2015年03月01日

【埋立訴訟】住民訴訟を提起!次回は4月17日

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タイヤ.jpg

「ダンプが住宅街を通る」「道が崩れ自分の土地へ行きにくくなった」「ハイキングコースなのに景観が台無し」等の苦情が周辺住民の方から寄せられた高槻市大字奈佐原の造成現場の問題。無許可で、市有地や市が管理する財産区の土地も、建設残土で埋め立てられていたほか、違法な産業廃棄物の処理等もされていたので、昨年の3月議会に続き、9月議会で取り上げました

私達が現地を訪れたところ、造成現場の斜面の崩れた場所から、写真のとおり、タイヤや瓦礫、ブルーシートの切れ端が見え、白く泡立つ汚れた水が造成現場から流れ出ていることも発見。警察や地元の方の話によると、土砂の下に産業廃棄物も埋められているとのこと。環境への影響が心配になりました。

議会で高槻市役所は「適切に対応する」と答えたものの、不法占有に関してこれまでほとんど何もしてこなかった市役所が、本当にちゃんと対処するのか?住民監査請求の監査結果では・・・

・・・本件里道等が国から一括譲与されるに当たり、その状況について確認等を行った際、本件造成行為により既に本件里道等は埋め立てられており・・・


・・・と監査委員が認定しているのですが、その状況確認を行ったのは平成16年頃。この場所で違法に建設残土が処分され始めたのは平成15年とのことなので、確認当時に適切に対処していれば、今日ほどの状況にならなかったのではないでしょうか?にもかかわらず・・・

里道等の原状回復は事実上不可能

高槻市役所の担当者は「里道等を原状回復させるためには、搬入した土砂をすべて除去する必要があり、これは事実上不可能であると認識しています。」と述べています。自分達の責任を棚に上げ、もうお手上げ状態だと言っているわけですが、10年も放置しておいて、あまりにも無責任ではないでしょうか?

住民監査請求を行ったところ、市有地が不法占拠されていることを監査委員は認めました。しかし、「土地の測量等の費用も必要となる。」などとして、私の請求を棄却しました。

測量などに金がかかるから、不法占拠者に土地代等を請求しなくてもよいのだということになれば、不法占拠をやった者勝ちになります。それに、本件の場合は、長年にわたり放置してきた市役所の責任もあるはず。

私は、土砂等の撤去と、事業者の不法占拠や市役所の怠慢による損害の賠償等を求め、今年1月15日に住民訴訟を提起。第1回口頭弁論は先日の2月27日13時10分から大阪地方裁判所で開かれ、3人の弁護士さんと共に出廷しました。

次回の法廷は、4月17日13時10分から、大阪地裁1007号法廷となりました。ぜひ傍聴にお越しください。

以下は住民監査請求の監査結果です。

住民監査請求監査結果

1 請求の受理

平成26年10月10日に請求人から地方自治法(以下「自治法」という。)第242条第1項の規定に基づき提出された住民監査請求(高監委第259号。以下「本件請求」という。)は、形式上の要件を具備しているものと認め、同日付で受理した。

2 請求の要旨及び理由

監査に当たり、請求書記載事項及び事実証明並びに請求人の陳述から請求の要旨及び理由を次のように解した。

(1) 請求の要旨

■■■■■■■■■■■■■■■■(理事長A。以下「B社」という。)は、高槻市大字奈佐原472番ほか計36筆、総面積44,463.22 平方メートル(以下「本件造成地」という。)においてグラウンド造成(土地形質の変更)を行っている(以下「本件造成行為」という。)が、本件造成地内とその周辺には、高槻市(以下「市」という。)が所有権を持つ特定公共物たる里道及び水路(以下「本件里道等」という。)並びに大字岡本財産区有地(大字奈佐原944番53。以下「本件財産区有地」という。)が存在し、これらが造成地の一部となり土砂等で埋め立てられている。
本件造成地には本件里道等が含まれているにもかかわらず、占用料の徴収や占用料相当額の請求、原状回復等の請求をすることなく放置してきたことは違法不当である。また、本件財産区有地についても、地代ないし地代相当額、原状回復等の請求をすることなく放置してきたことは違法不当である。
よって、過去10年分の当該占用料相当額及び地代ないし地代相当額について、関係団体、関係人、関係職員、決裁権者、専決権者、高槻市長(以下「市長」という。)その他の責任者に対し、不当利得返還請求又は損害賠償請求すること並びに本件里道等及び本件財産区有地を原状回復し、その費用を前記各人らに請求することを勧告することを求める。
また、これらの不当利得返還請求権又は損害賠償請求権の行使を怠る事実並びに故意過失により時効消滅した債権につき当該責任者に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実が違法不当であることの確認を求める。

(2) 請求の理由

B社は、本件造成行為について、平成23年6月24日付けで、市に対して近郊緑地保全区域内行為届出書を提出し、市は同月28日付けでこれを大阪府(以下「府」という。)に経由し、府は同年7月14日付けでこれを受理した。
本件造成地のうち23筆、総面積25,169.61 平方メートルについては、平成20年7月から8月までの間に、同様の届出、経由、受理がされている。上記届出書には、本件造成地に本件里道等及び本件財産区有地が含まれた形の工事図面が添付されていたことから、市は、少なくとも平成20年8月の時点で、本件里道等及び本件財産区有地が占用・占有される可能性を認識できた。また、B社代表らは、平成18年1月に本件造成地内に無許可で土砂を搬入したとして逮捕・送検されていたと報道されているから、その記事の写真からも本件里道等が不法占用されていた可能性を知ることができたはずである。ところが、市は本件里道等につき、高槻市特定公共物管理条例(以下「市条例」という。)に基づく占用許可申請をB社にさせることなく、占用料の徴収や占用料相当額の請求、原状回復等の請求もすることなく放置してきた。また、本件財産区有地についても、地上権の目的である植林とは異なり、グラウンド造成を行うとして届けられているにもかかわらず、地代・原状回復等の請求することなく放置してきた。B社による本件里道等の無許可占用は、市条例に反する行為で違法不当であり、本件財産区有地の目的外使用も違法不当である。このことにより、市は、本件里道等の占用料相当額及び本件財産区有地の地代相当額の損害を被っている。

3 監査の実施

(1) 監査対象事項

本件里道等に係る占用料相当額及び原状回復等の請求を怠っていること並びに本件財産区有地の地代ないし地代相当額、原状回復等の請求を怠っていることは違法不当であるかを監査の対象とした。
なお、請求人は、本件不当利得返還請求権又は損害賠償請求権の行使を怠る事実並びに故意過失により時効消滅した債権につき当該責任者に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実の違法確認を求めているが、当該確認については、自治法第242条第1項所定の監査対象事項ではないことから監査の対象外とした。

(2) 監査対象部課

政策財政部資産管理課及び都市創造部管理課

(3) 請求人の証拠の提出及び意見陳述

平成26年10月27日に、自治法第242条第6項の規定に基づき請求人から新たな証拠の提出があり、概要、次の陳述があった。その際、関係職員の立会いを認めた。

平成26年の初め頃に現地に行った時には、沢山のダンプが行き交い砂ぼこりが舞い上がり、多くの市民が迷惑している。高槻警察署でも造成現場の崩れかかった場所に瓦礫が覗いており、土砂だけではなく産業廃棄物が埋められていることを昨年11月頃に確認したそうである。そういうところを雨水が流れて安威川や農地に注ぎ込んでいる。造成現場のために谷を流れていた水が里道を流れるようになったということで、里道を流れる水が濁り、白い泡が浮いていたのを市でも確認された。水の濁りの原因は分らないが環境への影響が心配であり、一刻も早く市ができることをやるべきである。里道等を原状回復させるという当たり前のことを行って、里道上、あるいはその下にあるかもしれない土砂や産業廃棄物を取り除いて、市民の被害を少しでも軽減することが市としての責務である。

(4) 関係職員の意見陳述

平成26年10月27日に、自治法第242条第7項の規定に基づき政策財政部の資産管理課長及び同課副主幹並びに都市創造部の部長、部長代理、管理課長、同課課長代理及び同課副主幹が陳述を行った。その際、請求人の立会いを認めた。

ア 関係職員の陳述の概要は、次のとおりである。

(ア) 本件里道等について

本件造成地周辺の山林は、阿武山共有林と呼ばれる旧6大字の入会林であり、周辺に存在する里道や水路などは、主に営林及び一部に点在していた農地の利用者が利用していたものと考えられる。現在、営林されている様子はなく、農地も全て耕作放棄地であり、外見上の通路や水路としての機能はほぼ失われ、利用者はほとんどいない状況である。
本件里道等は「地方分権の推進を図るための法律の整備等に関する法律」(以下「地方分権一括法」という。)により、平成17年3月31日付けで国から譲与を受け、市の所有となった。
本件造成地は、B社が買収又は賃借した土地に土砂を搬入し造成を行っており、本件造成地内に存在する本件里道等も自己所有地等の形状変更にあわせて土盛り等の形状変更がなされている。B社によると平成15年7月頃から実施しているとのことである。請求人は、少なくとも平成20年8月の時点で、本件造成行為を認識できたはずとしているが、近郊緑地保全区域内行為の届出は、当時の環境部緑政課が届出を受け、府に経由しており、当該届出の存在は管理課としては把握しておらず、平成26年3月市議会での請求人の質問を受けて認識し、以降、詳細の調査を開始した。
本件里道等に対する本件造成行為は、市条例第4条第1項第2号の「特定公共物の敷地において掘削、盛土その他土地の形状を変更すること」に該当すると考えられ、許可を受ける必要がある。許可を受けた場合には、市条例第16条第1項の規定により占用料を納付する必要はない。現在のところ、B社による許可申請は行われておらず、少なくとも本件里道等が市に譲与されて以降、新たになされる行為については、申請を行う必要がある。
本件里道等の存在は、法務局に備え付けの公図を基に作成された特定公共物の譲与図面で確認できるが、現地には本件里道等を示す境界杭や目印は存在せず、その位置の特定は不可能である。また、本件造成地の中心エリアは、公図が存在せず、土地の所在すら把握が困難な地域となっている。
請求書5頁の資料(図3)において複数の地番が連なって記載されている箇所については、公図に記載されているものではなく、B社の想定に基づく地番となっている。このようにこれら地域の特殊性から、本件里道等の位置、面積、隣接地を特定できない状況であり、市条例に基づく申請を行わせようとしても現状では事実上困難である。
このような事情の中で、B社に適正な申請を行わせるには、本件里道等と隣接地の境界を定めるとともに、現地に境界杭などを設置して土地の境界を明示する必要がある。しかし、B社は、土地の境界確定を実施しておらず、境界確定は契約の一種であり、B社に強制することはできない。境界確定を強制的に実施するには境界確定訴訟を提起する必要があるが、本件里道等の財産価値を大幅に超える測量費等の費用を市が負担する必要があり、費用対効果を勘案すると、訴訟を提起するという考えには至っていない。このことから、より効果の高い働きかけを行うため、現在、府の許認可権に関連付けて、B社が自ら境界確定を行わざるを得ない状況に誘導している。具体的には、本件造成地に土砂を搬入するためには、砂防法に基づく府知事の許可が必要となる。大阪府砂防指定地管理条例(以下「府条例」という。)第4条第1項前段に基づく申請を行う場合は、行為地に係る権利者の承諾が必要となる。つまり、市の了解がなければ砂防法に基づく許可を得ることができず、土砂の搬入を行うことができないことから、府に対して、市条例の手続を終えるまで砂防法による許可をしないよう強く働きかけている。なお、B社から市に特定公共物に関する事務手続について問い合わせがあり、現在、同社と協議を行っている。

(イ) 本件財産区有地について

財産区は、自治法第294条に規定する特別地方公共団体で、市町村とは別個の独立した法人であり、市町村内の一部において財産区財産の管理処分、廃止を行っている。本件財産区有地は、明治38年に植林を目的として300年の地上権が個人名義で設定された。地上権は民法第265条に規定する物権で、他人の土地において工作物又は竹林を所有するためその土地を使用する権利であり、その法的性質は目的たる土地を直接に支配し、かつ、排他的に支配する権利である。この地上権の性質から、土地所有者である大字岡本財産区(以下「本件財産区」という。)が本件財産区有地を第三者に賃貸することはできず、地代相当額を請求することはできない以上、請求人のいう地代の請求を怠ってきた事実及びそれによる損害はない。

イ 関係職員の陳述に対する請求人の反論は、概要、次のとおりである。

地上権者が賃貸の権利を持っているから、市は地代相当額を請求できないと言うが、平成26年3月市議会では、本件財産区有地において、災害防止の観点から防災上最低限必要な植林に限り造成者が施行することを認めるよう府から指導及び助言があり、本件財産区としてはこれを受け入れたと市は答弁している。地上権者の意向を無視して事実上の許可をしたのであれば、財産区が地代相当額を請求する義務がある。
本件里道等について、その詳細を知ったのは平成26年3月市議会での質問を受けてとのことだが、市は、平成20年にB社からの近郊緑地保全区域内行為届出書の申請を受け付けており、それ以前の平成18年にB社代表者らが逮捕・送検されたことを市は承知していたはずであり、当時から本件造成地の問題を把握していたと思う。市議会でも、上記届出書に添付されていた公図に本件里道等が含まれていることを確認していると答弁しており、平成20年には確認ができたのではないか。位置の特定が難しいとか費用がかかるということだが、不法占用の状態のままでいいということにはならず、占用料相当額を請求するだけでなく、不法状態を解消する意味でもしっかりとやっていくべき問題である。

(5) 関係職員の事情聴取等

平成26年11月5日に、政策財政部の理事、部長代理、資産管理課長及び同課副主幹並びに都市創造部の部長、部長代理、管理課長、同課課長代理及び審査指導課長に対して事情聴取を行った。
また、請求書及び証拠書類について調査し、関係職員に対し質疑を行った。

4 監査の結果

(1) 事実の確認

ア 本件里道等について

(ア)法定外公共物について

法定外公共物とは、道路法、河川法等の法令が適用又は準用されず、かつ、登記上私権が設定されない公共物をいい、代表的なものに里道、水路がある。また、公図上に地番が付されず、登記されていないことが要件とされている。明治時代には、地租を課さない国有地として分類され、管理は大蔵省(現・財務省)が担ってきたが、所在する箇所が多く、個々の面積が小さく、場所を特定することが難しいなどの理由で、管理しきれず地域の実態に任されていた状況にあった。地方分権一括法の施行により、里道、水路等の機能を有しているものについては、地元市町村の申請に基づき平成17年3月31日までに国から譲与された。本市では、譲与を受けた法定外公共物について市条例を制定し、同年4月1日以降、特定公共物として管理を行っている。

(イ)本件里道等の状況について

管理課によれば、本件里道等が国から一括譲与されるに当たり、その状況について確認等を行った際、本件造成行為により既に本件里道等は埋め立てられており、その位置を特定させることは困難な状況であった。

イ 本件財産区有地について

本件財産区有地を含む阿武山共有林は、明治38年に国有土地森林原野下戻法により、当時の阿武野村及び芥川村に払い下げられ、阿武野村の大字岡本を含む5大字及び芥川村大字郡家の計6大字で分割された。その際、地上権を設定する規約が設けられ、本件財産区有地は、明治38年11月4日に植林を目的として、存続期間300年の地上権が個人名義で設定された。その後、相続によりCが現在の地上権者(以下「本件地上権者」という。)となっている。

ウ 本件造成行為について

(ア) 本件造成行為に係る府の対応等について

平成15年7月頃、B社理事長Aが奈佐原477番他で果樹園の造成を目的として残土の搬入を開始した。同地は近郊緑地保全区域、森林区域及び砂防指定地であることから、平成16年6月14日付けで、府環境農林水産部緑整備室長名でB社に対し森林法第10条の2第1項違反により、土砂搬入等土地形質の変更行為を中止する旨の勧告を行った。また、同年11月19日付け及び平成17年3月7日付けで、府茨木土木事務所長名でB社に対し、砂防法第4条第1項に基づく府条例第4条第1項違反により、砂防指定地内行為(土砂搬入による土地の形質変更)の中止を勧告し、同年9月14日付けで、府知事はB社に対し森林法第10条の2第1項に違反するとして土砂搬入行為の中止を命じた。その後、平成18年1月17日に、Aら3人が森林法違反(開発行為の許可)と府条例違反の疑いで逮捕、送検された。

(イ) 果樹園造成工事に係る本件地上権者の承諾について

平成16年6月に、同年3月、4月頃に本件地上権者がAに、B社が本件財産区有地の隣地で果樹園の造成工事を行うことについて、本件財産区有地を使用することの承諾を与えていたことが判明した。その承諾書(以下「本件承諾書」という。)には、同造成工事について、「平成16年4月1日より工事完了まで、私所有地の利用・使用する事を承諾します」との記載がある。本件地上権者が承諾するに至った経過は、本件地上権者によると、Aから造成地に隣接する法定外公共物である水路の管理者等を含めた行政機関の同意や開発許可を得ているので、造成工事に必要な場合は、本件財産区有地を通行することを認めてほしい旨の要請があったため、これを信用し承諾したものであった。承諾の対象は通行のみで、立木の伐採や埋立てを認めたものではなかったが、立木の約4割を無断で伐採したことから、代理人弁護士を通じて、同年8月6日付け内容証明郵便により当該承諾を取り消し、翌7日にB社に送達された。この時点では、B社は立木を伐採したのみで、埋め立ては行っていないとのことである。これに対し、B社は本件地上権者に対して「承諾の取消同意及び原状回復について」と題する文書を発出している(発出日は不明)。同文書には、承諾の取消を同意する旨及び原状回復については関係法令に基づき法面整形を行い植栽する旨の記載がある。

(ウ) 本件財産区の所有地に係る暫定境界確定について

府は、B社に対し従来から本件造成地について緊急防災措置を講ずるよう指導してきたところ、同社から自発的に仮設の沈砂池を作り、サイコロ状のコンクリートブロックを設置し、土留したい旨の申出があった。このことについて、平成16年7月7日に、府から市(財政部管財課)にB社が緊急防災措置を行うことにつき、仮設沈砂池の設置場所が本件財産区の所有地にかかるかもしれないとの連絡が入った。なお、B社からは同月14日付けで府へ緊急防災計画書が提出された。その後、同月20日付けで、B社からA所有地(大字奈佐原464番他7筆)とその対側地の本件財産区の所有地との境界が不明であることから暫定の境界明示をしたい旨、本件財産区管理者(市長)あてに財産区財産境界明示(暫定)申請書が提出され、同日に暫定境界確定のため、A、大字奈佐原944番51及び同52の地上権者Dの代理人、同53の本件地上権者C、同54の地上権者E、本件財産区管理者(財務部管財課長及び同課主査)による立会が行われた。
その後、本件財産区管理会(同年9月27日開催)の同意を得て、同年10月13日にB社管理地と本件財産区所有地の上記地番について、境界(暫定)書が締結された。
平成18年8月に、B社は、府に対して是正計画書を提出した。同計画書に添付された協議経過報告書(同月7日付け。以下「本件協議経過報告書」という。)には、B社と管財課長との協議の経過について、本件財産区所有の上記地番において、「防災上必要な工事のため財産区有地において法面を整形し、植林を行うことについて容認する」との回答を得られた旨の記載がある。

(エ) 本件造成行為に係る近郊緑地保全区域内行為届出書について

平成20年7月1日付けで、B社は、Aの所有地等(大字奈佐原472番他22筆)につき、近畿圏の保全区域の整備に関する法律第8条第1項の規定に基づき、市(環境部緑政課)を経由して、近郊緑地保全区域内行為届出書を府に提出した。その際、市は、「当該届出行為につきましては、都市計画法の取扱いについての協議が必要と思われます。現在、手続きはなされておりませんので、受理にあたっては御留意いただきたくよろしくお願いいたします」との意見を付している。府は、同年8月8日付けで当該届出書を受理した。
平成22年3月16日付けでB社は、Aの所有地等(大字奈佐原472番他35筆)につき、市(環境部緑政課)を経由して、近郊緑地保全区域内行為届出書を府に提出した。同届出書に添付された土地調書にはAの所有地のほか本件財産区有地等が含まれており、本件財産区有地の登記簿謄本及び本件承諾書が添付されている。しかしながら、本件承諾書は、上記4(1)ウ(イ)のとおり、取り消されている。また、本件協議経過報告書が添付されており、同報告書には、本件財産区有地について「今般、私が行っております、造成工事について行為区域外の下記高槻市大字財産区地について、管理者である高槻市財務部管財課長との協議経過を報告します」と記載され、下記事項として、大字奈佐原944番53原野2,565 uについて、今回の造成工事について現地において、防災上必要な工事のため財産区有地において法面を整形し、植林することについて了解するとの回答が得られた旨の記載がある。なお、市は、当該届出書について意見は付しておらず、府は、同年4月6日付けでこれを受理した。
平成23年6月24日付けで、B社は、市(環境部緑政課)を経由して、近郊緑地保全区域内行為届出書を府に提出した。同届出書の内容は、上記平成20年7月1日及び平成22年3月16日に提出の近郊緑地保全区域内行為届出書について、その行為期間を平成26年6月30日まで延長するというものであった。また、同届出書には、上記の平成22年3月16日付け届出書と同様の土地調書、本件財産区有地の登記簿謄本及び本件承諾書が添付されており、府は、同年7月14日付けで当該届出書を受理した。

(オ)本件造成行為における砂防指定地内行為許可申請について

B社は府知事あてに、平成23年5月18日付けで本件造成地について砂防指定地内行為許可申請書を提出した。同申請書に添付の土地調書には、A所有地のほか本件財産区有地が記載されているほか、本件財産区有地の登記簿謄本が添付されており、府は、同年6月28日付けで許可した。
平成26年6月12日付けで本件造成地の隣接地(大字奈佐原480番他)について、B社は府知事あてに砂防指定地内行為許可申請書を提出した。

(2) 判断

請求の要旨及び理由、関係書類の調査、請求人の陳述、関係職員の陳述及び事情聴取並びに関係書類から判断した結果は、次のとおりである。

ア 本件里道等について

本件里道等は、本件造成行為によって埋め立てられており、その位置を特定することはできず事実上占用されている状況にある。市が所有する本件里道等を権原なく占用するB社に対し、原状回復を求めず、占用料相当額を請求しないことは、公共財産たる特定公共物の管理として適切でない。また、地方公共団体が有する債権の管理について定める自治法第240条、地方自治法施行令(以下「自治法施行令」という。)第171条から第171条の7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない(平成16年4月23日最高裁第二小法廷判決)。しかしながら、地方公共団体の長は、自治法施行令第171条の5などに鑑みれば、地方公共団体は、その有する債権を行使することに経済合理性がないと認められる場合には、これを行使しないことができるものとするのが法の趣旨であると解される。地方公共団体が所有土地の占有者に対し占有料を請求・徴収しなければならない場合(請求しなければ違法となる場合)について、占有料を請求するためには当該占有する土地範囲の確定ないしその土地の範囲を測量することによる占有面積の確定を行うことが事実上必要となることも明らかである場合に、これを実行するためには、筆界確定紛争などの紛争の発生を回避できる場合であっても、相当な人的・経済的負担が必要となることが予想され、このような負担が生じる可能性を勘案してもなお占有料を請求・徴収することに経済合理性があるか否かは、占有面積が確定していない土地については容易に判断し得ることではないと考えられるから、境界確定を行い、占有面積を確定することが容易であり、かつ、経済合理性に適うというべき特段の事情のない限り、占有料を請求しないことをもって直ちに債権の管理を違法に怠るものと評価することはできないというべきである(平成24年2月9日岐阜地裁判決参照)とされている。
そうすると、現況、本件里道等は無許可占用の状況にあることから、市は、B社に対し占用料相当額を請求すべきであるが、本件里道等は公図上の記載はあるものの、現地ではその隣接地との境界が不確定であり、隣接地との境界確定を行う必要がある。境界確定には、隣接地所有者の承諾が必要となり、土地の測量等の費用も必要となる。また、隣接地所有者の承諾を得られない場合は、境界確定訴訟を提起することになるが、その場合には裁判費用が嵩むだけではなく、判決に至るまでに有する期間も考慮すると、人的・経済的負担が相当なものとなることは容易に予想されることから、占用料相当額を請求しないことをもって、直ちに債権の管理を違法に怠るものということはできない。
また、原状回復させるにしても、隣接地等の境界確定をする必要があり、その人的・経済的負担が相当なものになるのは上記のとおりであるから、原状回復を求めないことをもって、直ちに本件里道等の管理を違法に怠るものということはできない。現在、市は、B社自らが境界確定を行うよう同社との協議を行っている。
以上のことから、本件里道等について占用料相当額を請求しないこと、あるいは原状回復を求めていないことについて、直ちに市の財産の管理を怠っているとはいえず、この点について、請求人の主張は理由がない。

イ 本件財産区有地について

本件財産区有地については、地上権が設定されている。地上権者は、その土地を直接的に支配できる強い権利を持ち、土地所有者の承諾を得ることなく、地上権を第三者に譲渡し、あるいは賃貸することができる。このことから、本件財産区がB社に対し本件財産区有地を賃貸し、賃借料を請求できる立場にはなく、本件財産区について地代ないし地代相当額の損害が発生しているということはできない。よって、地代ないし地代相当額の請求をする旨の請求人の主張は、理由がない。
また、請求人は原状回復を求めているが、本件財産区有地の立木が伐採され、土盛りがされている状況については、先ずは本件地上権者に係る問題であると思料する。本件地上権者がB社に対しその原状回復を求めるのか、あるいは地上権の目的の範囲において地上権を譲渡し、又は賃貸するのかなど、本件地上権者の今後の対応を見極める必要がある。また、本件財産区有地の現状について、現在、市と本件財産区管理会の間でその対応についての協議を行われているが、本件地上権者の意向も斟酌した上で、財産管理を怠っているとの謗りを受けないよう、法的手段をも視野に入れた速やかな対応が求められる。

(3) 結論

以上のことから、請求人が求める措置の必要性は認められない。

(4) 要望

本件里道等及び本件財産区有地に係る問題については、市の所有する財産、即ち市民共有の財産の管理に係る問題であることから、市長においては、速やかに適正な対応をされるよう要望する。



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posted by 北岡隆浩 at 19:26| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 高槻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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