2008年05月08日

【有給職免】労働組合活動・部落解放活動を違法に有給で認めていた高槻市

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先に裁判について。市長部局・教育委員会・水道部における、違法な有給による職務専念義務の免除(有給職免)について住民訴訟を起こしました。第1回口頭弁論は、6月12日(木)10時15分から、大阪地方裁判所806号法廷で開かれることになりました。

有給職免については、高槻市営バス「幽霊運転手事件」で何度か触れてきました。交通部では、適法な労使交渉以外の組合活動についても、違法に有給職免を認めていたのですが、市長部局・教育委員会・水道部も同様に、公務員に課せられた職務専念義務を、違法に有給で免除していました。

地方公務員法は、第30条で「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」とし、また第35条で「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」と定めており、これは一般に「職務専念義務」と呼ばれています。

ただし「法律又は条例に特別の定がある場合」とありますように、職務専念義務の免除(「職免」あるいは「職専免」と略されますが、高槻市では「職免」と言われていますので「職免」とします)がされる場合があります。

高槻市の場合、「地方公務員法第35条の規定に基き、職務に専念する義務の特例に関し、規定することを目的」として制定されたのが、「職務に専念する義務の特例に関する条例」です(長い名前の条例なので「職免条例」とします)。

この条例が認めているのは、次の3つのものです。
(1) 研修を受ける場合
(2) 厚生に関する計画の実施に参加する場合
(3) 前2号に規定する場合を除く外任命権者が定める場合

「任命権者が定める場合」というのがありますが、これは、地方公務員法第35条に「法律又は条例に特別の定がある場合」とありますから、その趣旨からいえば「特別の定」を定めなければなりませんし、この職免条例自身も第1条で「職務に専念する義務の特例に関し、規定することを目的とする」と謳っていますから、当然、明文化したした規定を定めなければならないところです。

ところが、高槻市の場合、議会での答弁や、住民監査請求における意見陳述によれば、職免申請があるごとに、その都度内容を審査して、その可否を決定してきた、とのことでした。昨年12月1日付で新たな要綱を定めて、免除する場合の基準を明確にしたとのことなのですが、それまでは、明文化された規定はなく、市職員の労働組合活動・職員団体活動などについては、任命権者の裁量で許可していたとのことで、これは地方公務員法と職免条例に反していると考えられます。

また一方、高槻市には、地方公務員法第55条の2第6項に基づき定められた条例として、「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」が存在しています。これは全国的に通称「ながら条例」と呼ばれています。

ちょっと話がそれますが、いくつかの自治体で、労働組合の幹部らが、本来無給となるべき組合活動に従事しながら、勤務を装って給与を得る、いわゆる「ヤミ専従」を生み出したとして問題となったのは、この読売新聞の記事のとおり、「ながら条例」において、「適法な交渉」の他、そのための「準備行為」も盛り込まれていたためだとのことです。「ながら条例」中の「準備行為」の一語が次第に拡大解釈され、「ヤミ専従」につながっていった、と。

組合活動に厳正な枠を ながら条例改正がカギ 「解釈次第」の現状許すな
(中略)
■判断基準

 ながら条例は、旧自治省がひな型を示した1966年以降、全国の自治体で制定された。その多くで、公務時間内に認められる組合活動として、労使の団体交渉に加え、その「準備行為」が盛り込まれたが、次第に拡大解釈されて、ヤミ専従につながっていく。(後略)


しかし、高槻市の「ながら条例」には、「適法な交渉」しか記されておらず、「準備行為」の語は存在しないのです。つまり、高槻市では、他の自治体で問題となった「準備行為」の語の拡大解釈の余地はなく、条例上も、完全に「適法な交渉」以外の組合活動は認められないのです。

高槻市の場合、組合活動に関して、勤務を装っているわけではなく、有給職免の申請と決裁が行われていることから、この点いわゆる「ヤミ専従」とはいえませんが、本来無給とすべき組合活動を、法律と条例に反し、有給職免で認めてきたわけです。

仮に、「職免条例」に基づいて、任命権者の裁量でもって適法な労使交渉以外の組合活動が認めることができるとしても、「ながら条例」には違反することになります。高槻市は、法例違反を長年続けてきたのです。

交通部については、代走や、労組幹部優遇ダイヤによるヤミ専従時間と共に、有給職免についても「幽霊運転手訴訟」で提訴しましたが、市長部局・教育委員会・水道部においても、以上のとおり、労働組合活動や部落解放活動について、違法に有給職免を認めていた問題があり、これについて昨年の9月議会と12月議会で追及したのですが、高槻市は法令違反を認めず、全然反省の色を見せないので、今年1月18日に高槻市監査委員に対して住民監査請求をしました。

監査委員は、3月13日に、理由がないとして私の請求を不当に棄却しました。そこで、4月10日に住民訴訟を提起。訴状の訂正などの手続も完了し、第1回目の口頭弁論が6月12日(木)10時15分から大阪地方裁判所806号法廷で開かれることになりました。

高槻市が反省し、あるいは高槻市監査委員が法令違反を認めてくれれば、やる必要もなかったのですが・・・・よろしければ傍聴にお越し下さい。

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労働組合の上部組織が主催するこういった宿泊を伴うものにも有給職免が認められていた。

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3人もの市職員が部落解放に関する全国集会に2泊3日で参加していたが、これにも有給職免が認められていた。

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自治体労組のスポーツ大会の主将会議・抽選会にも有給職免が認められていました。


平成19年 第4回定例会 (第4日 9月27日)

No.34 北岡隆浩議員
(中略)
3 国の指導に反し、高槻市が労働組合活動をする市職員に対して、適法な労使交渉以外に有給で職務専念義務を免除している問題について。
(1)国は、昭和41年6月21日付、自治公第48号行政局通知により、地方公務員法第55条第8項の規定に基づき、正当な交渉を行う場合以外に、給与を受けながら勤務時間中に組合活動することを禁止するよう各自治体を指導しています。しかし、高槻市は交通部だけではなく、市長部局、教育委員会、水道部においても、適法な労使交渉以外のものについても、有給職免を認めています。いつもは国の指導に従う高槻市がどうしてこれには従わないのでしょうか、お答えください。
(2)有給職免で、実質は政治活動が行われている場合があるのではないでしょうか。その場合、問題があるのか否か、お答えください。
(3)有給職免の承認に際し、管理職側はそれが適正なものか、実質的な審査をしているのでしょうか。また、有給職免で職員が何を行ったのか、なぜ報告書の提出を求めないのでしょうか、お答えください。有給職免については、公金から給与を渡しているわけですから、不適切なものがなかったのかどうか、組合幹部に報告書を出させるべきです。もし、不適切なものがあれば、厳しく処分するように求めます。
(中略)

No.36 総務部長(上田豊喜)
 北岡議員の、国の指導に反して高槻市が労働組合活動をする市職員に対して、適法な労使交渉以外に有給で職務専念義務を免除している問題についてということ等がございました。私どもの方も少し聞き取りにくかったものですから、抜けている部分があるかと思いますけれども、お許し願いたいと思います。
 まず、職免の問題でございます。
 地方公務員法第35条では、職員は法律または条例に特別の定めがある場合を除くほか、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならないと規定されております。また、同法の第55条の2第1項では、職員は職員団体の業務にもっぱら従事することでができないと規定されておりますところから、職員は原則として勤務時間中におきまして、職員団体あるいは組合の活動を行うことはできないとされております。しかしながら、例外といたしまして、勤務時間中において職員団体の活動を行うことができる制度といたしまして、適法な交渉へ参加する場合、任命権者から専従許可を得た上で組合活動をする場合、職務免除を得て活動する場合がございます。この組合職免が与えられる組合活動の内容につきましては、登録職員団体または労働組合の規約に定める執行機関、監査機関、議決機関、投票管理機関などの構成員として、当該機関の業務に従事する場合、並びに上部団体の上記の機関に相当する機関の業務で、これら登録職員団体または労働組合の業務と認められるものに従事する場合となっております。ただし、組合職免は無給が原則であり、職員団体活動への従事に対して給与を支給することは適切でないというのが国の考え方でございます。
 議員ご指摘の、有給で職務専念義務を免除している問題についてというのは、この点を指してのご指摘と理解しております。本市における組合職免につきましては、職務に専念する義務の特例に関する条例というのがございまして、この条例の第2条第3項の規定によりまして、任命権者が職務免除を与え、職員はその時間、期間に限り組合活動をしているものであります。また、その時間、期間の給与につきましては、一般職の職員の給与に関する条例第15条によりまして、任命権者の承認を得た場合は減額を行わないこととなっております。そのような関係から、組合活動をする職員に対しての給与支給に関しては、条例の適用により、これまで適正に行っていると考えているところでございます。しかしながら、今日的な社会経済状況から、その見直しが必要と考えておりまして、昨年9月の末に、高槻市職員組合ほか4組合に対しまして、組合活動に伴う職務免除の取り扱いについて、協議の申し入れを行いまして、勤務時間中の組合活動については無給とする旨、要請をしているところでございまして、これまでに複数回の協議を行い、現在、細部の詰めを行っている状況でございます。
 それから、職免が適正であるかどうか審査しているのかということでございますけれども、私ども人事課の方では、職免の場合は、まず申請書のかがみと、それに参考資料といたしまして、例えば書記長会議だとか組合大会がある場合につきましては、それの案内状というような通知文をつけさせまして、そこには、いつ、何時から何時まで、どこでどういう要件でというのを書いておりますので、それを審査いたしまして、それが適切であるという場合につきましては職務免除の許可をしているわけでございます。
 それから、事後報告があるのかどうかというようなことだと思うんですけれども、その件につきましては、議員ご指摘のとおり、事後報告というのはさせておりません。ただ、業務命令をしたものではございませんので、これについて復命をさせるというのはいかがなものかなという考えと、それから組合自身に関することでございますので、組合でどのようなことを行ったかという報告をさせるのはどうかなということで、私どもはそういう報告を求めているところではございません。
 それから、政治的行為についてでございますが、ちょっと聞き取りにくかったんですけれど、これにつきましては、地公法の第36条に定めるところでございますので、その定めに従って私どもは運用しているというところでございますので、よろしくお願いいたします。
(後略)


平成19年 第5回定例会 (第3日12月19日)
No.162 北岡隆浩議員
(中略)
 5番目は、職員団体活動に関して、違法に有給で職務専念義務を免除してきた問題です。
 本年9月27日の本会議で、総務部長は、本市職員の有給での組合活動に関して、職務に専念する義務の特例に関する条例を適用し、適正に行っていると答弁されました。この条例は名前が長いので、以後は職免条例と呼ばせていただきます。
 一方、高槻市には、地方公務員法第55条の2第6項に基づき定められた条例として、職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例というものがあります。これは全国的に通称ながら条例と呼ばれています。本市のながら条例においては、適法な交渉以外の組合活動、職員団体活動を認めておりません。つまり、職免条例で不適法な組合活動を認めても、ながら条例には違反するのです。高槻市は、このよう条例違反を長年続けてきたのではないでしょうか、お答えください。また、職免条例第2条第3項の、任命権者が定める場合のように、定めるという言葉を用いる場合、一般的には何らかの規則等が制定されるべきですが、高槻市にはそれについて明文化された規則、基準等があるのでしょうか、お答えください。
(中略)

No.164 総務部長(上田豊喜)
 続きまして、いわゆるながら条例で認められた適法な交渉以外に、勤務時間中の組合活動のため、職務専念義務を免除するのは条例違反ではないかとのご質問でございます。
 当局と職員団体等との適法な交渉につきましては、職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例、いわゆるながら条例におきまして、職員が給与を受けながら行うことができる旨、規定されているところでございます。一方、当局との交渉以外の組合活動に関しましては、昭和43年10月15日付行政局長通知によりますと、登録職員団体、または労働組合の運営のために必要不可欠な業務ないし活動に従事する必要がある場合において、その職員にこれらの業務ないし活動に要する最小限の期間の休暇――我々は職免と申しておりますけれども――を与えることは法によって必ずしも禁止されるものでないというふうにされております。本市におきましては、職務に専念する義務の特例に関する条例を適用いたしまして、職務専念義務を免除することによって、一定組合活動を認めてきたところでございます。
 さらに、任命権者が定めるというように規定されている場合、定めるという言葉を用いる場合には、一般的には規則等で制定されるべきだと、明文化された規定はあるのかというご質問でございます。一般に、条例が、任命権者が定めると規定した場合には、必ずしも規則によって規定することを求めているのではなく、仮に規則で定めることを求める場合には、任命権者が規則で定めるというふうに規定いたします。ただ、訓令だとか、あるいは内規等で規定をするという方法もございます。
 そこで、お尋ねの部分でございますけれども、職務専念義務の免除につきましては、職免申請があるごとに、その都度内容を審査いたしまして、その可否を決定しているところでございますが、本年12月1日付でこの件に関しまして、新たに要綱を定めまして、その免除する場合の基準を明確にしたところでございますので、よろしくお願いいたします。
(中略)

No.169 北岡隆浩議員

 5番目の、違法な有給職免の問題ですけれども、これですね、私は明らかに条例違反がされてきたんだと思っておりますけれども、もしそうでないと言うのであれば、今後も堂々と有給で職免をされればいいんじゃないでしょうか。これを無給に変えるということは、暗に条例違反だったということを認めていることだと思っております。この問題も解釈の相違だと答弁されるだけでしょうし、これ以上の答弁は結構です。(後略)





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posted by 北岡隆浩 at 23:51| 大阪 | Comment(2) | TrackBack(0) | 高槻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こういうのって税金ドロボウなの?
Posted by 高槻市民10年生 at 2008年05月11日 00:19
本日(3月15日)の読売新聞のトップに農水省の「ヤミ専従隠し」が記事にありました。
高槻市についても北岡さんが独自に調査した結果、労働組合による色々な不正があったのですから、この種の問題は全国規模で取り上げられるべきかと思います。
Posted by ヤミ専従 at 2009年03月15日 11:08
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