
市政報告ビラ・令和7年冬号に記載している内容です。
<表面>
■自治会不法占拠訴訟・大阪高裁で逆転勝訴
「ある自治会が、市有地に建つ集会所の前に、市役所に無断で自動販売機を設置している。無許可で公園に防犯カメラも設置していて、電気を盗んで稼働させている」といった相談を受けました。調べたところ、その自治会は、市役所からの度重なる指導にも従っていないことが明らかになりました。
そこで、令和6年の3月議会と6月議会で、この問題を取り上げたのですが、改善されなかったため、住民監査請求を経て、住民訴訟を提起。
一審の大阪地裁では敗訴したものの、二審の大阪高裁で逆転勝訴。大阪高裁は、自治会は市有地を不法占拠し、市との契約に違反しており、18万円の損害を与えたと認定しました。
■他にも自治会に関する問題が・・・皆さんの地元の自治会も今一度確認を
別のある自治会が使用する公民館等の建物の登記がされていないことなどを、令和7年の6月議会と9月議会で質問しました。登記をしないのは違法なのですが、建物の所有者も判然としません。
かつて、実質的に自治会が不動産を保有しているのに、自治会名義で不動産登記ができなかったため、自治会長や役員を登記の名義人としたことで、相続人と所有権をめぐるトラブルが全国的に発生。
こうした問題を防ぐために、今から30年以上前の平成3年に地方自治法が改正され、自治会が「地縁による団体」としての法人格を、市町村長から取得すれば、不動産の登記が可能になりました。
登記のない公民館等は、その手続きを怠っていたのかもしれませんが、市にも一定の責任があるはず。
他にも、財産区という特別地方公共団体から自治会へ補助金が交付されている事例が。財産区から自治会への補助金の交付は、財産区の財産又は公の施設等の維持管理の目的以外は、違法だと考えられます。
こうしたことがないかどうか、皆さんの自治会の状況も、今一度確認されてはいかがでしょうか?
■自治会チェックリスト (当てはまるものがあれば市と相談して改善を)
□ 市有地や公園、市有の建物を、無許可・無契約で使用している
□ 高槻市との契約に違反する行為をしている
□ 建物や土地の所有者が不明、あるいは会長等役員の所有
□ 建物や土地を所有しているが認可地縁団体になっていない
□ 建物や土地を所有しているが登記していない
□ 財産区から補助金等を受け取っている
<裏面>
市長が関西将棋会館の誘致のために日本将棋連盟と約束した
固定資産税等の課税免除は違法だとして住民訴訟を提起
報道によると、濱田剛史市長は、平成30年6月頃、「関西将棋会館を高槻市に誘致したら面白いのでは?」と思いつき、翌日には市職員に対して、移転に向けた調査を進めるよう指示したということです。
そして令和元年8月には、公益社団法人日本将棋連盟に対し、関西将棋会館の高槻市への移転を提案。その際、「こんなメリットがあります!!」として「A 土地・建物の固定資産税・都市計画税を免除!!」、「本市で土地を取得し、建物を所有された場合、関西将棋会館の土地・建物の固定資産税・都市計画税を免除します。」、「関西将棋会館の土地・建物の固定資産税・都市計画税を免除→将来にわたって、維持コストを低減できます」等と記載した提案資料を示して、固定資産税と都市計画税を免除することも約束しました。
その結果、令和3年4月には移転が正式決定。
しかし、翌年の令和4年1月27日に、サッカースタジアムの固定資産税等を免除した栃木市が、住民訴訟で敗訴。理由は「固定資産税の減免を相当とする程度の強い公益性は到底認められない」というもの。
「公益」とは、不特定多数の社会全体の利益のこと。
スポーツのサッカーのスタジアムに「強い公益性」がないというのであれば、ボードゲームの将棋の会館にも認められないのではないか、市長の約束は違法ではないかと、私は疑問を覚えました。
地方税法では、「公益上その他の事由」があれば、固定資産税を免除できるとされています。しかし、逐条解説でその例として挙がっているのは、他の法律(鉄道軌道整備法や国際観光ホテル整備法など)を援用しているものや、看護師、重要文化財、学校の類に関するもの。
日本将棋連盟は公益社団法人ですが、公益社団法人の固定資産については、348条2項で、@幼稚園、A図書館、B博物館、C医療関係者の養成所、D学術の研究のための固定資産、E修学の援助のための寄宿舎の6類型が非課税だと、限定的に列挙されています。
このように、医療や学校教育、社会教育、インフラ等には「強い公益性」が認められて当然ですが、果たして将棋はどうでしょうか?将棋に何らかの公益性があるとして、広く社会全体の利益を考えると、将棋の公益上の優先順位は、他のものと比較して、どの程度でしょうか?
公益社団法人日本将棋連盟は、公益社団法人としての要件は備えているのでしょうけれども、将棋というボードゲームの対局を見物させて、タイトル戦のスポンサー企業から支払われた契約金を原資として、対局の勝敗等に基づき、プロ棋士らに対して、対局料や賞金を支払うなどしているわけです。トップクラスのプロ棋士の収入は相当なものだと聞きます。連盟は、将棋の普及といった非営利の活動もしていると思いますが、いわば「将棋の興行」という営利の性格のほうが強いのではないでしょうか?
確かに、将棋は日本で古くから行われてきた知的な奥深い遊びで、藤井聡太6冠の偉業や他のプロ棋士も皆さんの実力も素晴らしいと思いますが、そういったことを考慮しても、医師・看護師の養成や、学術の研究、社会インフラの整備と比べて、公益性は乏しいと考えられます。
私は議会で違法性を度々指摘してきたのですが、高槻市は市税条例を改正し、課税免除を実施してしまいました。住民監査請求をしましたが棄却されたので、住民訴訟を提起した次第です。
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高槻ご意見番 代表 北岡隆浩(高槻市議会議員)
https://x.com/kitaokatakahiro























































































































































