
このブログで何度か書いてきた今城塚古墳の工事に関して、先日、毎日放送の記者の方が取材をしてくれました。
放送日時は明日8月13日(月)夕方6時16分から。毎日放送(4チャンネル)のニュース番組「VOICE」です。皆様ぜひご覧下さい。
今回、毎日放送がこの問題を取り上げてくれますが、高槻市役所は強硬な姿勢のままです。今後工事の範囲は拡大し、その影響はさらに別の近隣住民の方々にも降りかかってきます。高槻市役所の横暴を止めるために、皆さんも声を上げてください。
以下、今城塚古墳の工事についてまとめてみました。
■今城塚古墳の工事は、いったい誰のためのものなのか?
大阪府高槻市には、「真の継体天皇陵」であると言われている今城塚古墳があります。
「今城」という地名にあるように、今城塚は山城に改築されていた時期があったと言われています。戦国時代、織田信長が、三好長慶か荒木村重を攻めるために、ここを城に改築したという説もあります。実際、今城塚からは、鉄砲の弾や高価な茶碗が出土しています。
宮内庁は、高槻市の隣の茨木市にある「太田茶臼山古墳」を継体天皇陵に指定しています。しかし、多くの研究者は、今城塚古墳こそが「真の継体天皇陵」であるとしています。出土品や日本書紀などの史料もそれを裏付けています。
通常、天皇陵であれば、発掘はおろか、一般人は足を踏み入れることもできません。けれども、今城塚の場合、宮内庁が別の古墳を継体天皇陵としているため、発掘が可能なのです。
今城塚は、日本で唯一「発掘が可能な天皇陵」というわけです。
今年初めに行われた発掘調査では、「石棺や副葬品である金銅製品・鉄製品・ガラス玉などの小片が多数出土」したそうです。
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/koho/images/koho07032505.pdf
しかし、継体天皇のご遺体に関しての説明はありません。継体天皇のご遺体はどこへ?まさか、石棺などの破片に混じっていたのでは・・・
とにもかくにも今城塚の発掘調査はこれで一通り終わったとのこと。現在高槻市は、文化庁の補助を受け、今城塚を史跡公園として「整備」しつつあります。
しかし、高槻市のやり方は、馬鹿な公共事業の典型です。
平成16年から18年の工事で、高槻市は今城塚で木陰を落としていた多くの樹木を伐採。緑豊かな今城塚は、西側から見るとまるでハゲ山のようになりました。
葦が生い茂り、絶滅危惧II類に分類されているクロメダカやザリガニ等もいた池は無惨に埋め立てられました。
今城塚には「自然や文化財を大切に」と書かれた標柱が立てられています。高槻市が立てたものです。その高槻市が、今城塚の自然環境を破壊したのです。もっと自然環境に配慮した工事が出来なかったのでしょうか。
今城塚の自然は、地元の人々に愛されていました。私も小さいころ、おばあちゃんとどんぐり拾いをしたり、堀で魚釣りをしたりして、よく遊びました。その今城塚の荒れ果てた現在の姿を見て、涙が出る思いでした。
高槻市は今城塚を「市民の歴史学習や散策、憩いの場となる史跡公園として整備」するとしています。けれども、今城塚は、もともと市民の憩いの場だったのです。高槻市は自然環境を破壊して、どのような憩いの場を、人工的に造ろうというのでしょうか。
今城塚には、樹齢50年の桜の木が約15本ありました。立派な桜並木で、周辺の住民の方が大切にしていました。花見の時期には遠方からも多くの方がやってきました。
「この桜の木は伐られやしないだろうか」。そう心配した地元の名士が、平成17年11月、奥本市長に「今城塚の桜の木は伐らないでほしい」と直談判しました。奥本市長は伐らないと約束しました。
ところが、平成18年11月15日、高槻市は桜の木を伐採しました。桜の木には、地元の子ども達やご婦人方達が「桜をきらないで」などと書いたメッセージカードを架けていました。いきなり始められた伐採に対して地元の方々は抗議をしました。けれども、高槻市は伐採を強行し、桜の木を一本残らず伐ってしまったのです。
高槻市は桜を伐った理由を、古墳ができた1400年前にはなかったからだと説明しました。しかし、高槻市が工事を施した堤の一部はコンクリートで固められています。古代にはこんなコンクリートはなかったはず。また堀の部分は芝生にするとか。古代の今城塚には芝生なんて生えていたのでしょうか。高槻市の説明はまったく矛盾しています。適当に理由をつけて、工事を進めたいだけなのです。
平成18年11月16日、地元の3人の名士の方が、市長室に抗議に訪れました。「伐らないという約束だったではないか!」と詰め寄ると、奥本市長は「約束を忘れていた。(伐った桜の木は)接着剤でくっつかないか」と、頭をかきながら、冗談めかして答えたそうです。
桜の伐採を含むこの一連の工事(第3次整備工事)は、地元の住民に何の説明もなく、突然開始されました。
平成18年10月2日、いきなりの轟音と共に工事が始まったといいます。今城塚の堀を埋め立てた場所に鉄板が敷かれ、その上をダンプカーが走る。ダンプカーが走るたびに鉄板が大きな音と振動を発し、家屋は揺れ、粉塵が舞ったそうです。近隣の家屋の中には変形するものもあり、体調を崩す住民の方もおられました。
高槻市役所は事前に住民説明会を行ったと主張しています。しかしその説明会というのは、中阿武野や川西といった広域の自治会関係者に対してのもの。実際に工事の影響を受ける今城塚近隣の住民の方には事前に何の説明もありませんでした。
つまり、高槻市役所は、工事の影響とはほとんど無関係な人々に対して住民説明会を開いてアリバイ工作をし、今城塚近隣の住民に対してだまし討ち的に工事を行ったのです。
また、公共工事を行う前には、事前に家屋調査を行うのが原則です。けれども、高槻市役所は、事前の家屋調査など、一切行いませんでした。
近隣住民の方々が、工事によって家屋に被害が出ていることを高槻市役所に訴えると、市長選挙を控えているため、高槻市役所は昨年12月に一旦工事をストップし、「家屋調査を行うまでは、絶対に工事を再開しない」と約束しました。
しかし、選挙終了後の平成19年6月6日、高槻市役所は、家屋調査の約束を反故にして、工事の再開を強行しました。
高槻市役所は、工事の被害に遭っている近隣住民の数が少ないのをよいことに、その小さな声を無視して、現在も住民の生活を蹂躙し続けています。近隣住民の方々は、現在、工事による騒音と振動と粉塵によって、生活と健康を脅かされています。
現在近隣住民を苦しめているこの工事は、いったい何を造るためのものか。
この「第3次整備工事」は、今城塚の内堀と外堀の間の「内堤」と呼ばれる部分を「復元」するものとされています。
今城塚の内堤は、約1400年間という長い年月のために、少し形が崩れています。江戸期に土を取られたために、100メートルほど欠けてる部分もあります。そんな内堤を、どこか別の土地から土を運んできて、現在の内堤の上に盛り土をして、高さ3mの、ビシッと角の整った、新しい内堤を造ろうというのです。
先日私が視察に行きましたら、内堤が100メートルほど欠けてる部分に、大きな筒型のコンクリートの工作物が置いてありました。ここに盛り土をしたら、このコンクリートの筒がトンネルになり、車椅子の方もこのトンネルを通って古墳を見ることができるバリアフリーなんだとの説明でした。
しかし、そこに盛り土をしなければ、そのまんまバリアフリーなわけです。
それに、そんな角の整った、真新しい内堤に、誰が歴史的な価値・歴史的なロマンを見出すでしょうか?
例えばエジプトのピラミッドを考えてみてください。あのピラミッドも、長い歴史の流れの中で、積み石の角がところどころ欠けている、あるいは中には、崩れかけているピラミッドのもあります。そんなふうに、ピラミッドが崩れかけているからといって、新たに石を真っ四角に切り出し、古いピラミッドを隠すようにして、その上にピシッと石を積み上げて、まるで新品のピラミッドにしてしまったらどうなるか・・・そんなピラミッド、誰が見に来るでしょうか。観光客なんて集まるわけがありません。
高槻市は、今城塚の内堤を「復元」し、しかもその真新しい堤の上に、新品のハニワを並べるそうです。けれども、そんなことをやってしまったら、先ほどの新品のピラミッドの例のような「愚」を犯してしまうことになるのではないでしょうか。せっかく歴史的な価値があるものに手を加え過ぎてしまうと、むしろ偽物っぽくなってしまう。
歴史的な建造物は、現状維持が基本ではないでしょうか。今城塚の内堤のように、新品同然にしてしまおうというのは、歴史的な価値の分からない頭の悪い人達の独りよがりと思えてなりません。
高槻市は今城塚を整備し、観光の目玉にする計画なのだそうです。せっかく本物があるのに、それを整備の名の下に工事をして、わざわざ偽物っぽくしてしまったら、高槻市は、観光客が来るどころか、全国の笑い者になってしまうのではないでしょうか。
私が現地で説明を受けた際、高槻市の担当課の職員は「今城塚古墳を、1分の1スケールの模型にする」というような言葉を発しました。「真の継体天皇陵」をそんなプラモデルみたいな感覚で工事してよいのでしょうか。そして、そんなものを目当てに、果たして、歴史に興味をもった観光客が来るでしょうか。経年劣化しながらも現存する本物の上に、天皇陵の上に、現代の技術・工法・機材で「偽物」を新築したら、これは本当に取り返しがつかないことになってしまうと思います。
この工事はいったい誰のための工事なのでしょう。自然環境を破壊し、近隣住民に多大な迷惑をかけ、歴史的な価値・観光的な価値を下げ、継体天皇の安らかな眠りを妨げる・・・自然環境に配慮し、最低限の発掘調査と安全対策だけにとどめておけば、高槻市も今城塚古墳も、価値を高めたと思いますが。
高槻市は、直ちに工事をストップし、住民と自然環境、歴史的・観光的な価値に配慮したやり方に改めるべきです。

「古墳」一つ整備したくらいで観光客が増えるとでも思っているのでしょうかね?
地方に住んでいる人間として・・
「作り直された古墳」よりも「樹齢50年の桜並木」の方が魅力あるし
足も向くでしょうね。
されにしても、ヒドイ話だ・・
今後、この市長様とは口約束はできませんね。
高槻奥本市政の強行な姿勢。憤りを感じました。
地元の民意はどこにいっちゃったんですか?
この行政の不備をもっと正すべきじゃないでしょうか?
家族全員で滅茶苦茶批判してましたよ。
だってあんなの誰がどう見たって
今城塚の内堤を「復元」より、地元住民の方たちや
あの景色を楽しみにしてた人の憩いの場所としての
桜のあった景色のが大切ですよね…。
昔に撮影されたビデオの映像を見てて、なんて
いい所なんだろうと感動したくらいです。
私にはここでこのような書き込みするくらいしか
出来ませんが、どうか頑張って工事中止にまで
追いやって下さい!
最初の計画策定段階で住民を交えた意思決定が行われ
なかったことであろう。
近年ではこうした公共事業を行う場合、計画段階で住民を
意思決定に参加させたり、もしくは実行以前に充分な
説明をして納得を得るものだが、今回の様子を見る
限り、全くそれらがなされていなかったか、大きく
欠けていたとしか見えない。
放送内で埋蔵文化財調査センターの所長の言葉に「議会、
行政、国、府、一体となって意思決定で工事をしている。」
とあったが、意思決定に住民が入ってなかったのが失敗
であったのではないか。
「協働のまちづくり」が各自治体で第一課題である昨今
からみれば、このあり方はまさに旧来の公共事業のやり
方である。
高槻駅北東地区の再開発に関しても、7月の広報では
大きく見出しで「民間主動」の再開発を唱えていたのに、
7月2日の産経新聞では市都市産業部が「市主導の
再開発ができなくなったことは残念」と「市主導の再開発」と
言ったり、正直、市の協働のまちづくりに対する姿勢に
大いに疑問をもちつつある。
難しい問題ですね。
結局は、個々人の価値と価値との
ぶつかり合いですからね。
確かに現在の環境が変わることにより
いま利用している人たちの憩いの場としての
「今城塚古墳」はなくなるでしょうが、
公園化されることにより今まで
利用していなかった人たちにとっては
あらたな憩いの場としての価値が
生まれることも可能性としては
否定できないと思います。
公園化されたことで市外からの社会見学も
増えるかもしれませんし。
ただ、賛成にしろ反対にしろ、工事により
近隣住民に被害が出るのは以ての外ですし、
桜の木も切らずに他に移すことだって
可能だったはずです。市はそのあたりの
検討はしなかったのでしょうかね。
だとすれば、あまりに眼前の目的にばかり
気を取られ突っ走っている感があります。
いや、本当に難しい問題です。
偶然ですが、グーグルで「卒論 今城塚古墳」で
検索したところ、今城塚の史跡公園化について
考察された卒論が載ってました。
賛成・反対に関わらず判断の一材料を与えてくれ
そうです。ご存知かもしれませんが参考までに。
市長の桜の木伐採に関する約束反故と「接着剤云々」の件、
事実なら許せないことですが、こういう事はいつも
ごく一部で取り上げられ問題化されるもそのまま
流れ消えゆくものですよね。
もう少し議会でも大きく問題化されないのでしょうか。
そして利用者の立場で言うと「いつまで封鎖するつもりですか」という苛立ちもあります。工事していない区域だけでも早く開放してほしいものです。「何でもいいから早く完了しろ」という意見も多いですから。
池の水を抜いた際に、見つかった魚、亀、両生類、甲殻類、貝、昆虫は何か、それをどうしたのかという情報も是非知りたいですね。