シンポジウムで紹介された先進事例に刺激を受けたため、辛口な質問になってしまったかもしれません。ただ、私には、高槻市の取り組みがまだまだ甘いような気がしてなりません。特に、「地域の見守りネットワーク」の構築が急務ではないかと思います。
以下はその質疑の際のやりとりです。原稿とメモに基づいているので本番で述べた言葉とは相違のあることをご了承ください。また一部他の議員の質問と重複したので省いたものもあります。
<質問1> 一般会計補正予算説明書16ページの府支出金・府交付金の消費者行政活性化基金交付金2808万円と、17ページ商工費・消費生活対策費の補正額2428万9000円について大きく5点質問します。
1.消費生活センターで把握している高槻市内の被害の状況や傾向について
(1)高槻市の消費者相談件数は、どれだけ増えているのでしょうか?あるいはどれだけ減っているのでしょうか。
(2)その状況を市はどう分析しているのでしょうか。
(3)その分析の根拠は何なのでしょうか?
(4)昨年度までの被害の状況を踏まえて,今年度は何がどう違うのでしょうか。
2.被害の防止策について
(1)いろいろな形の犯罪的な行為や悪質商法などがありますが、そのそれぞれに対してどのような対策が有効だと考えているのでしょうか?
(2)他の自治体の取り組みなどを吸収している例はあるのでしょうか。あるのであれば、どこのどういう施策を参考にして実施しているのでしょうか。
(3)別の自治体の取り組みなど,この1年間に勉強されたことなどあるのでしょうか?いつどの様なシンポジウムや勉強会等に出席されたのでしょうか?具体的にお答えください。
(4)資料には、平成21年度からの「これまでの主な取組」の内容が記載されていますが、こうした取り組みは、どれだけの成果を上げてきたのでしょうか?具体的にお答えください。
3.課題について
被害の防止については、現在どのようなことが課題なのでしょうか?センターの見解をお聞かせ下さい。
4.高齢者や若者の被害の増加について
(1)「高齢者を中心に被害が拡充している」「若者では、ネットショッピング等のトラブルも増加」と資料にはありますが、これらについては、特にどのような対策をされているのでしょうか?あるいは、どのような対策をとろうと考えているのでしょうか?お答えください。
(2)高齢者の被害は増えているようですが、高齢者からの相談は増えているのでしょうか?また、被害や相談内容には、それぞれどの様な傾向がみられるのでしょうか。
(3)高齢者や若者の被害については、具体的にどの様な活動が必要と考えているのでしょうか?また、実際にはどの様な活動をしているのでしょうか?
(4)高齢者の被害については、福祉関係の部署や施設などの協力が必要ではないかと思いますが、消費生活センターから福祉部門への働きかけや情報提供は、どの様にされているのでしょうか?
(5)逆に,福祉部門から,消費生活センターへのアクセスのしやすさ等はどの様な工夫をされているのでしょうか?
5.予算の使途について
(1)国・府の交付金を受けて補正予算を組むということですが、今回の約2400万円は、どのような考えや方針に基づいて、どのようなことに使われるのでしょうか?詳細をお教え下さい。
(2)今年度を最後に国(消費庁)の「消費者行政活性化交付金」や大阪府の「大阪府消費者行政活性化基金」が終われば、今後はどうされるのでしょうか?
(3)予算を低く抑える工夫は何かされているのでしょうか?
<答弁1>
大きく5点にかかるご質問にお答えいたしますが、質問内容が他部にまたがっていますので、各部調整のうえ、私の方でお答えさせていただきます。
まず、一点目の市内の被害の状況や傾向についてですが、消費者相談件数は、年間3千件前後で、ここ数年、横ばいとなっております。
しかし、一件にかかる時間が長くなっており、相談内容が複雑化・多様化し、相談者からの聞き取りも難しくなっております。これは悪質商法といわれる巧妙な手口等が増えているからだと考えられます。
なお、今年度に入ってからは、健康食品の送りつけ商法、当選商法等、悪質な手口のトラブルの相談が一気に増えております。
二点目の被害の防止策についてですが、有効な対策として情報提供、啓発活動、教育活動等を考えています。他の自治体の取組については、大阪府主催の基金連携会議や、府内及び近畿ブロック消費生活センター連絡会議にて発表される、先駆的施策を参考にしております。具体的には、枚方市で実施されたDVD作成とCM放送は、高い効果があったとのことで、本市でも実施いたしました。また、昨年、金融庁が開催しました「金融トラブルに巻き込まれないためのシンポジウム」などに参加いたしました。これまでの成果として、消費者トラブルの啓発活動の充実、相談員のスキルアップと相談機能及びセンター機能の強化等が図れたものと考えております。
三点目の、被害防止の現在の課題についてですが、消費生活センターとしては、消費者活動における自立支援を継続していく必要があると考えております。
四点目の、高齢者や若者の被害についてですが、未然防止策として、移動講座を地域や学校等にて開催するとともに、広報紙等を活用した啓発活動を行なっております。高齢者の相談ですが、在宅率が高い70歳以上の方の相談件数が増加しており、訪問販売、電話勧誘販売に関連する相談が多い傾向が見られます。現在、担当職員や関係機関からの紹介や相談も増えておりますが、引き続き、福祉部門をはじめ、教育委員会など関係機関と連携・協力を図ってまいります。
最後に、5点目の今回の予算の使途についてですが、消費者トラブルの未然防止・拡大防止に向けて、消費者啓発事業の強化と消費者の自立支援に向けた取組みの充実を目的に、これまで効果の高かった、市営バスへの広告掲示、悪質商法等被害防止キャンペーン等を実施する予定です。交付金終了後は、これまでの成果を他の事業に引き継ぎ、適切に対応してまいります。予算額につきましては、目的と取組みを整理し、無駄のない予算としております。
<質問2>
1.高槻市内の被害状況について
消費者相談件数は、年間3千件前後で、ここ数年横ばいだけれども、巧妙な手口の悪質商法が増えているので、相談内容が複雑化・多様化している。在宅率が高い70歳以上の方の相談件数が増加しているということです。
(1)相談を受けたもののうち、被害を未然に防げたもの、お金を取り戻すなどして被害を回復できたもの、残念ながら問題を解決できなかったものは、それぞれ何件だったのでしょうか?
(2)また、相談をきっかけに、悪質な事業者の摘発につながったものは何件だったのでしょうか?お答えください。
2.被害の防止策について
枚方市でされたDVD作成とCM放送を高槻市でも実施したとのことですが、国や他の自治体でも先進的な取組をしていますので、それらについての見解をお聞きします。
(1)消費者庁は、「悪質電話勧誘撃退モデル事業」として、高齢者宅に通話録音装置を設置して悪質な業者の勧誘の通話を録音し定期的に回収したり、定期的に電話などで注意喚起を行ったりするとしていますが、これについてはどのようにお考えでしょうか?
(2)京都府では、地域での「声かけ」運動を通じて、身近な人に消費生活情報を積極的に提供し、地域を見守る「くらしの安心推進員」(地域見守りチーム)の制度をつくったということですが、これについてはどのようにお考えでしょうか?
(3)東京都足立区では、高齢者の孤立が様々な問題の原因であるとして、見守りからさらに一歩進んで寄り添う支援を行うとして「孤立ゼロプロジェクト」の推進を掲げ、具体的には高齢者の居場所づくりや学習・ボランティアなどの社会参加を促していますが、これについてはどのようにお考えでしょうか?
(4)東京都では「地域におけるしくみづくりガイドライン」を作成し、高齢者の消費者被害の防止のしくみづくりの指針を示して、都下の自治体の先進的な事例の紹介もしています。そのガイドラインでは、しくみづくりの4要件は、地域の見守りネットワークの構築、速やかな相談受付と迅速な対応、高齢者やネットワークへの効果的な情報提供、消費生活と高齢者部門との連携だとしています。高槻市の活動は、この4要件にどの程度当てはまるでしょうか?お答えください。
3.課題について
(1)被害防止の現在の課題は、消費者活動における自立支援の継続とのご答弁です。
でも、自立といっても、高齢者の方については、判断力や身体機能が低下している方がたくさんおられます。そのために、強引な勧誘を断りきれない、あるいは実際の契約内容を理解できない、被害を訴えること自体に難があるという方もいて、1回被害に遭うだけじゃなくて、「次々商法」「次々販売」のターゲットになってしまいやすい。こうやって、高齢者の方の生活資金が根こそぎ奪い去られるといった事態にまで進展してしまうケースもある。
先日、65歳以上のうち認知症の人が推計で15%、平成24年時点で462万人にのぼるということが報道されましたが、統計上、認知症とされない、MCI(軽度認知障害)やAACD(加齢関連認知低下)の方もたくさんおられるとのことです。
いくら「自立支援の継続」を高槻市が行っても、認知症などの方は、大変難しいと思います。やはり、地域での見守り・地域のネットワーク化ということを課題とすべきではないのでしょうか?市の見解をお聞かせ下さい。
また、これについて、どのように取り組むのかについても考えをお聞かせ下さい。
(2)成年後見制度の活用の伸び悩み、特に、保佐・補助といった制度があまり活用されていないことも課題かと思いますが、市の見解をお聞かせ下さい。
また、これについて、どのように取り組むのかについても考えをお聞かせ下さい。
(3)庁内での情報共有も課題かと思いますが、現場のどのレベルまで、どういった形で情報がいっているのでしょうか。お答えください。
4.若者の被害について
大阪府警の安まちメールのように、メールで悪質商法の手口などを配信すれば、比較的簡単に注意喚起ができるのではないかと思います。国民生活センターの「見守り新鮮情報」などを活用するのもいいと思いますが、市の見解をお聞かせ下さい。
5.予算の使途について
市営バスへの広告掲示などのキャンペーンに予算を使うようですが、消費者庁も「未然奉行」とか、警察は「かあさん助けて詐欺」のネーミングの募集とか、テレビ・新聞等のマスコミも悪質商法の被害についてPR・啓蒙してくれています。高槻市がお金をかけて行うべきことは、以上述べてきたこと、特に地域で高齢者を見守るためのネットワーク作りではないかと思いますが、市の見解をお聞かせ下さい。
<答弁2>
大きく5点にかかるご質問にお答えいたしますが、質問内容が他部にまたがっていますので、各部調整のうえ、私の方でお答えさせていただきます。
まず、一点目の市内の被害状況ですが、それぞれの件数につきましては、判断が難しく明確な分類を行なっておりません。また、被害が生じた相談ケースは、刑事事案として警察に繋げておりますが、摘発に関しては情報が入っておりません。
二点目の被害の防止策ですが、 今日まで消費者庁の取り組み等を踏まえ、調査・研究を行なっているところです。
三点目の課題についてですが、現在、消費生活センターと福祉部門及び関係機関と協力して、ネットワークを構築し、対応しております。成年後見制度に関しましては、本市では、市長による後見申立てや市民後見推進事業を実施するなどの取組みを図っております。庁内の情報共有につきましては、研修会開催、庁内連絡会議等をとおして行なっております。
四点目の若者の被害についてのメール配信等の取組みについては、調査・研究しております。
五点目の予算の使途についてですが、消費者トラブルは、幅広い年代が対象となっており、特に悪質商法の被害に遭いやすい、高齢者の被害未然防止対策の推進を含めた取組みを今後とも行ってまいりたいと考えています。
<意見>
1.高槻市内の被害状況について
相談を受けたもののうち、被害を未然に防げたもの、お金を取り戻すなどして被害を回復できたもの、残念ながら問題を解決できなかったものは、悪質な事業者の摘発につながったものは、それぞれ何件だったのかとお聞きしましたが、分からないと、分類すら行っていないということでした。
高槻市の消費生活センターは、本当に市民の役に立っているのでしょうか?相談を受けるだけじゃなく、被害の防止・被害の回復につなげなければ意味がないんじゃないでしょうか。なぜそういうことを集計していないのか、大変疑問です。
2.被害の防止策について
他の自治体の先進事例などを具体的に挙げて質問しましたが、「調査・研究を行なっているところです。」というご答弁でした。枚方市を参考にDVD作成とCM放送はしたというご答弁でしたけれども、東京都や京都府などの取組と比べると、まだまだではないかと思います。
せっかく国や府から補助金をもらうのであれば、先進事例なども参考にして、もっと真に課題を解決するために、広報以外の別の新しい取り組みをすべきではないかと思います。せめて、東京都の「地域におけるしくみづくりガイドライン」で示されている4要件を満たすようにすべきではないでしょうか。
3.課題について
「現在、消費生活センターと福祉部門及び関係機関と協力して、ネットワークを構築し、対応しております。」という答弁でした。
「地域での見守り・地域のネットワーク化ということを課題とすべきではないのか」と質問をしましたが、消費者庁などの資料には、そのネットワークには、もっと高齢者に身近な方、家族、自治会、民生委員、ケアマネージャー、ホームヘルパー、そういった方々が挙がっています。「福祉部門や関係機関のネットワーク」を構築しているということですが、高齢者のもっと身近なところまで踏み込んでいかないと、被害件数や相談件数は減らないんじゃないでしょうか?部長なら、地域の方々とのネットワーク作りを上手にしていただけるのではないかと期待していますが、現時点では、高槻市においては、地域の見守りネットワークの部分が弱いと思います。
先ほども申し上げましたが、せっかく国や府から補助金をもらうのであれば、これまでと同じように広報だけに使うのではなくて、地域の見守りネットワークの構築とか、本当に被害の防止・被害の回復に役立つことをすべきだと思います。相談の結果どうなったのかについて、分類も集計もしていないということですが、それでは効果の検証などもできないと思います。
高槻市として、他市に向かってPRできるところは、ほとんどないんじゃないでしょうか。
被害の相談を受けている消費生活センター自身が、ちゃんと大事に税金を使って被害の防止・回復に努めて、その数字も出してくれないと、投じた税金に見合っただけの市民サービスを提供してくれていないのではないかと大いに疑問をもたれることになるのではないかと思います。
今回の私の質問は、日弁連主催で先日行われたシンポジウムの内容を参考にさせていただきました。濱田市長も、よろしければ、ご自身が登録されている大阪弁護士会に、資料などを求めてみて下さい。
高齢者の被害が深刻さを増してきている中で、先進事例もいろいろとあるのに、それらを特に参考にすることもなく、これまでと同じように広報だけしようとしているような印象を受けますので、この予算案には反対することを表明して、質問を終わります。
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