
いよいよ4月15日から高槻市長選と高槻市議会議員選挙が始まるわけですが、我が家のポストに、奥本市長の第2弾目のビラが入っていました。

相変わらず、財政の健全性を示す「経常収支比率」が、高槻市は90%であるということを、誇らしげにトップに掲げておられます。
「経常収支比率」については以前も取り上げましたが、70〜80%が望ましいとされており、90%という数字では、決して健全とは言えません。また、4年前(平成13年度)の高槻市の経常収支比率は87.5%であり、90%ということは、この4年間でむしろ悪化したわけです。

ビラ自体の出来は、色使いといい、構成といい、非常に良いと思います。

ビラの一番最後には、「高槻の人口が増加・小学生の数も増加」と書いてありました。人口については、1%くらいしか増えていないのに、目盛りを操作して、赤い矢印でこんなに強調するのは、誇張にもほどがあるとは思いますが、確かに人口は最近微増しています。全体の人口が増えれば、それに伴って子どもの数も増える。これは普通の現象でしょう。
けれども、私はこれを見て「おやっ?」と思いました。どうして「小学生」しか書かないのか。どうして「小中学生」ではないのか。
高槻市立の学校には、小学校と中学校があるのですから、中学生の数も書くべきではないのか。もしかすると、中学校の生徒数に秘密があるのではないか・・・そう疑問に思って調べてみると、案の定でした。

★高槻市の中学校の生徒数の推移(高槻市の「教育要覧」より)
年度 生徒数 H9 11,311 H10 10,711 H11 10,307 H12 9,801 H13 9,404 H14 8,905 H15 8,641 H16 8,358 H17 8,566 H18 8,437
実は、中学生は、減少していたのです。平成17年度にやや持ち直しているものの、平成15年度よりも低い数字であり、また平成18年度には減少に転じているわけですから、減少していると言えます。
人口や小学生は、4年前(平成14年度)と比べると微増しています。けれども、中学生は、4年前より減少しているのです。
全体の人口が増加すれば、それに伴って、子どもの数も増える・・・はずが、小学生は増加しているものの、中学生はむしろ減少している。これはやはり高槻市独自の「奇怪」な現象と言えるでしょう。
「小学校のうちは我慢できるが、高槻市立の中学校に子どもを通わせたくない」という保護者の心理が働いているのかもしれません。あるいは「子どもが中学校を卒業してから、土地の安い高槻に家を買って住もう」か。
やはり、高槻市の教育、特に中学校に問題があるということを、この数字は示しているのではないでしょうか?
奥本市長は、小学生の数字を出してくるわけですから、当然中学生の数の変化も把握しているはずです。小学生の数字だけだすなんて、ちょっとズルイですよ(笑)。奥本市長は、もともと中学校の教員だったわけですから、ことさら中学生の問題に目をつぶってはいけないはずです。
高槻市で人口が増えた理由ですが、以前「子ども達が消えてゆく街・高槻市」で取り上げた新聞記事の通り、「都心部への回帰」が起こっており、大阪府全体でも人口が増えているわけです。
夫婦そろって茨木市出身なのに、高槻市に家を買った友人に、その理由を尋ねてみると「茨木市は家が高い。高槻市のほうが安かったから、高槻に家を建てた」と言っていました。
高槻の人口が増えているのは、奥本市長のビラにあるような「高槻は子育てや教育に最適だから」といった理由ではなく、都心回帰と不動産の割安感が理由なのです。奥本市長の行政手腕によるものではありません。教育に最適なら、中学生も増加していたことでしょう。
悪化させたにもかかわらず「経常収支比率」を誇ったり、減少した「中学生の数」を隠して人口増加を強調したり・・・他にもっとアピールできるものはないのでしょうか?

私の年代は、中学生が減少している印象はありませんでしたが、団塊ジュニアの弟の世代は、40人学級のうち36人が私立中学を受験し、私立中学校の統一日に授業が成立しないことがありました。それほど地元の公立中学の人気がないということなんでしょうね。公立中学に行ったら地元集中運動に晒されるし。(松原小学校)