写真は、前国会議員・前横浜市長の中田宏さんに似ていますが、高槻市の城跡公園に建つ高山右近像。十字架の剣が、ワンピースの鷹の目のミホークのようで、かなりカッコイイと私は思っています。
さて、高槻市は、この城跡公園の区域内に、新しい市民会館を建てようとしています。昭和39年に開館した現在の市民会館は、老朽化しているだけでなく、耐震性にも問題があり、高槻市は建て替えに向け、平成23年3月には「高槻市立市民会館建て替え基本構想」を、今年2月には「高槻市立市民会館建替基本計画」を策定しました。
基本構想では、現状の敷地での建て替えも案に上がったのですが、高槻市は城跡公園の野球場・市民プール跡地に建設することを選択したようです。
そして今回の議会に、高槻市は、城跡公園に「公園施設として屋内型劇場を設置することができるようにするため、劇場を都市公園法施行令の規定に基づく条例で定める公園施設(教養施設)」としたいと条例改正案を上程。この屋内型の「劇場」が、新しい市民会館というわけです。
このやり方は問題があるのではないか?ということで、先日の本会議で質問しました。以下がそのやり取りです。原稿とメモに基づいているので不正確な部分もあることをお許しください。
■議案第75号 高槻市都市公園条例中一部改正について
<1回目>
1.新しい市民会館を城跡公園に建設できるように、都市公園法施行令の規定に基づく「条例で定める教養施設」を「劇場」とするということですが、「劇場」とするだけでよいのでしょうか?現在の市民会館には「集会室」や「労働センター」もあります。これらも「条例で定める教養施設」とする必要はないのでしょうか?
⇒新しい市民会館については、諸室も含めて、建物全体を劇場といたします。
2.現在の市民会館と同じ敷地面積の新しい施設を建設する場合、条例の建ぺい率の上限を超えると考えられますが、建ぺい率に関する規定はそのままでいいのでしょうか?
⇒建ぺい率に関する規定は変更しません。
3.新しい市民会館が城跡公園内に建てられた場合、その使用料は、高槻市都市公園条例に基づくことになるのでしょうか?
⇒使用料の条例への位置づけについては、今後検討いたします。
4.都市公園内に建設するのではなく、都市公園の区域を変更し、建設予定地を都市公園から外すことはできなかったのでしょうか?
⇒市民会館の建設用地を公園の区域からはずすことは考えていません。
5.野球場一帯は大阪府指定の史跡高槻城跡となっており、戦国時代や江戸時代をはじめ、室町時代、平安時代やそれ以前の遺構が遺存していることが確認されているということですが、これらの遺構を避ける形で市民会館を建設するのでしょうか?それともそうではないのでしょうか?
⇒発掘調査を実施し、埋蔵文化財の記録保存を行ってまいります。
<2回目>
1.「新しい市民会館については、諸室も含めて、建物全体を劇場」とするということです。都市公園法2条2項を見ると、例えば教養施設については「植物園、動物園、野外劇場その他」というふうに書かれています。劇場といっても、野外劇場であって、市民会館のような大きな建物ではなく、壁や屋根の少ない、開放的な施設であるわけです。他の条項を見ても、建物といっても、売店や便所といった小さなものしかなくて、とても市民会館のような大規模な建設物を設置できるとは考えられないんですが、問題はないのでしょうか?
⇒今回の条例改正により、城跡公園内に新しく市民会館を設置することについては、問題ありません。
2.先ほどの都市公園法の規定ぶりからすると、「集会室」や「労働センター」というのも、公園内に設けられるとは考えにくいんですが、市の見解をお聞かせください。
⇒先ほどもお答えしましたように、新しい市民会館については、劇場として整備いたします。
3.「高槻市立市民会館建て替え基本構想」29ページには、「都市公園における建築規制として建蔽率12%以内の上限があげられます。新市民会館の想定規模を計画するには、現在の市民会館の敷地を、公園敷地に取り込み建蔽率の制限に対応する都市公園計画面積を確保する必要があります。」と書かれています。現在の市民会館の敷地を公園の区域に取り込む必要はないのでしょうか?
⇒現市民会館の跡地は、市民会館建替基本計画に示すとおり、城跡公園に編入する考えです。
4.建ぺい率に関する規定は変更しないということですが、そうすると、新しい市民会館の敷地は、最大でどれだけ確保できるのでしょうか?また、どれだけの高さ・床面積のものが建てられるのでしょうか?それは現在の市民会館と比べると何倍の広さになるのでしょうか?それぞれお答えください。
⇒新しい市民会館の規模は、市民会館建替基本計画を踏まえ検討します。
5.埋蔵文化財については、現地保存ではなく、記録保存をするということです。
「高槻市立市民会館建て替え基本構想」28ページには、平成22年度の高槻城 二の丸跡の確認調査から、野球場一帯には、戦国・江戸時代の遺構をはじめとして、室町時代、そして平安時代やそれ以前の遺構が遺存していることが確認されています。また、東側における発掘調査では、枡形門の基礎部分や内堀等の二の丸と東辺部の遺構を検出しています。」と書かれています。これらについては記録保存だけでよいのでしょうか?
先日、安満遺跡で、雨水貯留施設関連の発掘調査で水田跡などの遺構が発掘されて、現地保存するということになりましたが、これに関して、高槻市は平成25年8月2日の史跡整備等特別委員会では、記録保存をするという答弁をしていました。でも、史跡整備指導検討会が現地保存すべきだという答申をしたので、現地保存をするということになったわけです。
野球場一帯の遺構に関しては、史跡整備指導検討会や専門家の方は、どのようにすべきと言っているのでしょうか?高山右近がキリスト教カトリックで最高位の「聖人」に次ぐ「福者」に認定される見通しになったという報道もありましたけれども、本当に現地保存しなくていいのでしょうか?
⇒平成22年に試掘調査を行い、二ノ丸御殿や城門などは明治時代になって破却されたことなど、遺構の状況を把握しておりますので、記録保存と考えています。
6.公園内に市民会館を建てるというのは、都市公園法の趣旨にそぐわないと思いますが、せめて、城跡公園にふさわしいように、新しい市民会館を、高槻城のような、高槻城を復元したような、そんな形にはできないのでしょうか?お答えください。
⇒新しい市民会館の形状は、今後検討します。
<3回目>
1.新しい市民会館の敷地に野球場が含まれるのかどうか分かりませんが、新しい市民会館の建設予定地に、現在存在している施設等はどうなるのでしょうか?移転するのでしょうか?廃止になるのでしょうか?
⇒今後検討してまいります。
2.新しい市民会館は「劇場」として整備するということですが、市民会館建替基本計画16ページでは、中・小スタジオを、会議や研修、講演会などにも利用できるようにすると書かれています。こうした劇場以外の目的で使用する場合、行政財産の目的外使用ということで許可をするのでしょうか?
⇒会議等についても劇場の範囲内の使用と考えております。
3.現市民会館の跡地は、城跡公園に編入するということです。その目的は、市民会館建替基本構想によると、城跡公園は建蔽率の制限が厳しいために、新しい市民会館の建築面積を少しでも多く確保するためだということで、苦肉の策のようですが、どのような名目で城跡公園の区域に編入するのでしょうか?
⇒城跡公園を、より良い公園とするためでございます。
あとは意見を述べます。
先ほども申し上げましたとおり、都市公園法には「野外劇場」と書かれています。都市公園法施行令にも都市公園法施行規則にも「野外劇場」と書かれています。劇場に関しては、法律にわざわざ「野外劇場」と明記されているわけですから、「野外劇場」以外の劇場を造ってはいけないと考えるのが普通ではないでしょうか。
国土交通省の平成24年4月付の都市公園法運用指針では、「都市公園は、本来、屋外における休息、運動等のレクリエーション活動を行う場所であり・・・原則として建築物によって建ぺいされない公共オープンスペースとしての基本的性格を有するものである。」と書かれています。国の指針からしても、市民会館や一般的な劇場を建てられるとは考えられません。高槻城を復元したような外観にして、劇場を造れば、大阪城ホールならぬ高槻城ホールだと、私の質問内容を聞いた川口議員が言っていましたけれども、たとえそうしたとしても、野外劇場にしない限りは、違法性があるのではないかと思います。
新しい市民会館の建築面積をできるだけ広く確保するためだけに、現在の市民会館の敷地を公園区域に編入するというやり方も、苦肉の策かもしれませんが、ご都合主義ですよね。そんなやり方、いいんでしょうか?
そんなふうに簡単に公園区域に入れたり外したりできるなら、新しい市民会館を建てる場所を公園の区域から外せばどうでしょうか?高槻城跡は、大阪府の史跡に指定されていますが、二ノ丸のあった野球場一帯の遺構は、記録保存でいい、つまり破壊してもいい、ということですし、市民会館を建て替えなければならないという、のっぴきならない事情が高槻市にあるわけですから、大阪府教育委員会も史跡指定の解除に応じてくれる可能性があるのではないでしょうか。史跡指定の解除に関しては、静岡県の伊場遺跡などの前例がありますので、それを参考にされればと思います。
現在の市民会館は、高槻警察署に隣接しています。高槻警察署を、もし将来的に建て替えるのであれば、うってつけの土地ではないでしょうか?公園区域にする前に、大阪府にも意見を聞いて、市民の安全・安心のためにも、総合的に調整し判断すべきだと思います。
以上、指摘と提案をして、質問を終わります。
⇒城跡公園に新しい市民会館を設置することにつきましては、国と相談もしながら、都市公園法の規定に基づき、適正に行っているものでございまして、都市公園法解説におきまして、教養施設として、条例に追加が想定される施設としては、劇場、野外劇場ではございません、劇場、公会堂等があると明記されております。また、都市公園としても、区域が拡大でき、かつ公園内にランドマークとなる文化の拠点ができることは、中心市街地における緑と文化と歴史に触れ合える拠点を標榜する城跡公園としても、大変望ましいものと考えております。
かなり強引なやり方だと思いますし、このやり取りの後もネットで調べてみましたが、いくら調べても、「野外劇場」という単語しか見つかりません。部長が最後に言い放った「都市公園法解説」という本は、6500円もするもので、それが専門書だとしても、果たしてそこだけに書いてあるからといって、都市公園法の原則を没却するような規定を、地方自治体が条例で定めることができるのか、疑問です。
やはり大阪府と話し合って、建設予定地の史跡指定を取り消し、公園区域から除外して、新しい市民会館を建てるべきではないのでしょうか?
↓人気ブログランキングに参加中!
クリックに感謝!
-