間は失業や不況でてんてこ舞いなのに。
Posted by 民営化に方針転換を at 2013年01月19日 00:41
市民の足
バスは市民の足ですか?
市民の足は民間バスでも十分に賄えます。
京阪バスさんに担ってもらいましょう。
Posted by 市民 牧田町 at 2013年01月19日 09:40
交通部の労組に「全て民間と同条件」で公営維持と言い続けられるのか一度訊いてみたい
Posted by 訊いてみたい at 2013年01月19日 20:23
民間と同一条件での運行…提案。
これは大変比較として分かりやすい、いい提案だ。

何も民間の半分の予算でやれと言っているのではない。

できないとだだこねるなら民間にバトンタッチするのが筋だ。
さあ高槻市交通部どおする!
市民の納得、得る態度示してみよ。

いつまでも市税に群がるな。


Posted by 高槻市民 at 2013年01月20日 22:24
改革案を読みました。市の直営を維持するというくだり。果たしてそこまで直営に拘り続けるのは何故なのですか?民営化してもバスは走ることに変わりないと思いますし、今まで出していた(貰っていた)補助金なり助成金は民営化しても続ければ良いのですし、何も直営にしないといけない確かな理由は見当たらないと思います。市バスの職員や団体によって引き起こされてきた数々の不祥事は、根本にある経営そのものを大きく変えることで防げると思います。市営=公務員はもう発想を切り替えて民営化してガラッと改革することが本当の改革につながると思います。
Posted by 改革は民営化 at 2013年01月21日 16:45
市バスの運転手になって公務員気取り。
安泰だと勝ち組気取り。
一体何様?
勘違い運転手。
どうにかしてくれ〜
Posted by 勘違い運転手 at 2013年01月27日 17:37
他の方もコメントしているように経営内容は民間と同等にして公営の維持を唱えましょう。やはり市民の知らないところで「お手盛り」はいけません。それと公務員にこだわるのはなぜですか?
Posted by 公務員にこだわる?? at 2013年01月28日 18:07
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