1歳3か月の幼児が高槻市内の民間保育施設で就寝中に死亡した事故。本日、施設側が2500万円を支払うとのことで和解が成立しました。和解金のほか、高槻市と施設側が、より安全・充実した保育の実現を目指して努力する旨も和解の条件に盛り込まれました。
昨日の高槻市議会本会議は、3月議会の最終日でしたが、この和解と、高槻むくげの会による不法占有に関する裁判の和解についての議案が上程されました。
施設での死亡に対して和解金の支払いがあるということは、施設側も一定の責任を認めるということになるので、市として、提示された条件で和解が成立した場合、新たに指導等をするのか質問しました。
また、議案説明では、市役所はこの施設を「認可外保育施設」としたのですが、この施設は高槻市が認定し、補助金を出している「認定保育施設」。なんだか「認可外」という言い方に、責任逃れのような感じがしましたので、その点も質しました。
事件後に放送された読売テレビ「ten」では・・・
2011年に保育施設で死亡した園児14人は、すべて就寝中に死亡し、うち「うつぶせ寝」は11人との解説がありました。
私の質問に対し、市役所側は「今後も引続き適切な指導」をすると答弁。では、具体的にはどう指導するのか重ねて質問したのですが、抽象的な答弁に終始。この答弁を聞いたら保護者の方等はどう思われるか。もう少し保護者が安心できる答弁をしてほしかった。
以下は市の議案説明資料と議会でのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。
認可外保育施設で発生した入所児童死亡事故にかかる損害賠償請求事件の和解について
1.訴訟の概要
事案の概要 平成23年4月、市内認可外保育施設において、午睡中に、入所児童の呼吸が停止しているのを保育士が発見し、救急搬送されたが死亡。
原告 当該児童の両親
被告 当該施設の施設長及び保育士1名(保育中の注意義務違反など)
高槻市(施設に対する指導監督責任違反など)
提訴日 平成24年7月23日(大阪地方裁判所)
2.和解条項案(本市に係る部分)
(1)被告高槻市は、当該児童が死亡したことについて衷心から哀悼の意を表明するとともに、今後とも安全かつ充実した保育の実現に努める。
(2)原告らは、被告高槻市に対する請求をいずれも放棄する。
(3)原告らは、本件に関し、被告高槻市に何ら法的責任がないことを認め、原告らと被告高槻市との間には、本件に関し、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。
(4)訴訟費用は各自の負担とする。
3.和解を受諾する理由
(1)原告らが、本件に関し、本市に法的責任がないことを認めていること。
(2)原告らと被告施設長らとの間においても和解が成立する見込であること。
■認可外保育施設で発生した入所児童死亡事故にかかる損害賠償請求事件の和解について
<質問1>
(1)「原告らと被告施設長らとの間においても和解が成立する見込み」とのことですが、原告らと被告施設長らとの間の和解案の条件等はどのようなものなのでしょうか?解決金の支払いはあるのでしょうか?
(2)被告施設長らが、和解において何らかの責任を認めた場合、市として指導や処分等をされるのでしょうか?
(3)議案説明では「認可外保育施設」ということでしたが、この保育施設は、高槻市が認定した「認定保育施設」ではないのでしょうか。認定保育施設かどうか、お答えください。
<答弁>
原告と被告施設長等との和解案についてですが、より安全かつ充実した保育の実現を目指して努力する旨や、本件の解決金の支払いに関するものがございます。
次に、施設に対する指導については、従来より厚生労働省の指導監督基準に従い適切に実施しておりますが、今後も引続き適切な指導を遂行してまいります。
3点目、本件訴訟につきましては、本市独自の制度であります「認定保育施設」となっております。
<質問2>
本件は、お子さんが保育施設で就寝中にお亡くなりになったという悲しい事件に関するものです。今後も引続き適切に指導をするということですが、具体的にはどのようにされるのでしょうか?特にうつぶせ寝に関しては、どのように指導されるのかお答えください。
<答弁>
指導の内容についてでございますが、児童福祉法や、厚生労働省の指導監督基準に基づきまして、報告徴収や、立入調査、文書による改善指導等を行っているほか、保育士による巡回指導等も実施しているところでございます。
<質問3>
この事件は、マスコミで大きく報道されました。高槻市役所が認定して、補助金を出している認定保育施設で事件が起きたわけですが、その保育施設に対してだけでなく、市の姿勢にも不信感を抱いている方がおられます。
読売テレビの「ten」という番組で報じられた際には、2011年に保育施設で死亡した園児14人は、すべて就寝中に死亡し、うち「うつぶせ寝」は11人との解説がありました。それ以前から「うつぶせ寝」の危険性は多くの方に認識されていたかと思いますが、高槻市では、この事件が起きてから、さらに危険性に関する認識が高まったはずです。
それなのに、先ほどのような抽象的な答弁では、多くの保護者の皆さんや、これから保護者になられるような方々は、安心できないのではないのでしょうか。
高槻市で子育てされる方が、安心できるように、高槻市役所として、具体的にどのように取り組むのか、特にうつぶせ寝に関しては、どのように指導されるのか、1歳児以上についても「うつぶせ寝」を禁止するのか、今後こういう事故をどのように防いで行くのか、しっかりとお答えください。具体的な答弁をお願いします。この議案に関しては賛成します。
<答弁>
一般的に、事故の内容といたしましては、過失によるものとか、偶発的なものなど、いろいろあると思いますけれども、その中で、行政として何をなすべきなのか、また、何ができるのか、そのへんのところをよく考えて、より安全な保育の確保に取り組んでまいりたいと思います。
建物収去土地明渡請求事件の和解について
1. 訴訟の概要
事件の概要 高槻むくげの会の代表者らが、本市の再三の撤去要求を無視して、第一中学校内に残置した倉庫等の撤去及び明け渡しを求めるため、平成24年6月の市議会の訴えの提起に係る議決を得て、同年8月に大阪地方裁判所に提訴。
原告 高槻市
被告 李敬宰、高槻むくげの会、大野遊祭実行委員会
2.和解の要旨 (*和解条項案提示 平成27年3月10日)
(1)高槻むくげの会(以下「被告むくげの会」)及び大野遊祭実行委員会(以下「被告実行委員会」)は、高槻市に対し、第一中学校の敷地の一部及び同敷地内にある高槻市備品の物置を権限なく占有していることを認める。
(2)被告むくげの会及び被告実行委員会は、第一中学校の敷地内にある倉庫について、被告実行委員会が所有権を有することを確認し、被告実行委員会は高槻市に対し、和解成立日に倉庫を無償で譲渡する。
(3)被告むくげの会及び被告実行委員会は、高槻市に対し、平成22年2月20日から第一中学校敷地の一部の明け渡し済みまで1か月5,262円の割合で使用料相当損害金を支払う。
(4)被告むくげの会及び被告実行委員会は、高槻市に対し、平成27年3月31日までに、物置を明け渡す。
(5)被告むくげの会及び被告実行委員会は、倉庫内の動産、物置内の動産、富田青少年交流センター及び摂津峡青少年キャンプ場にある本訴訟に係る動産について、被告むくげの会及び被告実行委員会が所有権を有することを確認し、第三者が所有権を主張する場合は、被告むくげの会及び被告実行委員会の責任と費用で対応することを確認する。
(6)被告むくげの会及び被告実行委員会は、平成27年3月31日までに、上記動産を第一中学校、富田青少年交流センター及び摂津峡青少年キャンプ場において引き取る。
(7)被告むくげの会と被告実行委員会は、上記動産のうち平成27年3月31日に残置したものについては、その所有権を放棄し、高槻市が自由処分することに異議がない。
(8)被告李敬宰は、上記の全てについて異議がなく、占有権及び所有権その他の権利及び法的地位を一切有しないことを確認する。
(9)高槻市は、その他の請求を放棄する。
(10)高槻市及び被告らは、高槻市と被告らとの間には、和解条項に定めるもの以外に債権債務のないことを確認する。
(11)訴訟費用は各自の負担とする。
3.和解を受諾する理由
和解の結果、倉庫の無償譲渡と残置物品の所有権放棄により、新たに強制執行の手段をとらなくても本市の自由処分が可能となるなど、経済的、時間的な合理性が十分に認められる。
■建物収去土地明渡請求事件の和解について
<質問1>
本議案にも賛成しますが、2点伺います。
(1)和解の要旨の一つに「被告むくげの会及び被告実行委員会は、高槻市に対し、平成22年2月20日から第一中学校敷地の一部の明け渡し済みまで1か月5262円の割合で使用料相当損害金を支払う。」とありますが、この5262円の算定根拠は何なのでしょうか?詳細をお教えください。
(2)「被告むくげの会及び被告実行委員会は、平成27年3月31日までに、上記動産を第一中学校、富田青少年交流センター及び摂津峡青少年キャンプ場において引き取る。」「・・・残置したものについては、その所有権を放棄し、高槻市が自由処分することに異議がない。」ともされています。つまり、第一中学校だけでなく、富田青少年交流センターと摂津峡青少年キャンプ場も、不法占有されていたということですが、こちらに関しては、使用料相当損害金の支払いがないのは何故なのでしょうか?理由をお教えください。
<答弁>
(1)裁判所が示した5,262円の根拠は、高槻市行政財産使用料条例の規定を踏まえ、裁判所が判断されたと認識しています。
(2)和解の内容につきましては、原告、被告双方の主張を踏まえて、裁判所が判断されたと認識しています。
<質問2>
「原告、被告双方の主張」というのは、それぞれどういったものなのでしょうか?
<答弁>
原告である市は、一貫して訴状の内容に沿った主張を行ってきたところです。
一方、被告の主張につきましては、和解前で訴訟はいまだ継続中のため、発言は控えさせていただきますので、よろしくお願いします。
<質問3>
(1)本件の訴訟に関しては、平成24年6月27日の本会議での説明では・・・本市が有するところの第一中学校内土地の所有権に基づく建物収去土地明け渡し請求権、・・・というものでした。この中には先ほど申し上げた使用料相当損害金についてのものはないんですけど、訴状に沿った主張を行ってきたということでした。
本件土地の所有権に基づく建物退去土地明け渡し請求権、市所有の物置の所有権に基づく建物明け渡し請求権、摂津峡青少年キャンプ場及び富田青少年交流センターの所有権に基づく建物明け渡し請求権、あるいは動産撤去の請求権に関して、建物収去土地明け渡し等を求める訴えを提起する
訴状では、富田青少年交流センターと摂津峡青少年キャンプ場に関する使用料相当損害金について、どれだけを求めていたのでしょうか?
(2)市の訴状の主張と比べて、何がどれだけの、市からすると譲歩となったのでしょうか。それぞれについて、具体的にお教えください。
<答弁>
使用料相当損害金については、富田青少年交流センターにかかるものが月額658円、摂津峡青少年キャンプ場が月額527円でございます。
最後に、本市といたしましては、譲歩したという考えはございません。裁判所から示された和解条項について合理性があると判断したものでございます。
「譲歩したという考えはございません。」ということなのですが、訴状にあった2施設の使用料相当損害金が和解条項に盛り込まれなかったということは、譲歩したということではないのかね?
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