ムーブ!の特集は、「私が決算報告書をまとめたのですが、内部向けの決算が間違っていた。実際にはもっとお金を使っていました。」という連合高槻の巴事務局長(高槻市職員で高槻市職員労働組合の委員長)の回答を引き出して終わりましたが、その後のことについて、ご報告させていただきます。
私は、この問題について、昨年平成19年12月10日に高槻市監査委員に対して、住民監査請求を行いました。
一方、連合高槻は、私が住民監査請求を行った翌日の12月11日に、高槻市に対して、支出合計を174万8198円とする訂正報告を行いました。

当初、連合高槻は、この補助金を受けて行った事業の収支について、収支共229万0808円と報告していましたから、その約4分の1にあたる54万2610円も偽っていたことになります。
巴事務局長は、ムーブ!に対して「内部向けの決算が間違っていた。」と主張しましたが、内部向けの決算の支出は123万4072円で、繰越金は95万9538円でしたから、結局、高槻市向けの報告も、内部向けの報告も、両方とも50万円以上間違っていたということになります。

この住民監査請求に関する一連の文書を情報公開請求して分かったことですが、高槻市は、都市産業部長名で、連合高槻に対して、次のような注意書を12月20日付で送付しました。

しかし、住民監査請求の結果は、
(前略)
(3)判断
本件補助金は、本件団体かの会計処理の誤りにより本市向け決算書である収支決算書の再提出がなされたという事実はあるものの、再提出された収支決算書にある支出済額を関係人調査にて確認したところ、支払伝票や領収書等と一致し、本件要綱第3条の補助対象経費に該当する補助金相当額以上の支出がされていた。
以上のことから、本件補助金は、本件要綱に規定する補助対象経費範囲内の支出であるため市に何らの損害が発生していない。(後略)
というもので、私の請求は棄却されてしまいました。
「決算書の再提出後も、内部向けの決算書と50万円以上も違うのに、何故監査委員はそれを追及しないのか」という疑問が真っ先に浮かびましたが、他にもいくつかの不審点があります。

監査結果によれば、連合高槻は、内部分類から収支決算書への振り分けの誤りがあったとしています。
しかし、内部向けの決算書では、現金が、95万9538円も繰り越されているのです。この現金を、どうやって振り分け間違えたというのでしょうか?現金は現金ですから、支出として振り分けることはできないはずです。
内部向けの決算の支出は123万4072円。再提出後の支出合計は174万8198円。その差は51万4126円ですが、これは現金として存在していたわけです。再提出後は、この現金がどこかへ行ったことになります。どこへ行ったのでしょうか?
また「電気代や飲食代等を誤って含めた」「領収書に不備があった文具代を不十分な確認のまま含めてしまった」としています。高槻市の職員が領収書をチェックしたときに、これらのことに気づかなかったのでしょうか?不思議な話です。
電気代や飲食代の領収書は、どこのものを使い回していたのでしょうか?この18年度分だけではなく、これまでの年度においても、電気代や飲食代を支出に入れてきたのではないでしょうか?
ちなみに、過去の監査報告書を見ると、平成16年度まで、高槻市は領収書のチェックすらしていなければ、連合高槻も、帳簿すら未整理であったとのことです。どうしてこんな「甘い関係」が続いていたのでしょうか?
今回の問題発覚を受け、連合高槻は、内部向けの決算をやり直したのでしょうか。連合高槻・連合大阪の関係者は、以上の疑問点について、総会や会計監査報告の際に、追及すべきです。連合高槻に加盟している労働組合の方は、一度、自分たちが納めている組合費がちゃんと使われているのか、会計帳簿を見せてもらったほうがよいのではないかと思います。


平成19年12月25日に行われた「関係職員陳述記録」を見ると、収支が0円である理由について、担当職員は「支出総額において、市の予算の範囲内での受領補助金で足りなかった額を、自己負担金で計上するようになっているため、繰越金は発生せず、収支は0円になります。」「繰越が出るということは、補助金が使われていなかったということになります」と答えています。
しかし、これまでの連合高槻の各年度の収支決算書を見ると、
★連合高槻の補助事業の収支額
年度 | 市からの補助金 | 収入済額合計 | 支出済額合計 | 収入と支出の差 |
平成14年度 | ¥1,215,000- | ¥1,215,000- | ¥1,215,000- | ¥0- |
平成15年度 | ¥1,215,000- | ¥2,083,456- | ¥2,083,456- | ¥0- |
平成16年度 | ¥1,093,500- | ¥2,293,500- | ¥2,293,500- | ¥0- |
平成17年度 | ¥1,093,500- | ¥2,157,021- | ¥2,157,012- | ¥9- |
平成18年度 | ¥1,093,500- | ¥2,290,808- | ¥2,290,808- | ¥0- |
平成18年度 (再提出分) | ¥1,093,500- | ¥1,748,198- | ¥1,748,198- | ¥0- |
平成17年度に、9円とわずかですが、繰越金が発生しています。職員の説明とは矛盾しています。平成17年度も補助金相当額以上の支出をしていますが、9円繰越ということは、9円補助金が余ったので返金させたのでしょうか?訳が分かりません。

監査委員の服部委員は、「一般的な感覚としては、決算書というのは、1つで、2つも3つもないはずですが。」と、公認会計士らしい鋭い指摘をしています。
決算書が一つだからこそ、巴事務局長は、ムーブ!の取材に対して「内部向けの決算が間違っていた。」と答えたはずです。仮に決算書が内部向けとそれ以外にあるならば、「決算書が別なので」と答えたことでしょう。でも、決算書が2つあるなんてのは、二重帳簿でもない限り、あり得ない話です。
服部委員の質問に対して担当職員は「(収支決算書の)確認方法は、補助金相当額だけをしておりまして、全体の額については、先方の事情もあり確認しておりません」と答えています。
しかし、全体の事業費から、補助金相当額だけの領収書を選り分けて確認するということは、不可能なはずです。どこからどこまでの領収書が補助金相当額だなんて、どうやって確認し、選り分けたというのでしょうか?
事業内容についても、高槻市向けの報告書には「労働相談6回」と記されているのに、内部向けの報告書には、労働相談が1回分しか記載がないという矛盾もあります。一般の参加者が何名という記載についても、組合員の家族の場合、これを一般参加者と呼んでいいのかという疑問もあります。
連合高槻に対する補助金については、以上のとおり、連合高槻の側にも、高槻市の側にも、明らかにおかしな点があります。しかし、これに関して、第三者である私の立場から訴訟を行うというのは、法的に難しいようです。
連合高槻に加盟している方であれば、会計上の不審点について、裁判を起こし、追及することも可能かもしれません。ただし、弁護士さんとよく相談をしていただきたいですが。
平成19年度の連合高槻に対する補助金ですが、例年通りの予算が確保されているにもかかわらず、連合高槻から20万円の申請しかないために、20万円しか交付されていないようです。連合高槻も反省したのでしょうか?


平成19年度は30万円の事業しかしないということですが、では、これまでの事業は一体何だったのでしょうか?
補助金が追加で交付されるのか?平成20年度はどうなるのか?・・・今後も、連合高槻に対する補助金については、見張り続けたいと考えています。
