2013年10月10日

【京大農場】強制収用でないのだから移転補償費は払う必要がないはず

補償費

先日の9月議会の補正予算で一番問題だと私が考えているのが、京都大学への移転補償費です。

高槻市は、京大農場の史跡部分の一部の用地取得費と補償費として約22億円を計上。そのうち、補償費は1億7928万8千円で、これは平成25年度に公有地化する部分にある、処理施設、車庫、温室等の家屋6棟、約800mのネットフェンス、ビニールハウスといった工作物、果樹、庭木類約2000本の立木に関してのもの。そのうちどれだけか不明なのですが、移転補償も含まれているとのことです。

移転の補償というのは、要するに、引っ越し代を負担するということ。強制的に土地を収用するのであれば、補償をしなければならないのですが、京大農場についてはそうではないと高槻市はしています。高槻市のホームページにある、政策財政部長の「こちら部長室」の「京大農場跡地を緑豊かな公園に」という記事には、

・・・一方、農場側では、遺跡上に立地しているため、開設時の主要な建物や施設が老朽化しても建て替えができないことに加え、実習学生も倍増して手狭になるなど、長年さまざま苦労をしてこられました。こうした中、京都大学として、この農場を京都府木津川市の関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)に移転することを決定され、去る7月30日には、市と京都大学、UR都市機構の3者により同農場の移転に関する協定書を結びました。


・・・と、京都大学は、京都大学の事情で、自主的に移転を決定したと書いています。高槻市がこのような認識である以上、こうした補償金は必要がないはずです。

京大との間で交わした合意書等にも移転補償についての記載はありません。なぜ払う必要のない補償金まで払おうとするのでしょうか?

以下は9月議会でのやりとりです。質問原稿と答弁原稿等を基にしているので、実際とは異なる部分があることをご了承ください。

■安満遺跡公園に係る史跡部分の補償費について

<質問1>

(1)補正予算説明書を見ると、補償金として1億7928万8千円が計上されています。資料を見ると、これは平成25年度に公有地化する部分にある、処理施設、車庫、温室等の家屋6棟、約800mのネットフェンス、ビニールハウスといった工作物、果樹、庭木類約2000本の立木に関してのもののようです。それらの補償金として1億7928万8千円が必要とのことですが、この額はどのように出したのでしょうか?鑑定などをされたのでしょうか?それぞれの評価額はどれだけなのでしょうか?詳細をお答えください。

(2)この補償金に関しては、これまで京都大学と取り交わしてきた覚書や協定書などには具体的に、どこに、どのように記載されているのでしょうか?

(3)この補償金の対象は、平成25年度に公有地化する土地のもののようですが、今後も年度毎に京大農場を徐々に公有地化していくとされています。ということは、今後も、同じように、補償金が必要になるということでしょうか?また、今後必要となる補償金は、どれだけの額になるのでしょうか?

(4)そもそもこの種の補償金を京都大学に支払う必要があるのでしょうか?京大を強制的に立ち退かせるのであれば、必要だと思いますが、覚書や基本協定書を見る限り、そのようなことは書かれていませんし、高槻市のHPの政策財政部長の「こちら部長室」の「京大農場跡地を緑豊かな公園に」という記事には、
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/shisei/kohokocho/buchoshitsu/kako/h24/seisaku/seisaku240903.html
・・・一方、農場側では、遺跡上に立地しているため、開設時の主要な建物や施設が老朽化しても建て替えができないことに加え、実習学生も倍増して手狭になるなど、長年さまざま苦労をしてこられました。こうした中、京都大学として、この農場を京都府木津川市の関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)に移転することを決定され、去る7月30日には、市と京都大学、UR都市機構の3者により同農場の移転に関する協定書を結びました。

・・・と、京都大学は、京都大学の事情で、自主的に移転を決定したというようなことが書かれています。そうした場合には、補償金は必要ないのではないかと思いますが、市の見解をお聞かせ下さい。


<答弁1>
 補償金につきましては、対象物件の概数に対し、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」に基づき算定した概算額を計上しており、現在は委託した補償額算定の専門調査会社が補償基準に沿って算定した積み上げ金額の精査をおこなっているところです。
 次年度以降も補償を行いますが、現時点では算定しておりません。
 今回の史跡公有化は、史跡安満遺跡を保存し、史跡公園として整備・活用するもので、公共用地取得の手続きに沿って移転の補償を行うものです。

<2回目の質問>

(1)補償金については、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」に基づき算定した概算額を計上し、公共用地取得の手続きに沿って移転の補償を行うということです。「公共用地の取得に伴う損失補償基準」というのは国土交通省が定めているのですが、その国土交通省の「用地交渉ハンドブック」によると、公共用地取得とは、「・・・任意取得を原則としつつも、公共用地交渉が妥結に至らない場合は、一般的には土地収用法に基づく強制取得の手続きに移行することが予定されているものであること。」とされています。また「公共事業により取得すべき事業用地の範囲は、治水危険度、交通渋滞の状況等の土地利用の状況、社会経済状況や地形、地物等を総合的に判断して客観的かつ非代替的に決定」するということや、憲法29条3項を根拠として「公共用地の取得に伴う損失補償基準」等に基づいて実施する必要があるということも書かれています。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000050745.pdf
つまり、公共のためにやむを得ず取得しなければならない土地で、最終的には「土地収用法に基づく強制取得」ができるものが、「公共用地取得」なのだということです。私人の財産権を強制的に取得し、それに係る権利も消滅させてしまうこともあるから、日本国憲法第29条第3項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」という規定に基づいて、補償するということなんですが、この憲法29条3項の「補償」というのは、ウィキペディアによると「日本国憲法第29条第3項は、私有財産の公的利用には補償を要することを定めるが、同条は通常の受忍の範囲を超え、かつ特別の犠牲を課す場合にのみ適用されると一般に解されている。」とされています。
こうした定義からすると、京大農場の取得については、1回目の質問で申し上げた通り、京都大学の事情で、京大が自主的に移転を決定したようですが、仮に京大が土地の譲渡について合意しなかった場合には、高槻市が強制取得することにならなかったわけですから、いわゆる「公共用地取得」には当たらないと考えられます。したがって、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」に基づいて補償をするというのもおかしいのではないかと思いますが、この点について、あらためて教育委員会の見解をお聞かせください。

(2)1回目の質問で「この補償金に関しては、これまで京都大学と取り交わしてきた覚書や協定書などには具体的に、どこに、どのように記載されているのでしょうか?」とお聞きしましたが、それに関するお答えはありませんでした。これまで京都大学と取り交わしてきた覚書や協定書などには、この補償金に関する記載はない、ということでよろしいのでしょうか?お答えください。

(3)現時点においても、具体的にどのような公園を造るか正式に決定されていないわけですが、平成21年9月28日に京大・高槻市・URの3者で「京都大学大学院農学研究科附属農場の移転等に係る覚書」(いわゆる「大枠合意書」)を交わしたときには、サッカースタジアムの建設というのが唯一無二の行政案として存在し、遺跡の部分も含めて、全面芝生の都市型公園にするということだったわけですから、当時は、京大農場を、更地にしたうえで譲渡するということだったのではないのでしょうか?覚書や協定書などに、土地のことしか書かれていなくて、建物などについてはまったく記載がないということは、更地での引き渡しが前提での合意だったということではないのでしょうか?お答えください。

(4)仮に補償金を支払えば、建物や樹木の所有権は、高槻市に移ることになると思いますが、これらは、それぞれ、具体的にどのように利用されるのでしょうか?遺構の発掘や保存、遺跡の公開などのために、あるいは公園整備のために、取り壊しや廃棄をすることもありえるのでしょうか?明確にお答えください。

(5)建物の所有権が市に移れば、移転登記の費用等が発生するのでしょうか?樹木であれば、肥料をやったり、害虫駆除をしたりする必要があるでしょうし、建物も、場合によっては、点検や補修が必要と考えられますが、それらの費用は、それぞれにどれだけかかるのでしょうか?物件ごとにお答えください。

<答弁2>

(1)史跡指定地では、文化財保護法により、指定時点での現状を変更しようとする行為が厳しく制限されています。
 このように私有財産権に対する制限が課されていることから、史跡公園整備のための公有化に際しては、公共用地の取得に伴う損失補償基準を準用し、移転の補償を行うものです。

(2・3)次に、覚書等に移転補償の記載がない、との重ねてのお尋ねですが、用地取得に際して、土地に定着する物件がある場合は、書面で取り交わすまでもなく、移転補償費を支払うのは当然のことと考えております。

(4)次に、樹木や農場建物の扱いですが、現在、(仮称)安満遺跡公園整備構想について、さまざまな検討がなされております。開園に向けては、整備構想の策定後に、設計を行って樹木配置などを決定していくこととなります。

(5)最後に、建物の補修などの維持管理費用についてですが、現時点では算定しておりません。以上でございます。

<質問3>

(1)今回初めて、京大農場の建物などについての補償ということが出てきましたが、これは何故なんでしょうか?これまでは何故そういった話が出てこなかったのでしょうか?理由をお答えください。

(2)「公共用地の取得に伴う損失補償基準」を準用して移転の補償を行うということですが、建物等を移転させるということなのでしょうか?移転するのであれば、具体的に何を移転するのか、お答えください。

(3)「公共用地の取得に伴う損失補償基準」を準用するということですが、具体的にこの基準の第何条を適用するのでしょうか?物件ごとに、それぞれ第何条を適用するのか、お答えください。

(4)文化財保護法云々とおっしゃられていますが、国土交通省の「用地交渉ハンドブック」によると、2回目の質問で申し上げた通り、最終的には強制取得ができるものが、「公共用地取得」なのだということです。この「公共用地取得」によって、損失を被る場合には補償を受けることができるとされているわけです。念のため確認しますが、京大農場は、最終的には「強制取得」される土地なのでしょうか?お答えください。

(5)文化財保護法云々とおっしゃられていますが、この予算案による補償というのは、文化財保護法上の補償なのでしょうか?お答えください。

(意見)憲法29条3項に規定の補償とは、通常の受忍の範囲を超え、かつ特別の犠牲を課す場合にのみ適用されると一般に解されていると2回目の質問で申し上げましたが、京都大学は、自らの事情により移転し、移転先も自ら選んだわけです。決して強制的に移転させられるわけではありません。ご答弁では「史跡指定地では、文化財保護法により、指定時点での現状を変更しようとする行為が厳しく制限されています。」ということですので、移転すれば、むしろ、史跡の影響のない土地に、今よりも自由に学舎を建てられるわけですし、農学研究も進めやすい環境になるのではないのでしょうか。とすると、高槻市による財産権の侵害が受忍限度を超えているとはいえないはずですので、移転の補償をするというのは、おかしいはずです。移転の原因は京都大学にあるわけですし、覚書や基本協定書に移転補償についての定めがない以上、移転費は京大に負担していただくべきではないかと思います。難しい言葉をいろいろ使いましたけれども、一般的にいっても、自分で家を引っ越すことを決めたら、その引っ越しの費用は、自分で負担すべきだと思うんですよ。京都大学も、自分の引っ越しについては、自分で費用を負担すべきだと思いますし、それをもし高槻市が払うのであれば、違法不当な支出ではないかと思います。以上です。答弁をよろしくお願いします。

※3回目の答弁については、答弁原稿をもらっていないので、3か月後に議事録が完成した際にご覧下さい。



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posted by 北岡隆浩 at 23:19| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 高槻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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