今回の議会に高槻市は「高槻市ペット霊園の設置の許可等に関する条例案」を提案。この条例では、ペット霊園の設置等には市長の許可が必要なことや、住宅から100メートル以上離れた場所にしかペットの火葬施設や墓地などを造ってはならないなど、業者を規制するものとなっています。
この条例案が作られた背景には、ペットの火葬施設に対する市民の方の苦情や不安がありました。
しかし、この条例が制定されたとしても、既存の施設を規制をかけることはほとんどできず、また、新規の事業者が条例に違反したとしても、事業者名や違反の事実が公表されるくらいで、それ以外に過料などの罰則はなく、事業者が公害関連法令に違反したりしない限り、条例違反だけでは実質的にはほとんど事業者を規制できないと考えられます。
ただ、事業者に対する威嚇効果はあると思いますので、条例がないよりはマシです。
議会で私はもっと罰則を設けられないのかと問いましたが、難しいようです。公害関連法には、大気汚染防止法、騒音規制法、振動規制法、水質汚濁防止法、ダイオキシン類対策特別措置法などといったものがありますが、事業者がこれらの法律を守っているのに、地方自治体が、さらに罰則を科すというのは、法の趣旨を逸脱することにもなりかねないのかもしれません。
けれども、路上喫煙禁止条例案では、路上喫煙禁止区域でたばこの煙を吹かせば1万円以下の過料としているのに、住宅地でペットの火葬の煙を立てても、過料すらないというのは、バランスを欠いていると思いますので、せめて過料くらいはと思います。
以下は、私の質問と答弁の内容です(実際とは異なっている可能性があります)。その下には条例の概要を載せています。
■議案第21号 高槻市ペット霊園の設置の許可等に関する条例制定について
<質問1>
(1)現在、高槻市内で、ペット霊園や移動火葬業を営んでいる事業者や事業所は、それぞれどれだけあるのでしょうか?また、その内、本条例案で定めている、住宅から100メートル以上離れていること、火葬施設は摂氏800度以上で焼却できること、などといった基準を満たしている事業者や事業所は、それぞれどれだけあるのでしょうか?
(2)本条例案では、条例の施行が7月1日からなので、条例が適用される以前に、駆け込みで開業する事業者が出てくる可能性も考えられますが、なぜ条例の施行が7月1日からにしようとするのでしょうか?施行を4月1日からにはできないのでしょうか?また、駆け込みで開業された場合、何か有効な手段があるのでしょうか?
(3)条例施行前に事業を行っていた既存の事業者については、許可や届出は不要なのでしょうか?また、既存の事業者に対しては、本条例案によって、実質的にどのような規制がかけられるのでしょうか?
(4)次の議案の「高槻市まちの美化を推進する条例中一部改正」では路上喫煙禁止区域で路上喫煙をした場合は1万円以下の過料に処するとされていますが、本条例には過料の定めはありません。ペットの火葬で煙を出すより、たばこの煙を出すほうが厳しくて、バランスを欠いているようにも感じるのですが、なぜ過料の定めがないのでしょうか?過料を課せない理由があるのでしょうか?
(5)この条例に違反し、許可を取り消されたり、禁止命令を受けたり、当該事実の公表をされたりした事業者が、依然として事業を行っていた場合、その事業を実質的に停止させることはできるのでしょうか?
≪答弁1≫
北岡議員の5点にわたる質問に答弁します。
1点目の市内での事業所数については、正確には把握しておりません。
2点目の施行日については、市内外の関係事業者等に対して十分周知するため、7月1日にするものです。
3点目の既存の事業者については、本条例で届出を必要と定めており、施行日以降、火葬施設等を増設する場合には、改めて本条例の技術的な基準が適用されます。
4点目、5点目の違反事業者への対応については、本条例に定める技術的な基準を遵守させるため、本条例をはじめ、公害関連法令に照らして対応します。
<質問2>
(1)結局、既存の事業者については、火葬施設等を増設しない限り、本条例案に基づく規制が及ばないということなのでしょうか?お答えください。
(2)「なぜ過料の定めがないのでしょうか?過料を課せない理由があるのでしょうか?」という質問には何らお答えいただけていませんが、なぜなんでしょうか?「公害関連法令に照らして対応」するというご答弁もありましたが、本条例案は、公害関連法令では対処できないから、創られたのではないのでしょうか?
地方自治法第14条には・・・
・普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
・普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
・・・との規定があります。
路上喫煙禁止区域でたばこの煙を吹かせば1万円以下の過料なのに、住宅地でペットの火葬の煙を立てても、過料すらとられないというのであれば、バランスを欠いていると思います。なぜ、違反者に過料すら課さないのでしょうか?実は、市は、火葬で煙を立てても、公害関連法令に反しない限り、悪質ではないと考えているのでしょうか?そうした点について、市の見解をお聞かせ下さい。
(3)一応、確認のためにお聞きしますが、事業者が、この条例案には違反しているが、他の法令には違反していないという場合、逮捕されたり、起訴されたりする可能性はあるのでしょうか?お答えください。
≪答弁2≫
北岡議員の2問目3点の質問に答弁します。
1点目の、本条例の適用に関する質問ですが、承継や軽微な変更などについて、本条例の規定を適用します。
2点目の、過料に関する質問ですが、本条例は、技術的な基準を遵守させることが目的であることから、過料の定めはありません。
3点目の、逮捕や起訴に関する質問ですが、本条例では逮捕や起訴に関する規定は設けていません。
<質問3>
明確には質問にお答えいただけませんでしたが、ご答弁からすると、結局、この条例案では、事業者を、実質的には規制できないということなのかなと思います。この条例を制定すれば、事業者に対する威嚇効果は多少期待できるので、ないよりはマシだと思いますが、歩きたばこ・路上喫煙には過料が科せられるのに、なぜこの条例には過料さえないのか。この条例案の基準に反することが、本当に悪い事であるならば、もっと罰則を厳しくできないのかと思います。これで、市民の皆さん、特に、既存業者・既存施設に不満をもっている市民の皆さんに、満足していただけるものなのか、疑問ですけれども、先ほど申し上げたとおり、ないよりはマシではないかと思いますので、賛成はしたいと思います。罰則については、どれくらいが適切なのか、今後、研究をしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
高槻市ペット霊園の設置の許可等に関する条例制定について
市民の良好な生活環境の保全に資するため、ペット霊園の設置及び管理に関し必要な措置について次のとおり定める。
1 設置者等の責務(第3条関係)
(1) ペット霊園の設置又は管理をする者は、地域の良好な生活環境の保全に努めるとともに、ペット霊園の運営に伴って生ずる公害の防止の措置を講じなければならない。
(2) 移動火葬業者は、地域の良好な生活環境の保全に努めなければならない。
2 設置等の許可(第4条関係)
ペット霊園の設置又は変更をしようとする者は、市長の許可を受けなければならない。
3 説明会の開催等(第5条関係)
許可申請者は、許可の申請を行うまでに周辺の住民等に対し説明会を開催するとともに、ペット霊園に隣接する土地の所有者又は使用者と協議しなければならない。
4 許可の申請(第6条関係)
許可申請者は、次の事項等を記載した申請書を市長に提出しなければならない。
(1) 許可申請者の住所及び氏名
(2) ペット霊園の所在地及び名称
(3) ペット霊園の区域の面積
(4) 設置する施設の種類及び数
5 設置場所の基準(第8条関係)
ペット霊園の設置場所の基準は、次のとおりとする。
(1) 火葬施設及び墓地が既設の住宅から100メートル以上離れていること。
(2) 飲料水を汚染するおそれのない場所であること。
(3) 墳墓を設置する土地については、許可申請者が当該土地を所有し、又は継続的に使用することができる権利を有すること。
6 構造設備の基準(第9条関係)
ペット霊園の構造設備の基準は、次のとおりとする。
(1) 外部から見通すことができないよう垣根又は障壁が設けられていること。
(2) 墳墓は、ペットの焼骨を埋蔵するものであること。
(3) 墓地に雨水等が停滞しないようにするための排水施設が設けられていること。
(4) 管理事務所並びに便所、給水設備及びごみ集積設備が設けられていること。
(5) 火葬施設は、空気取入口及び煙突の先端以外に燃焼室内と外気とが接することなく、燃焼ガスの温度が摂氏800度以上の状態で焼却できるもの等であること。
7 工事の完了の検査等(第10条関係)
設置者は、ペット霊園の工事が完了したときは市長の検査を受けなければならず、検査を受けた後でなければペット霊園を使用してはならない。
8 廃止等の届出(第12条関係)
設置者は、ペット霊園を廃止したとき等は、30日以内に届け出なければならない。
9 移動火葬業の届出(第13条関係)
移動火葬業者は、あらかじめ、次の事項等を市長に届け出なければならない。
(1) 当該者の住所及び氏名
(2) 使用する移動火葬車の自動車登録番号又は車両番号
10 移動火葬車の使用の制限等(第14条関係)
(1) 移動火葬業者は、当該移動火葬車の火葬設備が6(5)の基準に適合するものでなければ、これを使用してはならない。
(2) 移動火葬業者は、市内で火葬を行うときは、次の事項を遵守しなければならない。
ア 移動火葬車に、移動火葬業者の氏名、連絡先等を表示すること。
イ 公園等の公共施設(道路、河川等を除く。)の敷地内において火葬を行わないこと。
11 移動火葬業の廃止等の届出(第15条関係)
移動火葬業者は、市内で火葬を行わなくなったとき等は、30日以内に届け出なければならない。
12 報告及び立入調査(第16条関係)
市長は、必要な限度において、設置者若しくは移動火葬業者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又は職員に立入調査をさせることができる。
13 改善勧告及び改善命令(第17条関係)
(1) 市長は、設置者又は移動火葬業者が5、6又は10に違反していると認めるときは、その事態を改善するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
(2) 市長は、(1)の勧告を受けた者が従わないときは、必要な措置を講ずることを命ずることができる。
14 許可の取消し(第18条関係)
市長は、偽りその他不正の手段により許可を受けた者又は命令に違反した者に係る許可を取り消すことができる。
15 禁止命令(第19条関係)
市長は、許可を受けず、又は届出を行わない者に対し、ペット霊園又は移動火葬車の使用の禁止を命ずることができる。
16 公表(第20条関係)
市長は、命令に従わない者があるときは、当該事実の公表を行うことができる。
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